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【2026年5月更新】生命保険は要る?60代・70代の不足額診断

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
この記事の最新の更新
最終改良: 2026年5月29日
  • 2026年5月時点の制度検討状況の反映
  • 生命保険協会2025年版データの追加
  • 在職老齢年金65万円改正後の試算補強
【2026年5月更新】生命保険は要る?60代・70代の不足額診断
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60代・70代の保険は「いくら・いつまで」で整理する

老後の生命保険で迷いやすいのは、「不安だから残す」と「保険料が重いからやめる」の間に、ちょうどよい答えが見えにくいことです。年金中心の家計では、毎月の生活費、住居費、医療・介護の自己負担、住宅修繕、葬祭費が少しずつ効いてきます。
この記事では、必要保障額を 差額×期間 で考えます。毎月足りない金額を出し、それが何年続くかを決める方法です。制度改正や業界データも踏まえながら、60代・70代が「残す保障」と「削れる保障」を見分ける手順を整理します。

必要保障額を出す5ステップ

  • 1
    毎月の生活費、住居費、医療費、介護の予備費を家計簿ベースで洗い出し、年払い費用も月額に直します。
  • 2
    公的年金、企業年金、退職金、遺族年金、高額療養費制度などを確認し、見込める収入や給付を重複なく差し引きます。
  • 3
    賃貸なら住み続ける年数、持ち家ならローン完済時期や大規模修繕の時期をもとに、保障期間の終点を決めます。
  • 4
    葬祭費や緊急予備資金は死亡保障と混ぜず、預貯金または小さな終身保険で別枠にします。
  • 5
    解約返戻金、預貯金、新NISAの資産などを差し引き、足りない部分だけ保険で補います。

差額×期間で決まる、現実的な保障額

必要保障額は、支出から公的給付や手元資金を引いた「不足額」に、必要な年数を掛けて考えます。たとえば、毎月の生活費が22万円、年金と取り崩しで18万円を賄えるなら、不足は月4万円です。これを10年間補うなら、4万円×12か月×10年で480万円が目安になります。
ここで大切なのは、死亡保障を一律に大きく持たないことです。配偶者の生活費、住宅ローン、葬祭費、相続対策は目的が違います。生活費の不足は定期保険、葬祭費は小さな終身保険、医療・介護は一時金や現金で備えるなど、役割を分けるほど保険料のムダを抑えやすくなります。

住宅ローンが残っている場合はどう考える?

60代夫婦で住宅ローンが1,000万円残っています。死亡保障はローン分まで必要ですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
まず団信、つまり団体信用生命保険の有無を確認してください。多くの住宅ローンでは、契約者が亡くなったときに残債が精算されます。団信が有効なら、ローン1,000万円をそのまま死亡保障で上乗せする必要は薄く、配偶者の生活費不足を5〜10年分で見るのが現実的です。団信がない、または保障対象外の借入がある場合は、完済時期までの不足分を優先してカバーしましょう。

生命保険の最新動向は「死亡保障を抑え、医療保障を厚く」

生命保険協会の(生命保険の動向 2025年版)によると、2024年度末の個人保険の保有契約件数は1億9,530万件で17年連続増加しました。一方、保有契約高は778兆9,902億円で前年度比98.5%となり、死亡保障を抑えて医療保障を充実させる傾向が続いています。
医療保険の保有契約件数は4,545万件、ガン保険は2,522万件です。つまり、最近の保険選びは「大きな死亡保障を長く持つ」より、「亡くなった後の生活費不足は必要期間だけ、医療やがんは家計で負担しきれない部分を補う」という方向に寄っています。60代・70代も、この流れを踏まえて保障の棚卸しをすると判断しやすくなります。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
心配ごとを全部保険で埋めようとすると、老後の自由に使えるお金が減ってしまいます。数字で足りない部分を見つけることが、安心への近道です。

医療費は高額療養費制度を前提に、現金も厚めに持つ

医療費は 高額療養費制度 により、年齢や所得に応じて1か月の自己負担上限が設けられています。たとえば公的医療保険の対象になる治療であれば、窓口負担が大きくなっても、一定額を超えた部分は後から払い戻し、または限度額適用認定証などで支払いを抑えられます。
ただし、差額ベッド代、入院中の日用品、交通費、家族の付き添い費用、先進医療の技術料などは制度の対象外になることがあります。入院食費の標準負担額も2025年4月から一般所得者は1食510円に引き上げられています。医療保険を厚くしすぎる前に、まずは数か月分の生活費に加えて、医療・介護用の現金を別口座で確保しておくと安心です。

高額療養費の見直しは「確定情報」と「検討中」を分けて見る

2026年5月時点では、厚生労働省が(現在検討している医療保険制度改革についての考え方)を公表し、高額療養費の年間上限の新設などを説明しています。月ごとの自己負担が積み上がっても、年間上限に達した後はそれ以上の医療費の支払いが不要になる仕組みが示されています。
一方で、同ページでは関係法案が国会提出中で、今後の法令改正を予定しているとされています。つまり、家計設計では「見直しの方向性はあるが、細部は更新確認が必要」と扱うのが安全です。医療保険を解約・縮小する場合も、制度改正後の上限額や対象範囲を確認してから判断しましょう。

70代単身なら医療保険を厚くしたほうがよい?

70代単身、持ち家です。子どもに迷惑をかけたくないので、医療保険や終身保険を増やすべきでしょうか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
単身の方は、死亡保障を大きくするより、入院時にすぐ使える現金、介護サービスの自己負担、葬祭費の準備を優先したいところです。終身保険は葬祭費100万〜200万円程度に抑え、医療は一時金型など小さく使いやすい保障を検討します。あわせて、受取人指定、任意後見、死後事務委任など、お金以外の準備も早めに整えると安心です。

介護費用は施設・在宅で変わるため、保険だけに寄せない

介護の費用は、在宅か施設か、要介護度、地域、所得区分で大きく変わります。公的介護保険があっても、食費、居住費、日用品、理美容、家族の交通費などは自己負担になりやすい項目です。2025年8月からは、介護老人保健施設や介護医療院などの多床室で、室料相当額の扱いが変わり、居住費の基準費用額に日額260円分の増額が反映される取り扱いも示されています。
介護への備えは、民間介護保険だけで完結させるより、現金、家族との意思共有、住まいの見直し、地域包括支援センターへの相談先確認を組み合わせるほうが実践的です。特に持ち家の方は、手すり設置や段差解消などの住宅改修費も見込んでおきましょう。

働きながら年金を受け取る人は在職老齢年金を再確認

2026年4月から、在職老齢年金の支給停止基準額は月65万円に引き上げられました。日本年金機構の(在職老齢年金制度が改正されました)では、賃金と老齢厚生年金の合計が65万円以下なら老齢厚生年金は全額支給されると説明されています。老齢基礎年金は調整の対象外です。
たとえば、老齢厚生年金が月10万円、賃金が月46万円相当なら合計56万円です。改正前は一部停止の例でしたが、改正後は65万円以下のため全額支給になります。働ける期間が延びるほど、生命保険で補うべき生活費不足は小さくなります。60代の保険見直しでは、退職予定年齢だけでなく「何歳まで、どの程度働くか」も必ず入れて試算しましょう。

いまからできる保険と家計の最適化

  • 1
    保険証券を並べ、死亡保障、医療保障、介護保障、特約、保険料、保障終了年齢を一覧にします。
  • 2
    年金見込額、就労収入、住宅ローン残高、家賃、固定資産税を入れて、毎年の不足額を試算します。
  • 3
    払済保険や延長保険を使う前に、特約が消える可能性や元に戻せないリスクを確認します。
  • 4
    葬祭費と緊急予備資金を預貯金で確保できる場合は、大きな終身保険を持ち続ける必要性を再検討します。
  • 5
    医療・介護の制度改正が反映された時点で、自己負担見込みと保険金額を年1回見直します。

保険料ゼロ化の前に、失う保障を確認する

保険料を下げる方法として、解約、減額、払済保険、延長保険があります。払済保険は、以後の保険料を払わずに保障を小さくして残す方法です。延長保険は、保険金額を一定程度保ったまま保障期間を短くする方法です。どちらも家計改善に役立つことがあります。
ただし、医療特約やがん特約が消える、元の契約に戻せない、解約返戻金が想定より少ない、といった注意点があります。特に60代・70代は、健康状態によって新しい保険に入り直しにくい場合があります。固定費を下げる前に「この保障を失っても、預貯金や公的制度で代替できるか」を確認しましょう。

新NISA・iDeCoは保険の代わりではなく、役割を分ける

資産形成では、新NISAとiDeCoの活用も老後家計に影響します。新NISAは運用益が非課税で、必要に応じて売却しやすい点が特徴です。iDeCoは掛金の所得控除が大きな利点ですが、原則として老齢給付まで引き出しに制限があります。
2026年12月からは、厚生労働省の資料( iDeCoがパワーアップします!)で示されているように、企業年金がない会社員の拠出限度額が月23,000円から月62,000円へ引き上げられる予定です。加入可能年齢も70歳になるまでに広がります。とはいえ、60代・70代は急な医療・介護費に備える現金が重要です。保険料を減らした分をすべて投資に回すのではなく、現金、保険、非課税口座の順にバランスを取りましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
保険で増やそう、投資で守ろうとすると判断が複雑になります。生活を守るお金と、時間をかけて育てるお金は分けて考えると迷いが減ります。

持ち家・賃貸で保障期間の終点は変わる

持ち家の方は、住宅ローン完済までの不足分を定期保険で補い、完済後は固定資産税、火災保険料、修繕費を中心に再計算します。屋根や外壁、給湯器、配管などはまとまった支出になりやすく、10〜15年単位で修繕費を見込むと現実に近づきます。
賃貸の方は、家賃が続く分だけ生活費不足が大きくなりやすい点に注意が必要です。配偶者が一人になった後の住み替え、保証人、家賃補助の有無も確認しましょう。住まいの条件を入れずに生命保険を決めると、持ちすぎにも不足にもなりやすいです。

相続対策としての生命保険は小さく、受取人を明確に

生命保険には、死亡保険金の受取人を指定できる利点があります。相続人が複数いる場合、現金を誰に渡すかを整理しやすく、葬祭費や当面の支払いにも使いやすい資金になります。また、相続税には「500万円×法定相続人の数」の死亡保険金の非課税枠があります。
ただし、非課税枠があるからといって大きな終身保険を持つ必要があるとは限りません。老後の生活費を圧迫してまで相続対策を優先すると、本末転倒です。まずは自分と配偶者の生活資金、医療・介護費、住まいの維持費を確保し、そのうえで受取人や金額を調整しましょう。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    60代・70代の生命保険は、毎月の不足額と必要期間を掛けて必要保障額を出します。
  • 2
    死亡保障は生活費不足、住宅ローン、葬祭費、相続対策に分けて、小さく目的別に持つのが基本です。
  • 3
    高額療養費や介護費用は制度改正の途中情報もあるため、確定情報を確認しながら現金を厚めに残します。
  • 4
    在職老齢年金の基準額は2026年4月から月65万円となり、働く期間によって必要保障額は変わります。
  • 5
    新NISA・iDeCoは老後資金づくりに有効ですが、医療・介護の急な支出に備える現金とのバランスが大切です。

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