【2025年9月更新】低解約返戻金型終身保険の入り直し|損益分岐と判断基準
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
この記事の最新の更新
最終改良: 2025年9月7日
- 予定利率改定の最新データと参考リンクの追加
- モデルケース前提条件と注意事項の近接明示
- iDeCo改正の施行時期と家計影響の整理

低解約返戻金型終身保険
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iDeCo
FP相談
目次
導入|予定利率上昇で“入り直し”が気になる理由
テレビやSNSで「終身保険の保険料が下がった」という声が増えています。背景にあるのは、各社が運用前提となる 予定利率 を段階的に引き上げていること。これにより、同じ保障なら新規契約の月額保険料が抑えられたり、払込後の返戻水準が改善する商品が出ています。一方で、いまの契約を解約して新たに契約し直す 入り直し は本当に得なのか、途中解約で損をしないかという不安も当然です。本記事は、30代共働き世帯を主な読者に、 低解約返戻金型終身保険 を中心に“入り直し”の損益と判断手順をデータと実例で整理します。最後にオンラインFP相談の活用法もご案内します。
実践チェックリスト|入り直し前に必ず確認したい5点
- 1現在の契約の解約返戻金とこれまでの払込総額を最新の証券やWebで確認する
- 2新旧それぞれの今後の総保険料と、主要時点(払込完了・60歳・70歳)の返戻水準を比較する
- 3既契約を解約した場合の損益分岐年数を家計キャッシュフローで試算する
- 4告知事項と健康状態を再点検し、新規審査の可否・条件変更リスクを見込む
- 5団体信用保険や勤務先の保障と重複がないか、必要保障額を再計算する
予定利率上昇の最新インパクトと注意点
予定利率が上がると、同じ保険金額でも必要保険料は下がり、将来の 返戻率 が改善する方向に働きます。実際に、大手生保の一部では2025年以降、終身・年金・養老などの予定利率を段階的に引き上げています。例えば、ある大手では2025年1月以降の新契約で終身の予定利率を0.25%→0.40%、年金を0.60%→1.00%に改定しています(詳細は「(保険料率等の改定について)」参照)。また、別の大手では2025年7月に一時払終身の予定利率を1.30%→1.75%に改定し、同時に契約例で保険料が約9〜11%低下するケースを公表しています(「(一時払終身保険の保険料率の改定について)」参照)。
ただし、これらのメリットは基本的に「これから契約する人」に及ぶ点に注意が必要です。すでに締結済みの終身保険に後から新利率が自動適用されることは通常ありません。予定利率と保険料の関係、既契約への影響、今後の金利動向の見方については「(生命保険会社の「予定利率引き上げ」が及ぼす影響とは)」が参考になります。
優良性の表示に関する重要なご注意:保険料の低下や返戻条件の改善は、商品・加入年齢・性別・払込期間・付加特約・審査結果などの条件により変わります。途中解約時は元本割れの可能性が高く、不担保期間の設定や契約貸付利率の見直し等の制限がある場合もあります。各社のパンフレット・提案書・約款で必ず詳細をご確認ください。
解約してから新契約で大丈夫?
今の終身保険を解約してから、新しい商品に入り直してもいいですか?

新契約の成立(承諾)を確認してから既契約の解約・減額を行うのが安全です。審査で条件変更や不承認となると無保険期間が生じます。重複期間の負担は、引き落とし日の調整や減額の先行で短縮できます。
低解約返戻金型終身保険の特徴と数字の見方
低解約返戻金型は、払込期間中の解約返戻金を通常型より低く抑える代わりに、毎月の保険料を抑える設計です。長期で持ち切る家庭ほどメリットが出やすく、途中解約の予定がある場合は不利になりやすい点が最大の留意点です。
モデルケース(表示条件):契約年齢30歳・男性/保険期間:終身/保険金額:500万円/払込期間:60歳まで/払込方法:月払(口座振替)/主な給付事由:死亡・高度障害。代表的な設計では、月額保険料はおおむね「約1万円前後」となり、払込完了時点(60歳)での解約返戻金は払込総額に対し約100%前後〜110%超、以降の据置でさらに上昇する例も見られます。女性は同条件で男性より保険料がやや低い傾向があります。
重要なご注意:ここに示した数値は一例であり、商品設計や利率改定、健康状態による条件変更、付加特約の有無などにより大きく変動します。正確な金額・返戻率は各社の最新シミュレーション(提案書)をご確認ください。

“安いから”ではなく“何のために持つか”。目的が決まれば、払込期間・金額・解約の線引きが自然と定まります。
30代共働きの払込プラン比較と家計への当てはめ
人気は「30歳加入・60歳払込完了」ですが、30〜35歳なら「65歳払込」で月額負担をさらに抑える、反対に「10年・20年の短期払」で早めに払済にして老後の固定費を下げる、といった設計も現実的です。先のモデル条件(30歳・男性・保険金500万円)に近い設計であれば、目安として60歳払込で月約1万円前後、20年短期払で月約1.5万円前後となるケースが一般的です。ボーナス併用払や夫婦で分散して契約する手もあります。
ただし、ローンや教育費の山と重なる時期は無理をしないことが大切。家計のキャッシュフロー表に落とし込んで、貯蓄率や新NISAの積立額とのバランスをFPと一緒に試算しましょう。
統計から見る“見直し需要”と過不足の見極め
生命保険の加入は一般的な行動です。直近の調査では、2人以上世帯の生命保険(個人年金を含む)世帯加入率は約9割(89.2%)と報告されています(「(2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行))」)。加入が当たり前だからこそ、重複や過不足の点検が重要です。住宅ローン団信や勤務先の保障でカバーされる部分を差し引き、必要保障額を家族の年齢や収入見通しに合わせて数値化しましょう。
FP相談で“入り直し”を仕上げる段取り
- 1LINEやウェブで家族情報・加入中の保険証券を共有し、事前ヒアリングを済ませる
- 2必要保障額と空白リスクを見える化し、複数社プランの提案書と条件を並べて比較する
- 3新旧契約の返戻水準・損益分岐年数・二重払い期間を時系列でシミュレーションする
- 4解約・減額・特約付替の可否や手数料、引落しスケジュールを具体化してミスを防ぐ
NISA・iDeCoとの併用で“保険=保障、投資=成長”を明確に
積立投資の制度は拡充が続いています。新NISAは非課税保有期間が無期限、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)とされています(「(NISAを知る)」)。また、2025年6月に成立した年金制度改正法により、 iDeCo の加入可能年齢上限の70歳未満への引上げ等が盛り込まれ、施行は段階的に見込まれています。厚生労働省の整理では、拠出限度額の見直しやiDeCoの年齢引上げは2027年の控除分からの実現を目指す方向が示されています(「(私的年金制度の主な改正事項の施行スケジュール【予定】(2025年7月時点))」)。
家計全体では、死亡保障などの保険は“守り”、新NISAやiDeCoは“攻め”として役割を分けるのが基本。貯蓄型保険は相続や学資など特定目的で活用余地がある一方、長期の資産形成は投資制度のほうが柔軟です。両者を組み合わせ、家計のバランスシートで整合を取りましょう。
二重払い回避と審査・解約の実務メモ
二重払いを避けるには、新契約の成立タイミングと既契約の引落し日をFP・保険会社と事前に擦り合わせることが有効です。既契約は一括解約だけでなく「減額→新契約」の順にする、払込方法の変更で次回引落しをスキップする等の選択肢もあります。告知事項は正確に、健康診断結果は最新のものを準備しておくと審査がスムーズです。学資や住宅ローンの節目では“いったん減額で様子見”も合理的な判断になりえます。
よくある疑問に簡潔回答
Q. 途中解約の損はどのくらいで埋まりますか?
A. 新契約の条件次第ですが、損益分岐は10年前後になることもあります。過度に短期での回収は想定せず、家計全体の資金繰りが回る前提かを重視しましょう。
Q. 乗り換えのベストタイミングはありますか?
A. 金利上昇局面では条件が改善しやすい一方、将来の追加改定もあり得ます。必要保障が不足しているなら先送りは禁物、十分に足りていて“条件待ち”をするなら市場金利と各社の動向を見ながら判断しましょう。
オンラインFP相談ではどこまで相談できる?
無料のオンラインFP相談で、保険以外のNISAや住宅のことも相談できますか?

家計全体の設計、保険の最適化、新NISAやiDeCoの積立計画、住宅ローンとの並行管理まで幅広く扱えます。証券の写真や家計簿を共有いただければ、複数パターンの提案書と数値で比較できます。
まとめ前のひと押し
“入り直し”は適切にやれば家計の固定費を下げつつ目的保障を守れます。ただし、損益分岐と無理のない払込計画を数字で確認することが前提です。専門家のセカンドオピニオンを上手に使いましょう。
まとめ:重要ポイント
- 1予定利率の引上げで新契約の保険料・返戻条件が改善傾向
- 2低解約返戻金型は長期継続で効く設計。途中解約は元本割れに注意
- 3入り直しは新旧の損益分岐・審査条件・二重払いの管理が肝
- 4新NISA・iDeCoを“攻め”、保険を“守り”として役割分担
- 5迷ったらオンラインFP相談で家計全体を数値化して判断
ぜひ無料オンライン相談を
入り直しの損益分岐や払込負担、NISAやiDeCoとの配分は家庭ごとに最適解が異なります。オンラインなら時間や場所を選ばず、無料で何度でも相談可能。中立的に複数社の提案書を比較し、二重払いの調整や解約・減額の段取りまで具体化できます。まずはLINEで保険証券と家計の概要を共有し、わが家の最適バランスを一緒に数値化しましょう。
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