【2025年9月更新】生命保険 配当金の仕組み|税金と受け取り基準(個別相談可)
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

生命保険 配当金
契約者配当金
5年ごと利差配当
一時所得
積立配当 利息課税
生命保険料控除
相続税 非課税枠
目次
課題提起:配当金の“誤解”が家計に及ぼす影響
「配当金が付くならお得」「毎年必ず出るはず」──そんな期待が先行して、思わぬ課税や受け取りミスにつながることがあります。まず押さえたいのは、生命保険の配当金(契約者配当金)は株式配当とは性質が違い、保険料の事後精算的な還元であることです。配当の仕組み自体は公的な基礎情報で確認できます((配当金の仕組み))。2025年は金利上昇で一部の有配当商品に増配の動きが見られる一方、配当は保証ではなく“ゼロ年”も起こり得ます。この記事では、仕組み・税金・受け取りの実務を最新ルールで整理し、家計にとっての最適解を提示します。
ありがちな誤解(先に正しておきたいこと)
- 1有配当なら毎年必ず配当が出ると思い込んでしまう(実際は決算次第でゼロ年もある)
- 2配当は“利益”だから課税されると誤解する(契約中の配当は原則非課税だが、満期・解約同時受取は課税対象になり得る)
- 3据置(積立)にすると税金は関係ないと考えてしまう(利息部分は雑所得)
- 4第三分野(医療・がん)でも配当が出ると期待する(原則無配当が中心)
- 55年ごと利差配当は5年目にもらえると思う(初回は契約6年目の応当日が一般的)
仕組みの基礎:有配当/無配当と3利源・利差配当
配当の基本は、公表資料の通り「予定と実績の差の還元」です((配当金の仕組み))。有配当は還元の可能性がある分、無配当より保険料が高め、無配当は実績に近い基礎率で設定され保険料を抑えます。有配当の算出方式は2系統です。毎年(または3年ごと)に死差・利差・費差の3利源を集計する3利源配当と、一定年数の運用差益のみを通算する利差配当です。代表的な利差配当は5年ごと利差配当で、初回は契約6年目の応当日、以後5年ごとに配当の有無が判定されます((配当金に関する重要事項))。配当は決算の結果で変動し、ゼロの場合もあります。第三分野(医療・がん)は原則無配当が主流です。
確定申告は必要?年末調整ではどう書く?
契約中に出た配当金は税金がかかりますか?年末調整の書き方も迷います。

契約期間中に受け取る配当(契約者配当金)は原則非課税です。ただし年末調整・確定申告の生命保険料控除は、その年の支払保険料から配当(剰余・割戻)を差し引いた額で計算します((No.1140 生命保険料控除))。一方、満期・解約時に保険金と一緒に配当を受け取ると、受取方法に応じて課税(後述)されます((No.1755 満期保険金等))。
税金の正解:契約形態と受取方法でこう変わる
課税区分は「保険料負担者」と「受取人」の関係、そして受け取り方で決まります。
- 契約者=受取人が自分の場合:一時金で受け取れば一時所得、年金形式なら雑所得です((No.1755 満期保険金等))。一時所得は「受取総額−払込保険料−特別控除50万円」の1/2が課税対象。年金はその年に対応する払込相当額を差し引いた部分が雑所得で、原則源泉徴収されます。
- 契約者(負担者)と受取人が別人:贈与税の対象です(年金受給権を贈与したとみなす場合を含む)。(同上)
- 死亡保険金:相続税の対象ですが、受取人が相続人なら「相続税の非課税枠(500万円×法定相続人)」が使えます((No.4114 死亡保険金の課税対象))。
- 契約中の配当:原則非課税。ただし年末調整・確定申告の生命保険料控除は配当等を差し引いた金額で申告((No.1140 生命保険料控除))。
- 税制の最新:2026年分(令和8年分)所得税では、23歳未満の扶養親族がいる場合に一般枠(遺族保障)の生命保険料控除上限を+2万円上乗せする時限措置が予定されています((令和7年度税制改正の概要))。合計上限12万円は据え置きです。
据置(積立)と利息課税の注意点
配当や満期金の受け取り方法には、積立(据置)・保険買増・保険料相殺・現金受取の4つが一般的です((配当金の仕組み))。据置は利息が付く反面、利息部分は雑所得になり、毎年の申告対象となります。実務でも、据置した満期保険金は“支払済み”と扱われ満期年に課税関係が生じ、据置利息は毎年の雑所得となる運用が示されています((満期保険金の据置・受取りについて知りたい))。一方、保険料相殺は家計の負担軽減に直結、保険買増は保障を厚くできます。少額配当は現金より相殺・積立のほうが合理的なことが多いでしょう。

配当は“おまけ”。配当がゼロでも納得できる設計になっているか──そこが、長い契約を後悔しない分岐点です。
受け取り方法の選び方(基準)
- 1生活費の足しが目的なら相殺や現金、将来のまとまった資金なら積立(据置)が向く
- 2保障を厚くしたいなら保険買増だが、既契約の保障と重複しないかを先に点検する
- 3据置の利息は雑所得になるため、源泉・申告の要否と翌年の住民税影響まで確認する
- 4毎年配当型で少額なら、現金より保険料相殺のほうが効果を実感しやすい
- 55年ごと配当型は初回6年目。それまでに解約すると配当を受けられない可能性がある
2025年の動向:各社の配当方針と目安の読み方
長引いた低金利から金利上昇局面に入り、運用収益の改善を背景に、有配当商品の増配や配当方針の見直しが散見されます。大手生保の一社は中期計画で「お客様配当性向」を安定的に60%程度に引き上げる方針を掲げ、2024年度決算を踏まえた2025年度の契約者配当では配当基準利回りの引上げと対象契約の増配を公表、さらに2026年から長期継続契約向けの追加配当制度(長期継続配当)の創設予定も示しています((契約者配当の充実))。とはいえ、配当は将来保証ではありません。利回り目安は商品・時期で差が大きく、過度な期待は禁物です。社外の公的解説も並行して確認しましょう((配当金に関する重要事項))。
ケース別チェック:受け取り基準の早見
毎年配当型は、初回が契約3年目の応当日からが一般的。その後は決算に応じて増減します。5年ごと配当型は“5年ごとにまとめて”のため、途中解約時は配当を受けられない年次が生じやすい点に注意。第三分野(医療・がん)は原則無配当で、配当を目的に選ぶ種類ではありません。複数契約がある方は、配当の型・初回時期・受取方法(初期設定)を保険証券と「配当のお知らせ」で必ず確認しましょう。
実践手順:今日からやる3ステップ
ステップ1|保険証券と約款で「配当の型」「初回配当時期」「受取方法(初期設定)」を確認します。迷ったら担当窓口にチャットや電話で聞き、社内の配当ポリシーもWebでチェック。
ステップ2|受取方法を見直す場合は、積立→相殺→現金→買増の順に家計目的と税務を照合。積立なら利息課税、現金なら使途、買増なら保障重複を点検。オンライン手続が可能かも確認。
ステップ3|満期・解約の予定があるなら、税額シミュレーションを先に。一時所得か雑所得か、前年の収入との合算、住民税影響、年末調整での生命保険料控除の差引もセットで準備((No.1755 満期保険金等)、(No.1140 生命保険料控除))。
よくある質問(抜粋)
配当は毎年もらえますか?無配当は損ですか?

配当は決算次第でゼロ年もあり、保証ではありません((配当金に関する重要事項))。無配当は保険料が抑えられるのが利点。保障の必要量と家計に合わせて、有配当“だから”ではなく、本来の保障設計で選ぶのが失敗しないコツです。
“配当ゼロ年”への備え方
配当を家計の前提にせず、配当が出ない年でも成り立つキャッシュフローを作るのが基本です。具体的には、(1)保険は保障を最優先に最小限の期待で持つ、(2)余剰資金の利回りはNISAなど別レーンで狙う、(3)受取を積立(据置)にしても利息課税に注意──この3点で“配当頼み”の設計から卒業しましょう。必要があれば、各社の配当方針ページと公的な基礎情報を並べて確認し、期待値をコントロールしてください。
まとめ:重要ポイント
- 1配当は“予定と実績の差”の還元で保証ではない。型(毎年/5年ごと)と初回時期を証券で確認する
- 2契約中の配当は原則非課税だが、満期・解約と同時受取は課税。受取方法で一時所得/雑所得が分かれる
- 3年末調整は配当分を差し引いて生命保険料控除を申告。据置利息は雑所得の扱いに注意
- 42025年は一部で増配や方針見直しがあるが、期待は控えめに。長期継続配当など新制度もチェック
- 5受取方法は家計目的と税務で選ぶ。相殺で負担軽減、積立は利息課税、買増は重複リスクを点検
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