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【2025年9月更新】終身保険の解約返戻金で住宅ローン繰上げ返済|損得と判断基準

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年9月更新】終身保険の解約返戻金で住宅ローン繰上げ返済|損得と判断基準
終身保険
解約返戻金
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団信
予定利率

課題提起:保険を解約して繰上げ返済、いま本当に得か

まとまった 解約返戻金 を見たとき、住宅ローン繰上げ返済 に充てれば早く楽になる……そう感じるのは自然です。ただ、2025年は金利・物価・税制が動く「転換期」。同じ金額でも、繰上げ返済の得失は家庭によって大きく変わります。この記事では、終身保険の 返戻金 を使う前に確認したい数字、2025年の金利・税制の最新前提、税金の計算、団信の見えにくい影響まで、判断を誤らないための実務的な基準を整理します。

まず把握すべき数字(棚卸しの出発点)

  • 1
    住宅ローンの残高・残期間・金利タイプ(変動か固定)と金利水準
  • 2
    住宅ローン減税(控除率0.7%・最長13年)の残り期間と要件(期間10年以上)
  • 3
    終身保険の契約内容:返戻金、払込総額、返戻率、払込状況(満了か途中か)
  • 4
    家族の保障状況:団信の範囲、他の死亡・医療保障の有無
  • 5
    手元資金の余力:教育費・修繕費など今後の大型支出の見通し

2025年の前提整理:金利・税制・保険利率の最新

金利は2024〜2025年にかけて上昇基調です。変動型は優遇後で0.4〜0.6%程度の商品が見られます(ネット銀行の足元水準の目安)。固定ではフラット35の「最頻金利」が2025年9月時点で1.890%です。(フラット35 金利一覧)
税制は、住宅ローン減税が年末残高の0.7%を最長13年間(要件あり)控除する枠組みが続いています。2024年以降の新築は省エネ基準の適合など要件が強化され、要件を満たさない新築は控除対象外になる点に注意が必要です。(住宅ローン減税)
保険利率は、貯蓄性保険の予定利率を引き上げる動きが広がりました。大手生保のニュースリリースでは、一時払い終身で予定利率1.75%へ改定した例が公表されています(保険料・返戻率の改善が示された資料)。(保険料率の改定に関する資料(PDF))
このため、ローン金利(0.4〜0.6%)と終身保険の長期利回り(年1%前後)の“見合い”は接近。金利だけでの優劣はつきにくく、税制・保障・流動性まで含めた総合判断が重要になります。

いつ繰上げ返済すべき?控除中は待った方が良い?

変動0.5%で借りています。住宅ローン減税がまだ残っていますが、返戻金で繰上げ返済した方が良いでしょうか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
控除中は残高を減らし過ぎると減税額も小さくなります。繰上げで返済期間が10年未満になると控除資格を失うため、控除が続く間は“期間10年以上”を保つか、終了タイミングでの繰上げが基本です。金利が1%未満なら繰上げの利息削減効果は限定的なので、教育費など他の備えを優先する判断も合理的です。

終身保険の返戻金と税の基礎:返戻率・IRR・課税の見方

終身保険は長期保有で返戻率が高まり、払込満了後に100%を超える設計もあります。返戻率だけでなく、積み立ての年利(IRR)も確認すると、保険を“運用商品”として見る目線が持てます。
解約返戻金の利益部分は通常 一時所得 として計算します。式は「受取額−払込総額−特別控除50万円」の1/2が課税対象。利益が50万円以下なら課税されません。(No.1755 満期保険金を受け取ったとき)
例:払込総額500万円、返戻金560万円なら利益60万円−控除50万円=10万円の1/2=5万円が課税所得。所得税・住民税は数万円程度の負担になります。契約者と受取人が異なる場合は贈与税の論点が生じるため、家族の名義関係も必ず確認しましょう。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
「借金を減らす安心」と「保障や流動性を残す安心」はどちらも正解です。数字と家族の事情を並べて、いまの自分に必要な安心を選びましょう。

繰上げ返済の効果とデメリット:期間短縮型と返済額軽減型の使い分け

繰上げ返済には、月額は据え置きで総利息を大きく減らせる“期間短縮型”と、毎月の返済を下げて家計負担を軽くする“返済額軽減型”があります。総利息の削減は前者が大きくなりやすい一方、後者はキャッシュフローの改善に向きます。
見落としがちなデメリットは2つ。第一に、繰上げで完済時期が早まると団体信用生命保険(団信)の保障もその分短くなります。ローンを抱えている間の「万一時に残債ゼロ」の保障を前倒しで手放すことになる側面です。(団体信用生命保険の案内)
第二に、まとまった返戻金を充てることで手元流動性と運用機会を失います。返済後に資金を戻すことは基本できないため、教育費や修繕費など近い将来の支出見込みも併せて検討しましょう。

判断フレーム:5チェックで即整理

  • 1
    ローン金利と残期間の“閾値”:金利が高く残期間が長いほど繰上げの効果大
  • 2
    住宅ローン減税の残り年数と“期間10年以上”要件を満たせるか
  • 3
    家族の保障ニーズ:団信と他の死亡・医療保障の重なり・不足
  • 4
    返戻率と税コスト:元本割れの有無、50万円控除の範囲、贈与税リスク
  • 5
    ライフイベント:教育・修繕・車買替えなど数年内の大口支出の有無

ケース別の目安:金利1%前後は微妙、2〜3%台は繰上げ優先に傾く

金利を“利回り”で捉えると、繰上げ返済の安心利回りはおおむねローン金利に連動します。金利0.5〜1.0%台では年0.x%相当の節約効果に留まり、終身保険の長期利回り(年1%前後)と拮抗しがち。金利2〜3%台なら繰上げのメリットが相対的に大きく、金利面の優先度は繰上げ寄りに傾きます。
変動金利の人は将来の金利上昇や“未払利息”リスクへの備えとして、元本を減らす意義が相対的に高まります。固定金利の人は、低い固定金利のメリットを活かしつつ、手元資金は他の目的(教育費・運用)へ振り向ける選択肢も現実的です。

実例シミュレーション(簡易版):返戻金500万円で期間短縮型に充当した場合

前提:残高1,000万円・金利1.0%・残期間20年(元利均等)、減税は終了済み。返戻金500万円(払込総額450万円、返戻率約111%)を期間短縮型で充当。
結果の目安:残高は500万円へ、残期間は約9年程度に短縮。総利息の削減は概算で50〜60万円規模。対して、保険を維持した場合は年1%前後の利回りが期待でき、死亡保障も一生残ります。数値だけで優劣が定まらない状況では、税金・保障・流動性の重みづけで判断しましょう。

実務の段取り:手続きの順番と代替策

手順は「現状の見える化→繰上げの可否・効果試算→税・保障の確認」です。
繰上げ手続きは、金融機関窓口またはオンライン(機構の“住・My Note”など)で可能。期間短縮型と返済額軽減型のどちらにするか、適用日、手数料の有無を確認しましょう。(繰上返済の案内)
代替策として、終身保険は“部分解約”や“払済(保険料の停止・保障縮小維持)”、ローンは“借り換え”や“固定化”も検討に値します。繰上げで期間10年未満になると住宅ローン減税の対象外になるため、控除中は期間要件も必ずチェックしてください。

税金はどのくらいかかる?扶養や贈与の心配は?

返戻金を受け取ると税金はどれくらいかかりますか?家族に充てると贈与になりますか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
利益部分は一時所得で、式は「受取−払込−50万円」の1/2が課税対象です。利益が50万円以下なら課税されません。契約者と受取人が異なると贈与税の論点が生じますので、契約者=受取人=ローン債務者の一本化が安全です。詳細は国税庁の解説も確認しましょう。

まとめ:いつ繰上げ・いつ保険維持かの結論整理

控除期間中は“期間10年以上”を守るか、終了タイミングでの繰上げが基本。金利が1%未満なら繰上げ効果は小さめ、2〜3%台なら繰上げ優先の合理性が高まります。返戻率が高く税負担が軽いなら解約の選択肢も見えますが、保障の消滅と流動性低下は重いデメリット。家庭の事情と数字を横断して判断しましょう。
迷う場合は、まずAIで状況をざっと棚卸し、その後FPが家計・保障・税を一体でシミュレーションするのが最短です。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    2025年の金利・税制では、金利だけで優劣がつきにくく総合判断が必須
  • 2
    住宅ローン減税中は期間10年以上の要件に注意、終了タイミングが一つの目安
  • 3
    一時所得は「受取−払込−50万円」の1/2課税、利益50万円以内は課税なし
  • 4
    団信は完済で終了、保障の短縮という“見えにくいコスト”を考慮
  • 5
    返済と保障・流動性のバランスを家計のイベント(教育・修繕等)と併せて設計

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