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【2025年9月更新】終身保険70代の加入判断|非課税枠と1.75%時代の基準

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年9月更新】終身保険70代の加入判断|非課税枠と1.75%時代の基準
終身保険
70代
相続税 非課税枠
一時払い終身保険
予定利率 1.75%
契約者貸付
認知症 保険信託

2025年の環境と70代の目的整理

2025年は長期金利の上昇で貯蓄性保険の条件が改善し、特に 予定利率1.75% を掲げる 一時払い終身保険 が登場しています。予定利率の引上げは新規契約に反映され、同じ保険金額でも必要保険料が下がり、返戻率も改善するのが一般的です。実務では「何のために入るか(葬儀資金/相続・承継/家族の生活資金)」を先に決め、その目的に対して終身保険が最適か、他手段(預金・信託・NISA等)との組み合わせが良いかを比較します。判断の軸は、税メリット(相続の非課税枠)、資金の流動性(解約せずに使えるか)、健康状態(告知の通りやすさ)、そして家計への影響(払込直後の現金不足を起こさない)です。最新の利率動向と制度の一次情報は、次の資料が参考になります。(生命保険会社の「予定利率引き上げ」が及ぼす影響とは)(一時払終身保険の保険料率の改定について)

70代が終身保険に求める主な目的

  • 1
    葬儀費用やお墓・納骨費の確保(現金凍結リスクに備え、迅速に受け取れる保険金で手当)
  • 2
    相続税の非課税枠の活用と遺産分割のシンプル化(受取人固有財産で指名した人に渡せる)
  • 3
    配偶者・子の生活資金の一部を指定して残す(法定相続人ごとの配分を設計)
  • 4
    介護・認知症の周辺費用への備え(終身は死亡保障が主、必要に応じて特約や別契約を組み合わせ)
  • 5
    手元流動性の維持(契約者貸付や一部引出し可否も含め、無理のない一時払い額に調整)

非課税枠と契約形態の税務

死亡保険金は被相続人が保険料を負担し受取人が法定相続人のとき、「みなし相続財産」として扱われ、死亡保険金には 非課税枠(500万円×法定相続人) が適用されます。根拠と具体の計算は(No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金)が明確です。孫や事実婚パートナーなど法定相続人以外が受け取る場合、この非課税枠は使えず、相続税の2割加算(20%上乗せ)が課され得ます(詳細は(No.4157 相続税額の2割加算))。 契約者(保険料負担者)・被保険者・受取人の組合せによっては相続税ではなく所得税や贈与税の対象になるケースがあります。代表例として、契約者=受取人で保険料を自分で負担した人が受け取ると所得税の 一時所得(50万円控除・1/2課税) になり、計算方法は(No.1490 一時所得)で確認できます。過度な税負担を避ける基本形は「契約者=被保険者本人・受取人=法定相続人」です。

商品選びの基準と比較軸

予定利率が上がると、同じ保障額でも必要保険料が下がり、返戻率が改善します(仕組みと影響は(生命保険会社の「予定利率引き上げ」が及ぼす影響とは)が整理)。70代では分割払いは保険料が重くなりやすいため、まとまった資金がある方は一時払いが現実的です。ただし、契約初期は解約控除の影響で元本割れが通常で、短期解約は損失になりやすい点に注意します。低解約返戻金型は払込中の返戻率を抑える設計で、長期保有前提での活用に向きます。外貨建て・変額は為替や価格変動リスクを伴うため、目的が「相続・現金化の確実性」であれば円建ての比較優位が出やすい場面もあります。

金利見通しと“待つ”リスクのバランス

予定利率は市場金利や運用環境を背景に見直されます。今後さらに上がる可能性も否定はできませんが、生命保険は契約時の利率が固定され、既契約は自動的に改善されません。待つことでより有利な条件を得られる一方、年齢上昇での保険料増や健康状態の変化で加入できなくなるリスクもあります。こうしたトレードオフを踏まえ、使い道が明確で、かつ家計に無理のない時点を「実行時期のめど」とし、比較検討は複数の設計書で行いましょう。

70代・健康告知はどう進める?

持病があり心配です。一般の終身保険に申し込むべきか、最初から“かんたん告知”にするべきか迷います。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
まずは現在の処方・直近通院歴などを整理し、一般(標準)体での申込みにチャレンジしましょう。通れば保険料や初期制限が有利です。不承認時は“引受緩和型”や無選択型を検討しますが、これらは保険料が割高・契約後一定期間の病気死亡が削減給付などの初期制限が一般的です。申込順は「標準体→緩和型→無選択」を基本に、必要額は葬儀資金など“最小限”から設計すると無理がありません。

損益とキャッシュフロー管理

返戻率のピーク・元本回収までの年数は設計書で確認します。近年は予定利率の改善で、一時払いでは「同じ保険金額に対する一時払保険料が1割前後下がる」事例が公表されています(具体例は(一時払終身保険の保険料率の改定について)の契約例が参考)。 また、急な支出に備えるには、解約せずに返戻金の範囲で資金化できる 契約者貸付 の可否・利率も確認を。近時は貸付利率の見直し(例:年2.40%への改定)も見られます(詳細は(保険料率等の改定について))。 医療・介護コストは公的制度で一定程度カバーされます。70~74歳は原則2割負担、75歳以上は原則1割(一定所得で2~3割)で、高額療養費制度の外来年間上限14.4万円等もあります。負担割合や上限の根拠は(医療費の一部負担(自己負担)割合について)で確認してください。

旧契約の見直し・乗換えの段取り

  • 1
    先に新契約の診査を通し、成立を確認してから旧契約の解約を検討する(無保険期間を作らない)
  • 2
    旧契約の解約返戻金と払込保険料総額、解約控除の有無を一覧化する(元本割れ・差益の有無)
  • 3
    新旧の返戻率推移と損益分岐年数を比較し、解約・乗換えの“回収見込み年”を特定する
  • 4
    解約差益が出る場合は一時所得の計算式(50万円控除・1/2課税)を適用して税影響を見積もる((No.1490 一時所得)
  • 5
    設計書・約款で初期制限(免責・削減給付)や解約控除の期間を再確認し、家計の流動性リスクを回避する
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
終身保険は長期で持つほど設計の良さが効いてきます。短期で動かない前提に立ち、流動資金の確保を優先してから、必要最小限で始めましょう。

手続き・トラブル回避・家族共有

高齢の契約では、“理解と納得”を丁寧に積み上げることが大切です。迷いが残る場合はクーリング・オフで申込撤回が可能です。一般に「申込日またはクーリング・オフ書面の受領日のいずれか遅い日から8日以内」が目安で、詳細は(契約申込みから契約成立までの流れと重要事項)が分かりやすいです。契約後は保険証券と加入内容、受取人・指定代理請求人の情報を家族と共有し、請求漏れを防ぎましょう。

認知症・資産凍結対策と保険信託

判断能力の低下に備え、指定代理請求の設定や、公的な後見制度・家族信託の検討は早めが安心です。終身保険は死亡時の受取が基本ですが、生命保険信託を使えば「資金を分割して用途別に渡す」「特定の時期のみ渡す」といった管理が可能です。いずれも手数料や運用形態があるため、事前に専門家と段取りを確認しましょう。

ケース別ミニシミュレーション

配偶者と子2人。相続で保険の非課税枠はどれくらい?現金より得ですか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
法定相続人が3人なら、非課税枠は500万円×3=1,500万円です((No.4114))。この範囲の死亡保険金は相続税の課税対象から外れます。現金で残すより税負担が軽くなる典型例です。保険金は受取人固有財産なので、指定した人に迅速に届く点も実務メリットです。

目的別の設計ヒント(おひとりさま・孫受取など)

おひとりさまの葬儀資金は、平均相場119万円(調査)を目安に必要額を設定できます(根拠データは(葬儀にかかる費用はどれくらい?))。受取人を孫など法定相続人以外にすると非課税枠は使えず、相続税額に2割加算が生じ得ます((No.4157 相続税額の2割加算))。孫に確実に残したい場合は、(家族状況により)養子縁組や遺言・信託など、税と法務の両面から代替策を比較すると良いでしょう。

まとめと次の一歩

利率上昇で終身保険の“費用対効果”は確かに改善していますが、加入の是非は目的と家計、税・手続き・健康の総合判断です。この記事の一次情報リンクを設計書と突き合わせ、必要最小限の保障から着手し、家族と情報を共有してください。迷うときは第三者の視点を上手に借りましょう。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人)と2割加算の条件を国税庁資料で確認し、受取人設定を誤らない。
  • 2
    予定利率上昇により一時払いの必要保険料が下がる事例あり。短期解約は損になりやすい設計を前提に計画する。
  • 3
    家計の流動性は契約者貸付の可否・利率まで含めて点検。医療・介護費は公的制度(自己負担割合・高額療養費)も活用。
  • 4
    乗換えは“新規成立→旧解約”の順。解約差益は一時所得の式で税影響を見積もる。
  • 5
    クーリング・オフや指定代理請求の設定、家族への共有でトラブルと請求漏れを防ぐ。

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今回のテーマは、税・設計・家計・手続きが絡む総合判断です。無料のオンラインFP相談なら、設計書の読み合わせ、非課税枠や一時所得の概算、契約者貸付やクーリング・オフの可否などを自宅から確認できます。中立的に複数案を比較し、必要最小限から無理なく始める道筋を一緒に作りましょう。LINEで予約・完結できます。

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