【2025年11月更新】生命保険 専業主夫の必要保障額|不足額の出し方と金額目安
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

生命保険
専業主夫
必要保障額
不足額の出し方
遺族年金
収入保障保険
定期保険
目次
はじめに:専業主夫の“見えにくい不足”を数字で可視化
家計の働き手が妻、家庭を支えるのが夫という 専業主夫 世帯では、万一の時に収入は変わらなくても「家事・育児の外注費」「妻の勤務調整による手取り減」「一時金(葬儀・帰省・整理費)」が一気に立ち上がります。この記事では、保険の基本式である 必要保障額 を「支出−収入=不足」を期間で積み上げる形で算出し、使う保険種別(定期・収入保障・就業不能・医療)の配分まで実務的に落とし込みます。2028年の 遺族年金 見直しや、2025年の全国調査データも反映し、賃貸/持ち家×子どもの年齢で“守るべき厚み”を自分ごとに落としていきましょう。
不足額の出し方:差額×期間のアクションプラン
- 1現在の生活費から“当面の圧縮率”を決め、家計の月次基準額を確定する(例:食費・通信・保険料は据え置き、娯楽は一時圧縮など)。
- 2外注費(家事代行・保育・介護の自己負担)と一時金(葬儀・帰省・整理費)を期間・回数で見積もる。
- 3入ってくるお金(妻の手取り、遺族給付、預貯金・投信の取り崩し、既契約保険金)を保守的に見積もる。
- 4支出合計−収入合計=月/年の不足額を出し、子の独立やローン完済など節目までの“年数”を掛ける。
- 5不足の性質に合わせて、定期(まとまった不足)/収入保障(毎月の不足)/就業不能・医療(働けない時・治療時の不足)へ配分する。
最新トレンド:2028年の遺族厚生年金“5年有期”の影響
2028年4月の改正では、子のいない配偶者の遺族厚生年金が原則 5年の有期給付 になります。有期期間中は「有期給付加算」で支給額が約1.3倍に増え、その後は障害状態や低所得などの一定要件で 継続給付 が可能です。単身の目安としては「就労収入が月約10万円以下は全額支給、概ね月20〜30万円超で停止」とされ、子のいる遺族や遺族基礎年金・子の加算(年額約28万円へ増額)には手厚さが維持されます。制度の当てはまりと家計影響を、まずは一次情報で確認しましょう。(遺族厚生年金の見直しについて)
子なし夫婦は遺族年金をあてにできる?
夫が専業主夫、子どもはいません。遺族年金で生活費はどの程度まかなえますか?
子のいない配偶者は、2028年以降は遺族厚生年金が原則5年の有期です。期間中は約1.3倍に増えますが、恒久的な生活原資にはなりません。継続給付の所得基準(月約10万円目安/20〜30万円超で停止)もあるため、妻の手取りと貯蓄を基礎に、葬儀・生活予備費(年50〜100万円程度)を定期保険の一時金で確保、毎月の不足は収入保障保険の“月額×5年”などで埋める設計が現実的です。
データで見る“保障ギャップ”:平均必要額1,569万円に対し加入887万円
全国調査では、世帯が考える 死亡保険金の必要額 の平均は1,569万円、実際の加入金額の平均は887万円で、充足は56.5%にとどまります。多くの家庭で「想定よりも不足」しているのが現実です。調査全文はこちらで確認できます。(生活保障に関する調査《速報版》)
保険は「足りない分だけ」を無駄なく埋めるのが正解です。支出と収入の差額を期間で積み上げ、根拠のある不足額に保険をぴたりと合わせましょう。
モデル試算:賃貸/持ち家×子どもの年齢で不足を“現金化”
例として、妻の手取り月30万円・夫は専業、子6歳・首都圏賃貸(家賃月15万円)の世帯を仮定します。夫の死亡時、妻が仕事を維持しても、家事外注に月5〜8万円、学齢期は塾・習い事で月2〜4万円が増え、年の一時費用(葬儀・帰省・整理等)50〜100万円が発生しがちです。こうした追加支出は遺族年金ではカバーし切れないため、当面10年の不足を可視化すると、月10〜15万円程度×120か月=1,200〜1,800万円の“流し込み”が目安になります。持ち家(団信でローン完済)で住居費が軽くなる場合は、家事外注と教育費中心に不足は圧縮され、同条件で800〜1,200万円程度に。まとまった葬儀費・教育の山(高校・大学)を定期保険で、毎月の不足を収入保障で受け取る“二段構え”にすると、無駄な保険料を抑えた設計ができます。
設計の使い分け:定期・収入保障・就業不能・医療
- 1定期保険は“まとまった不足”に充てる:葬儀費用200〜300万円+教育の山(入学時一時金など)。
- 2収入保障保険は“毎月の不足”に充てる:不足月額×必要年数。最低保証年数(2年・5年)を確認。
- 3就業不能保険は“働けない期間の家計の穴”に備える:主夫でも家事・育児が不能なら外注費が増える。
- 4医療保険は“治療時の自己負担と雑費”に備える:入院・手術の自己負担、食事・差額ベッド・付き添い費など。
税制と運用の併用:守る資金と育てる資金の配分
家計全体では、当面5〜10年の“守る資金”(保障・生活予備)と、15〜20年の“育てる資金”(新NISA・iDeCoなどの積立)を分けて考えるのが王道です。保障で毎月の不足が埋まれば、投資のリスク許容度が上げやすく、逆に保障を削るなら“守る資金”の現金比率を高めるなど、両輪でバランスを取りましょう。生命保険料控除は一般・介護医療・個人年金の3区分が基本。家計の税と控除は年末に見直し、翌年の保険・積立の配分調整につなげるとスムーズです。
持ち家・団信完済後はどれくらい残す?
持ち家で団信は完済予定。子が中学生です。死亡保障はどれくらい残せば良いですか?
住居費が軽くなる分、まとまった一時金(葬儀・進学)と家事外注・教育の増分だけに絞れます。試算は「一時金300〜500万円+毎月不足5〜8万円×子の独立まで」。不足の受け取りは収入保障の年金形式にして、進学時は定期保険の一時金で“山”を越える二段設計がコスト効率良く、過不足が出にくいですよ。
Q&A補足:専業主夫の遺族年金と教育費の考え方
専業主夫が亡くなった場合でも、子がいれば遺族基礎年金の対象となります。一方、子がいない配偶者の遺族厚生年金は2028年から原則5年の有期給付です(期間中は約1.3倍の加算、所得要件で継続給付あり)。制度は家計の“底”にはなりますが、家事・育児の外注や教育費の増分は自助が前提。教育費は毎月の平常運転(塾・習い事・部活・交通)+入学時の山(制服・教材・入学金)で段取りし、長期の大学資金は投資や貯蓄と合わせて出口(受取時期・方法)まで決めておくと安心です。
不足の算式はシンプルでも、家計の数字は一つひとつ固める必要があります。今日の30分の棚卸しが、向こう10年の安心につながります。数字で決めて、保険は軽やかに。
まとめ:重要ポイント
- 1必要保障額は「支出−収入=不足」を期間で積み上げるのが最短の正解。
- 22028年の遺族厚生年金は原則5年有期。子の加算増額と継続給付の所得基準を確認。
- 3全国調査では必要額1,569万円に対し加入887万円。ギャップを自分ごとに再計算。
- 4定期(山)×収入保障(月)×就業不能・医療(働けない時)の二段三層で設計。
- 5賃貸/持ち家×子年齢で不足額の厚みを見極め、“足りない分だけ”を保険で埋める。
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