ほけんのAI Logo保険相談の掟

【2025年9月更新】個人年金保険 繰下げ受取|増額率と最適開始年齢の判断基準

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年9月更新】個人年金保険 繰下げ受取|増額率と最適開始年齢の判断基準
個人年金保険
繰下げ受取
増額率
最適開始年齢
予定利率
公的年金等控除
雑所得

導入|“繰下げ受取”を使いこなすと老後がラクになる

個人年金保険は、契約時に決めた受取開始年齢を後ろへずらす「繰下げ受取」で年金額を増やせる商品があります。公的年金の繰下げ(0.7%/月、上限75歳)と考え方は近く、加入時の予定利率で運用期間が延びる分だけ年金が増える仕組みです。制度の一次情報は公的機関の資料で確認できます。例えば公的年金の繰下げは(老齢年金の繰下げ制度(PDF))にまとまっており、「請求を1か月遅らせるごとに0.7%増、最大84%」などの核心が明確です。民間の個人年金の繰下げは商品約款に基づく個別計算のため、まずは「自分の契約で繰下げ可否・最大年数・増額の算式」を確認するのが出発点です。

最初にやること|自分の契約で“繰下げ”できるか確かめる

  • 1
    証券・約款で「年金開始日の変更」「繰下げ」条項を確認し、可能年数と申出期限を把握する
  • 2
    保険会社に「繰下げ年数ごとの年金見込額」を依頼(1年刻みの試算があると設計しやすい)
  • 3
    医療・介護などの特約継続コスト(繰下げで延長分の一括前納が必要な場合)を確認する
  • 4
    有期(10年など)か終身か、保証期間の長さで結論が変わる点を家族と共有する
  • 5
    公的年金の開始時期と重ね方(ずらし方)を含め、家計の収入カレンダーを作る

繰下げと“据置”の違い|増額の原資が異なる

混同しやすいのが、保険料払込満了から開始までの「据置」。据置は「受け取らずに保険会社に預ける」期間で、一般に“据置利率”が適用されます。一方、繰下げ受取は「年金開始年齢そのものを後ろへ動かす」選択で、加入時の予定利率が継続適用されるのが典型です。予定利率が高い“お宝契約”ほど繰下げの増額効果が大きくなるのは、この原資が違うからです。据置・繰下げの整理は公益財団の解説が分かりやすいので、要点は(個人年金の繰り下げQ&A)も参照してください。

公的年金との比較|0.7%/月・75歳まで、5年一括の特例も

公的年金(老齢基礎・厚生)は0.7%/月で増額、上限は75歳です。仕組み・注意点は一次資料の(老齢年金の繰下げ制度(PDF))が最も確実。ポイントは次の3つです。
  • 66〜75歳の間で請求可能、請求の翌月分から増額分を受け取る
  • 受け取り始めて11年11か月以降は、65歳開始より累積受給額が多くなる(加給・振替加算がある場合は例外あり)
  • 2023年以降の特例で「70歳到達後に本来の年金を遡って請求する際、5年間分は“みなし繰下げ”の増額を一括受給」できる(PDFに図解あり) 民間の個人年金は一律の増額率はなく商品別計算ですが、開始を遅らせるほど年金額が上がる方向性は共通です。

損益分岐は何歳?

繰下げすると何歳まで生きれば“得”になるのでしょうか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
公的年金は一次資料で「受け取り始めて11年11か月目以降は繰下げの方が累計で多い」と示されています。個人年金は商品ごとの利率・有期/終身で分岐が変わります。例えば終身なら長生きほど有利、有期10年なら“増額は同じ期間に上乗せ”なので開始を遅らせた分の空白をどう見るかが判断軸です。必ず保険会社試算で自分の分岐年齢を確認しましょう。

増額率の目安と“利率”の影響

民間の個人年金は「加入時の予定利率」が増額幅に直結します。経験則として、予定利率0.5〜1%台の新しめ契約は繰下げ増額が控えめ、1.5〜2%台は中程度、5%台の高利率契約は大きな増額が期待できます。ただし一律には語れず、配当や商品タイプ(平準/逓増、確定/終身、保証期間の長さ)で差が出ます。実務は「1年刻みの繰下げ試算」を取り寄せ、5年・10年の総受取額、税引き後の手取り、社保負担を横並び比較してから決めるのが安全です。

税金・社会保険の影響|“158万円”と“10.21%源泉”の正しい位置づけ

税は誤解が多いので、一次情報で整理します。
  • 公的年金は「公的年金等控除」が適用されます。65歳以上は控除の最低額が110万円で、基礎控除(48万円)などと合わせ、一般に公的年金等収入が約158万円以下なら所得税が生じないケースが多いと解説されます(他の所得次第)。根拠は(No.1600 公的年金等の課税関係)
  • 個人年金(公的年金等以外)は雑所得で、公的年金等控除の対象外です。雑所得=年金受取額−その年に対応する払込保険料相当額。雑所得が25万円以上なら「10.21%源泉」(所得税+復興特別所得税)が行われます。根拠は(No.1610 個人年金の課税)
  • 社会保険は、年金収入が増えると健康保険・介護保険料の所得区分に影響しやすく、後期高齢者の自己負担区分(1割/2割など)も変わり得ます。繰下げで増える「年金額」を“手取り(税・社保控除後)”で比較するのが実務のコツです。 なお、公的年金には「確定申告不要制度(年金収入400万円以下、他所得なし等)」の枠がありますが、個別条件で異なるため税務は念のため年金事務所・税務署やFPに確認しましょう。

実践手順と失敗回避ポイント

  • 1
    繰下げは“取り消し不可”が原則。申出期限(開始前日まで等)は必ず手元のカレンダーに入れる
  • 2
    無収入期間の資金繰り(生活費・医療費・予備費)を見える化し、取り崩し上限を決めてから繰下げを選ぶ
  • 3
    保証期間・死亡給付の条項を再確認し、早世時の家族の資金流れも把握しておく
  • 4
    公的年金と民間年金の開始年齢をずらして、60代〜70代で収入の“谷”が生まれないよう設計する
  • 5
    保険会社試算は「税・社保の概算」を加えてもらい、手取りベースの比較にする

インフレ・金利のいま|“固定の年金”に物価3%時代の視点

2025年8月の全国CPIは総合+2.7%、生鮮除くコア+2.7%、コアコア+3.3%でした((消費者物価指数 全国 2025年8月))。固定額の個人年金は物価上昇に連動しないため、“購買力”の視点が重要です。繰下げで額面が増えても、5〜10年後の物価が高ければ実質価値は目減りします。逆に予定利率が高い契約は“元本保証で高利回り”に近い性質を持つため、インフレ期でも有力な選択肢になり得ます。繰下げ・据置・受取開始の判断は、「自分の契約利率」と「当面の物価・金利見通し」を並べて検討しましょう。

事例イメージ|利率別に“こう変わる”を掴む

具体額は商品ごとに異なるため、ここではイメージを共有します。
  • 予定利率0.5%台(円建て・新しめ): 5年繰下げでも年金年額の増加は“小幅”。手取り増は税・社保で相殺されることも。
  • 予定利率1.5〜2%台: 5年繰下げで“年額・総額ともに数%〜1桁台後半”の増加が見込まれるケースが多い。終身で長寿なら有利に働きやすい。
  • 予定利率5%台の高利率契約: 10年繰下げの増額は“見た目も実額も”大きく、公的年金の増額率に近い体感になることも。ただし早世の自己享受は小さく、保証の使い方が重要。 いずれも「自分の約款・試算」で必ず検証してください。公益財団の(個人年金の繰り下げQ&A)に注意点の整理があります。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
“最適開始年齢”は利率・健康・家計の三位一体。数字は保険会社試算、前提は家族会議──この順番で決めると後悔が減ります。

無料オンラインFP相談の使い方

LINEで気軽に始められる無料オンライン相談を活用すると、繰下げ・据置・開始の最適解が早く見えてきます。
  • 相談の流れ: チャットで現況を共有→証券の写真送付→FPが年金開始パターンを複数試算→税・社保の概算も添えて“手取り”で比較。
  • 中立助言: 既契約の活用(繰下げ)と、他の運用・公的制度との組み合わせをフラットに提案。
  • キャンペーン: ギフト付き施策の有無や条件・期間はLINE上で最新をご確認ください。強制勧誘はありません。 「特定の保険会社・商品名」によらない一般論で整理し、一次情報リンクを使いながら意思決定を支援します。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    繰下げは“加入時予定利率”が効く。高利率契約ほど増額効果は大
  • 2
    税は公的年金等控除(約158万円目安)と個人年金の雑所得(10.21%源泉)の違いを押さえる
  • 3
    家計の“収入カレンダー”を作り、公的×民間の開始年齢をずらして谷を作らない
  • 4
    物価+金利の見通しと“手取り”で比較してから繰下げの是非を決める
  • 5
    保険会社試算(年額・総額)+税・社保の概算で損益分岐年齢を見える化する

ぜひ無料オンライン相談を

繰下げの可否・年数・増額幅は契約ごとに異なります。FP相談なら証券をもとに年金開始の複数シナリオを作成し、税・社会保険料の概算まで含め“手取り”で比較できます。オンラインなら時間と場所の制約がなく、無料で中立的に横断比較が可能。迷ったらLINEからチャットで現況を共有し、あなたの家計に合う開始年齢・受取設計を一緒に確定させましょう。

🎁今なら面談後アンケート回答で
1,500円分全員プレゼント!

カフェで相談する様子

関連記事一覧

【2025年9月更新】終身保険 終身払いと有期払い|使い分け早見表と判断基準

【2025年9月更新】終身保険 終身払いと有期払い|使い分け早見表と判断基準

終身保険の終身払いと有期払い(60歳払済等)を2025年最新データで比較。逆転年齢と平均寿命、低解約返戻金型の注意、特約満了や払込免除、予定利率引上げ・新NISA併用・控除まで実務で判断。

【2025年9月更新】生命保険 配当金の仕組み|税金と受け取り基準(個別相談可)

【2025年9月更新】生命保険 配当金の仕組み|税金と受け取り基準(個別相談可)

生命保険の配当金(契約者配当金)の仕組みと税金・受け取りを2025年最新版で整理。配当の型・初回時期、年末調整の控除差引、据置利息の課税、相続の非課税枠まで一次情報リンク付きで解説。

【2025年9月更新】変額保険スイッチング早見表|手数料と回数上限(無料で棚卸し)

【2025年9月更新】変額保険スイッチング早見表|手数料と回数上限(無料で棚卸し)

変額保険のスイッチングを最新ルールで整理。年12回・月1回・年15回の型、超過手数料のレンジ、受付締切・反映ラグ・取消不可まで一次情報リンク付きで解説し、賢いリバランス設計を提案。

【2025年9月更新】定期保険 更新型の落とし穴|保険料上昇の回避(個別相談可)

【2025年9月更新】定期保険 更新型の落とし穴|保険料上昇の回避(個別相談可)

更新型定期は自動更新で保険料が上昇。60歳前後の“ジャンプ”を避けるため、全期型や収入保障、減額・特約外し・払済/延長など実践策を一次情報リンク付きで解説。空白ゼロの乗り換え手順も整理。

【2025年9月更新】被扶養者150万円 19〜23歳|家計影響と見直し基準

【2025年9月更新】被扶養者150万円 19〜23歳|家計影響と見直し基準

2025年10月から健康保険は19〜23歳の扶養基準が150万円へ。税は150万円満額・188万円まで逓減。年齢判定・年末調整・事業主証明・学生納付特例まで実務の型を一次資料リンク付きで整理。

【2025年9月更新】生命保険 20代独身女性の適正額|早見表と3手順

【2025年9月更新】生命保険 20代独身女性の適正額|早見表と3手順

20代独身女性は死亡0〜300万円のミニマムで十分。入院自己負担19.8万円、先進医療は自己負担、公的高額療養費の“見直し見合わせ”を踏まえ、必要額の式・比較のコツ・3手順で最短設計。