【2025年9月更新】個人年金保険の税金早見表|受取別の税区分と手取り比較
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

個人年金保険 税金
個人年金 保険料控除
雑所得 一時所得 計算
源泉徴収 10.21%
年金受給権
住民税 国保料
目次
はじめに:複雑に見える“個人年金保険の税金”を一気に整理
老後資金づくりで定番の 個人年金保険。ところが税金は「年金で受け取る」と「一括で受け取る」でまったく仕組みが違い、契約者・受取人の関係でも課税が変わります。2025年はいくつかの制度トピックも重なり、迷いやすい状況です。この記事では、一次情報リンクを付けて、年金受取の税区分、源泉徴収10.21%と25万円基準、住民税・国保・介護保険料への影響、個人年金保険料控除の要件と上限まで、実務に使える形で整理します。
なお、2026年分(令和8年分)限定で、23歳未満の扶養親族がいる世帯は一般生命保険料控除の上限が6万円に拡充されます(子育ての一時的支援)。制度の位置づけは財務省の(令和7年度税制改正の大綱の概要)で確認できます。
最短で押さえる結論(この記事でわかること)
- 1年金で受け取ると 雑所得、一括で受け取ると 一時所得 が基本(国税庁の定義で計算が異なる)
- 2年金受取は「課税部分×10.21%」の源泉徴収、ただし年額の課税部分が25万円未満なら源泉なし
- 3一括受取は50万円特別控除のうえ1/2課税で、住民税や国保料への影響も違う
- 4契約者≠受取人は贈与税の可能性、死亡時は相続税や年金受給権の評価を踏まえて扱う
- 5個人年金保険料控除は“税制適格”要件あり。2026年分は一般枠が一時的に拡充
結論早見:受取方法×契約関係で税区分が決まる
「契約者=保険料負担者」と「受取人」が同一で、年金で受け取ると公的年金等以外の 雑所得。計算式は「当年の年金額−その年金に対応する払込保険料相当額」です。根拠と具体式は国税庁の(No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金)。
一括で受け取る場合は 一時所得。受取総額−払込総額−特別控除50万円=一時所得、さらにその1/2が課税対象です。根拠は(No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき)。
「契約者≠受取人」の設計では、給付事由の発生時に贈与税課税となる場面があり(同1755)、年金で受け取る場合の源泉や課税の配分ルールも変わります(相続・贈与由来の受給権は後述)。
どっちが得?源泉10.21%は戻る?
年金で受け取るか、一括で受け取るかで手取りはどのくらい違いますか?源泉10.21%って取りすぎなら戻るんでしょうか。

年金受取は「課税部分×10.21%」が源泉徴収されますが、年の確定申告で給与や各種控除と通算し、納め過ぎは還付されます(課税部分が年25万円未満だと源泉自体なし)。一括は“一時所得”で50万円控除+1/2課税が効くので、トータルの税率が下がりやすい一方、その年の住民税・国保料等にはフルに反映しやすいです。収入や控除の状況次第で有利不利が逆転するため、簡易試算で比較してから決めるのが安全です。
手取り比較の実感:年金受取 vs 一括受取(数値イメージ)
例)払込総額300万円、満期時点の受取総額400万円とします。
一括受取(一時所得):
・一時所得=400万円−300万円−50万円=50万円 → 課税対象はその1/2=25万円。所得税・住民税はこの25万円に対して課税。よって税負担は比較的軽く見えやすい。
・ただし“一時所得の1/2”は住民税の「総所得金額等」に算入され、国保料や介護保険料の賦課に効いてきます(自治体により細部は異なりますが、原則として一時所得は1/2算入)。札幌市の説明でも「一時所得は1/2を総所得金額に算入」と明記されています((税額の算出方法/札幌市))。
年金受取(雑所得):
・年40万円×10年で受給、元本300万円を均等按分とすると「各年の課税部分=40万円−(300万円÷10年=30万円)=10万円」。この10万円が雑所得としてその年の課税所得へフル反映。
・各年の課税部分が25万円未満なので多くのケースで源泉徴収はかからず(年の課税部分<25万円基準)、その年の確定申告で他の所得・控除と通算されます。
ポイント:
・「税率(他所得・控除の状況)」と「住民税・国保料・介護保険料への影響」の両面を見ると判断がクリアになります。まとまった一時金は翌年の住民税や保険料を押し上げることがある一方、年金分割は負担を平準化できます。

税は“合計でいくら持ち出すか”で見てください。所得税だけでなく、住民税・国保・介護保険料まで含めた実効負担が意思決定のカギです。
源泉徴収10.21%と“25万円基準”、確定申告の勘どころ
年金受取の源泉は「(年金の額−対応する元本)× 源泉徴収10.21%」。ただし「年の課税部分が25万円未満」は源泉徴収なし(いずれも国税庁(No.1610))。源泉が引かれても、年末の確定申告で他の所得・控除と合算して精算します。
給与がある人は“20万円ルール”も確認を。年末調整済みの給与以外の所得(雑所得や一時所得等)の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要ですが、住民税は申告が必要な場合があります((No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人))。
また、一括受取の“一時所得”は「50万円特別控除+1/2課税」が基本。詳細は(No.1755)で確認できます。
個人年金保険料控除:要件と上限の最新ポイント
- 1控除を受けるには“個人年金保険契約等”の要件が必要(受取人は契約者本人か配偶者、払込10年以上、受取開始は原則60歳以上・支給10年以上など)。国税庁(No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等)
- 2控除額は新契約の個人年金枠で最高4万円、旧契約枠と合わせた総枠は生命・介護医療・個人年金合計で最高12万円((No.1140 生命保険料控除))
- 32026年分限定で、23歳未満の扶養親族がいる世帯は“新生命保険料(一般枠)”の上限が6万円に拡充(子育て支援の時限措置)。制度位置づけは財務省(令和7年度税制改正の大綱の概要)
- 4払込証明は年末調整・確定申告で電子交付の活用が進み、控除漏れ防止に有効。控除額は証明書の区分(新・旧、一般・介護医療・個人年金)を見て判定する
死亡時の扱い:年金受給権・遺族の受取はこう変わる
被保険者が亡くなって遺族が年金受給権を取得した場合、保険料負担者が誰だったかで相続税・贈与税の対象が変わります((No.1615 遺族の方が支払を受ける個人年金))。その後、年金として支払を受ける所得税は、年金の収入を「非課税部分」と「課税部分」に振り分ける独特の方法で計算します((No.1620 相続等により取得した年金受給権…))。
なお、年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段的に増える計算枠組みがあり、初年度の源泉の有無や確定申告の判定で混乱しやすいところです。迷ったら支払通知書・設計書を手元に、年金の種類(新旧相続税法対象)を確認してください。

契約者・被保険者・受取人、年金種類(確定/終身・保証期間)、受取方法(年金/一括)、払込総額の4点がわかれば、税区分とおおまかな手取りは読み解けます。
実践ステップ:手取り最大化の受け取りを選ぶ
証券・設計書を取り出し、次の順で確認しましょう。
・前提の棚卸し:払込総額、契約の“税制適格”要件の有無、選べる受取方法(年金・一括・年金一部繰上げ)
・簡易シミュレーション:一括は「(受取総額−払込総額−50万円)÷2」を各税率へ、年金は「年金額−按分元本」を各年に展開し、住民税・国保・介護保険料への影響も横串で比較
・手続きと書類:年金支払通知書、払込証明・解約精算書、生命保険料控除証明書(電子交付可)、マイナンバー関連書類
年金・一括の併用(たとえば前半だけ年金、残りを一括)で総負担を下げられるケースもあります。迷ったら個別条件で比べてください。
迷ったら:無料オンラインFP相談を活用
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まとめ:重要ポイント
- 1年金受取は雑所得、一括は一時所得。国税庁ページの式どおりに“元本按分”と“50万円控除+1/2課税”で計算する
- 2年金受取の源泉は課税部分×10.21%、ただし年25万円未満は源泉なし。確定申告で精算・還付があり得る
- 3手取りは税だけでなく住民税・国保・介護保険料まで含めた“実効負担”で比較する
- 4個人年金保険料控除は要件を満たした契約のみ。2026年分は一般枠が一時的に拡充
- 5死亡時や名義が絡む受給は、相続税・贈与税と年金受給権の特殊計算を踏まえて判断する
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