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【2025年10月更新】長期平準定期保険の損金と出口|判定早見表と3ステップ

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年10月更新】長期平準定期保険の損金と出口|判定早見表と3ステップ
長期平準定期保険
損金算入
解約返戻金
退職金
法人保険
税制改正2025
資産計上

いま整理すべき理由と全体像

2019年通達改正後、法人の 長期平準定期保険 は「前払部分の資産計上」と「解約時の出口課税」を前提に設計するのが基本です。2025年は退職金の「10年ルール」導入が予定され、出口戦略の再設計が必要になりました。この記事では最新の一次情報に基づき、損金判定の早見、会計フロー、税務調査の着眼点、NG回避のポイントまでを実務で使える形に整理します。結論として、保険は「節税ではなく繰延と資金平準化の道具」。解約返戻金は退職金と組み合わせて初めて税負担の山をならす効果が出ます。

まず押さえる最新ポイント

  • 1
    最高解約返戻率の帯(50%以下/50%超〜70%/70%超〜85%/85%超)で損金と資産計上が決まる
  • 2
    年換算保険料30万円以下かつ返戻率70%以下は“少額特例”で通常処理(前払の資産計上なし)
  • 3
    保険期間3年未満や最高返戻率50%以下は前払多額に該当せず、当期分保険料は期間対応で損金処理
  • 4
    2019年7月8日以降の新契約は改正通達適用。旧契約は遡及なしだが、契約変更の内容次第で“みなし新契約”の可能性あり

制度根拠を確認(一次情報リンク)

損金判定は国税庁タックスアンサーの区分と期間対応が基準です。資産計上・取崩しの帯や少額特例は (No.5364-2) に明記、通常処理の範囲は (No.5364) に整理されています。改正趣旨と契約変更の考え方は (保険料取扱いFAQ) が実務の一次資料です。出口側の最新論点である退職金の「10年ルール」(iDeCo・DC一時金を含む控除の重複排除)は、財務省の (令和7年度税制改正の大綱) に記載されています。

損金判定の最新早見(帯と按分の実務)

ポイントは「最高解約返戻率の帯」と「資産計上期間」です。
  • 50%以下(または保険期間3年未満):当期分保険料は期間対応で 全額損金(前払資産の計上なし)。根拠は (No.5364)
  • 50%超〜70%以下:資産計上期間=保険期間の40%、資産計上額=当期保険料の40%、取崩しは保険期間の75%経過後から満了まで(No.5364-2の表)。
  • 70%超〜85%以下:資産計上期間・取崩期間の枠組みは上記と同様で、資産計上額は 当期保険料の60%
  • 85%超:資産計上額は原則 70%(開始から10年までは90%)。資産計上期間は「最高返戻率となる期間」終了まで(最短5年の注記あり)。いずれも (No.5364-2) の表が実務の拠り所です。 併せて、少額特例(最高返戻率70%以下かつ年換算保険料30万円以下/被保険者ごと)は前払多額の扱いから外れ、通常の期間対応で当期分を損金処理できます(No.5364-2 注1)。

会計・経理の実務フロー(期間対応)

毎期の仕訳は、支払保険料のうち通達の帯に応じた比率を「保険料(費用)」と「前払保険料(資産)」に分けます。資産計上期間終了後は、取崩期間に入った年から「前払保険料」を均等に取り崩して費用化(損金算入)します。85%超帯では初期10年間は資産90%・費用10%のイメージ、その後ピーク終了まで資産70%・費用30%が続く設計が一般的です(通達の算式に依存)。返戻率の推移と資産残高は、設計書と決算ごとの残高試算でモニタリングし、ピーク時期のズレや契約変更の影響を都度反映させましょう。根拠は (No.5364-2)

帯の判定はどう進めればいい?

自社の契約がどの帯に当てはまるか、設計書のどこを見ればわかりますか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
「最高解約返戻率」と「保険期間」を確認します。設計書の返戻率一覧でピーク値が何%か、期間が何年かを特定。その値でNo.5364-2の帯に当てはめ、当期の資産計上割合と資産計上期間(40%・75%の境やピーク終了まで等)を決めます。年換算保険料が30万円以下かつ返戻率70%以下なら少額特例で前払資産は不要です。

税務調査の着眼点とエビデンス整備

調査では「加入目的」「役員・使用人の範囲」「受取人の設定」「社内決裁と文書化」が必ず問われます。保険は福利厚生・事業保障・退職金原資などの合理的目的であることを、取締役会(株主総会)議事録、退職金規程、契約設計書、返戻率推移、資産計上の試算根拠で示せる状態にしておきましょう。特に出口で退職金を支給する場合、支給根拠の算定書、社内規程の適用、同業水準の参照を事前に整えます。受取人が被保険者・遺族で、役員や特定の使用人のみ加入している場合の保険料は「給与」認定になり得る点(No.5364・5364-2の注)にも注意が必要です。

出口戦略の基本:解約益と退職金の同年度設計

解約返戻金は法人の 益金。資産計上残高との差額(解約益/損)は解約年度の損益に反映されます。過度な課税の山を避ける王道は、同じ期に適正な役員退職金を支給して損益を中和する設計です。2025年以降は「退職金の10年ルール」(DC・iDeCoの一時金との退職所得控除の重複調整期間が“5年→10年”へ拡大予定)が出口計画に影響します。退職金と企業型DC・iDeCoの受取時期は、税負担を最小化するよう再スケジューリングしてください。制度動向は財務省の (令和7年度税制改正の大綱) を参照。業界の実務的見解として、受け取りの並べ方を事前に棚卸しする重要性は金融機関のコラムでも指摘されています(例:(安心老後のためにDC加入者が今やっておくべきこと))。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
「保険で利益を隠す」の時代は終わりました。今は“資金の平準化”と“出口の根拠作り”で、税負担の山をならす時代です。根拠資料を積み上げれば、保険は経営の信頼資産になります。

NG回避のチェック(出口前に必ず)

  • 1
    退職金額の妥当性を功績・同業水準・社内規程で説明できるよう算定書を作っておく
  • 2
    契約変更・払済・転換で“みなし新契約”扱いになる可能性をFAQで確認してから実行する
  • 3
    名義変更で個人に移す場合は、返戻金相当額の利益供与(賞与)認定リスクに備え、解約→退職金支給→個人で新規の順で手当てする
  • 4
    解約返戻率のピーク時期を毎期更新。早期解約やピーク後の解約で資金効率が落ちないよう事前に資金計画と連動させる

ケーススタディ(数値イメージ)

最高返戻率80%台・保険期間30年の長期平準の例。年額保険料120万円、帯は「70%超〜85%以下」。毎期は費用40%・資産60%のイメージ。15年目ピークで解約返戻金が払込累計の約85%戻る設計なら、資産取崩し残との差額が「解約益」として跳ねます。ここで同年度に退職金を適正支給すれば損益中和が可能です。反対に、5年で早期解約すると返戻率はまだ低く資金回収は不十分、資産計上の残が大きく、期待した税効果は限定的になります。扱いの枠組み自体は No.5364-2 の算式に忠実です。

実行の3ステップ・チェックリスト

ステップの順番はシンプルです。 1)目的の明確化(保障×資金計画)。役員退職金・事業保障・承継資金のどれを主目的にするかを定義。 2)区分判定と社内体制。最高返戻率と期間で帯を確定し、仕訳テンプレとモニタリング表を用意。少額特例の該当有無も確認。 3)出口のリハーサル。解約時期・退職金の時期・金額・議事録・算定書・源泉処理までを一連の手順で“同年度”に並べる。財務・税務・人事が同じ資料を見て進めるのが理想です。

よくあるQ&A(最新規程対応)

Q:全額損金は可能? A:当期分の保険料について、返戻率50%以下や保険期間3年未満は期間対応で当期分を全額損金計上(前払資産なし)。一方、50%超の契約は帯に応じた資産計上が必須です((No.5364)(No.5364-2))。
Q:年30万円の少額特例の範囲は? A:被保険者ごとの年換算保険料が30万円以下、かつ最高返戻率70%以下の契約は、前払多額の扱いから除外され、通常処理(期間対応)でOKです(No.5364-2 注1)。
Q:退職金の“10年ルール”は出口にどう影響? A:DC・iDeCoの老齢一時金と退職金の退職所得控除の重複排除期間が「5年→10年」へ拡大予定。解約益と退職金の同年度中和は有効ですが、企業年金の一時金受取時期との“間合い”を10年基準で見直す必要があります((令和7年度税制改正の大綱))。
Q:旧契約の見直しで“みなし新契約”になりますか? A:2019年改正後は、契約変更の内容によって改正通達の適用対象(新たな前払資産計上)が生じる場合があります。具体の線引きは国税庁の (FAQ) を参照し、変更前に税理士と確認するのが安全です。

次のアクションと無料相談案内

まずは保険証券と設計書(返戻率推移、最高返戻率、年換算保険料)を棚卸しし、帯と少額特例の該当有無を確定。出口では退職金の算定書と決議・源泉の段取りまで“同年度”でリハーサルしておくと安心です。弊社「ほけんのAI」は、24時間のチャットから無料でFP相談に繋げられます。LINEで証券画像を送れば初期棚卸しもスムーズ。いまなら無料オンラインFP相談の参加でギフト付きキャンペーンも実施中です。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    損金判定は最高返戻率の帯で決まる。50%超は資産計上を伴う
  • 2
    少額特例(30万円×70%以下)と3年未満は前払資産なしで期間対応
  • 3
    出口は解約益と退職金の“同年度中和”。10年ルールで受取時期の再設計が必須
  • 4
    税務調査は目的・受取人・社内規程・議事録・算定書のエビデンスが鍵
  • 5
    契約変更は“みなし新契約”の可能性。FAQで線引きを確認してから実行

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