【2025年10月更新】介護医療保険料控除の書き方|年末調整の判定と提出順と控除額早見表
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

介護医療保険料控除
年末調整
生命保険料控除
控除証明書
住民税
書き方
計算式
目次
はじめに:今年の要点と対象の全体像
年末調整の提出期限が近づくと、介護医療保険料控除(生命保険料控除の一部)をどう書けばよいか毎年悩みがちです。今年(令和7年分=2025年支払分)は、基礎控除や給与所得控除の見直しに伴い、扶養の線引きなど周辺の実務も更新されています。この記事では、対象保険の見分け方(医療・がん・介護・就業不能等)、新旧判定、申告書への転記、提出順、控除額の計算まで、最短で正確に進めるための手順を一気通貫で整理します。制度の根拠は国税庁の公式解説 (No.1140 生命保険料控除) をベースに、2025年の最新Q&Aや様式、2026年分の一時的特例(一般枠6万円)も一次情報リンクで確認できるようにしました。
2025年版のポイント4つ
- 1控除区分は新制度3枠(一般・介護医療・個人年金)で各最大4万円、3枠合計12万円。住民税は各2.8万円、合計7万円が上限です(No.1140の計算式に準拠)。
- 2契約が2012年以降は新制度、2011年以前は旧制度扱い。旧の医療・介護(第三分野)は「旧一般生命保険料」に含めて計算します。
- 3年末調整の再計算は翌年1月の源泉徴収票交付まで対応可能。記入ミスや扶養の年末異動もやり直せます((令和7年分 年末調整Q&A))。
- 42026年分(令和8年分の所得税)に限り、23歳未満の扶養親族がいる場合は「新一般生命保険料控除」の上限が6万円に拡充予定。合計12万円の総枠は据え置きです((令和7年度税制改正の大綱))。
介護医療保険料控除の対象と対象外
対象は、病気・けが・介護に関する給付がある保険契約(医療保険、がん保険、介護保障、就業不能・所得補償など)で、2012年以降の新契約は「介護医療保険料控除」に入ります。2011年以前の医療・介護は「旧一般生命保険料」で計算します((No.1140 生命保険料控除))。火災・自動車など損害保険は対象外です。公的介護保険料(40歳以上の介護保険料)は「社会保険料控除」側で扱われ、民間の介護・医療保険とは控除の枠が異なる点も混同しないようにしましょう。
社会保険料控除との違いは?
介護や医療の保険料って、全部まとめて同じ控除ですか?公的な介護保険料も提出が必要でしょうか?

民間の医療・介護・がんなどは生命保険料控除の「介護医療」枠で申告します。一方、給与から天引きされる公的介護保険料は社会保険料控除で会社が計算済みのことが多く、別途提出不要です。民間と公的は枠も提出書類も別なので、証明書の区分を確認しましょう。
判定フロー:新旧・区分・だれが控除できるか
まず保険会社から届く「生命保険料控除証明書」を確認します。記載の「区分(一般・介護医療・個人年金)」「新・旧の別」「控除対象額」を見れば、どの欄に書くか判定できます。新旧の境目は契約日で、2012年以降は新、2011年以前は旧です。誰が控除できるかは「保険料の負担者」と「受取人の要件」で決まります。契約者名義が配偶者でも、実際に保険料を負担したあなたが控除可能。ただし、保険金の受取人が本人・配偶者・親族であることが必要です((年末調整Q&A:問8))。
共働き・副業時の提出先と注意点
- 1年末調整は主たる勤務先のみ。副業先には保険料控除の申告は提出しません(副業分は確定申告側で反映)。
- 2夫婦で同一保険料を二重申告は不可。実際の負担者側で一方のみ申告し、受取人が本人・配偶者・親族になっていることを確認します。
- 3年末に扶養や所得の変動があった場合は、源泉徴収票交付までに会社へ異動の申出を。再計算で正しい控除額に修正できます(年末調整Q&Aの再計算運用)。
- 4共済(各種共済など)を含む複数契約がある場合、上限到達後は全契約の記入が不要なケースも。主要契約に絞って記入しても控除額は変わりません。
書き方ガイド:控除証明書→申告書の転記手順
会社配布の「給与所得者の保険料控除申告書」に、証明書の内容を転記します。保険会社名、保険の種類(医療・がん等)、保険期間、契約者・受取人の氏名、新旧の別、控除対象保険料額をそれぞれ記入。証明書の「控除対象額」は払込総額から配当・割戻金を差し引いた後の金額なので、そのまま転記します。様式と注意書きは国税庁のPDFでも確認できます((令和7年分 保険料控除申告書様式))。

証明書に書かれた「控除対象額」をそのまま写す——これだけで迷いの9割は消えます。払込総額ではなく証明額が“正解”です。
介護医療欄の正しい書き方ステップ
介護医療保険料控除欄には、新契約の医療・がん・介護保障などを行ごとに記入し、合計額から控除額を計算します。新制度の計算式(所得税)は以下のとおりで、各枠の上限は4万円です((No.1140 生命保険料控除))。
- 年間20,000円以下:全額
- 20,001~40,000円:半額+10,000円
- 40,001~80,000円:1/4+20,000円
- 80,001円以上:一律40,000円 旧契約の医療・介護は介護医療欄ではなく「旧一般生命保険料」側で扱う点に注意。一般・個人年金は申告書の指示どおり「新」「旧」それぞれ計算し、合算額と旧単独額の有利判定で最終控除額を決めます。
行数不足・記入ミス時のリカバリー
契約件数が多く記入欄が足りない場合は、会社に追加用紙(または別紙)を相談。上限到達が明らかな場合は主要契約の記載のみでも控除額は変わりません。記入ミスに気付いたら、源泉徴収票の交付前まで年末調整の再計算が可能です。年末調整に間に合わないときは、翌年の確定申告で同じ控除を適用できます((令和7年分 年末調整Q&A))。
提出順とスケジュール管理
提出書類は「保険料控除申告書」「扶養控除等申告書」「基礎控除申告書」をセットで。控除証明書(紙・電子印刷含む)を忘れず添付します。多くの企業で11月末前後が社内締切の目安。12月に会社が再計算し、還付・追徴を給与で精算、翌年1月までに源泉徴収票が交付されます。証明書は電子交付の普及で「電磁的記録印刷書面(QR等付き)」も添付・提示可とされています(保険料控除申告書の注意書き参照:PDF様式)。
電子交付・明細添付・5年保存の最新実務
確定申告では、令和8年分以後の申告書(令和9年1月1日以後提出)から、小規模企業共済・生命保険料・地震保険の各控除証明書は「明細書添付」に代替でき、税務署長からの求めに応じて5年間提示・提出する仕組みに変わります((令和7年度税制改正の大綱))。年末調整では、会社へ原本または電子版印刷の提出が基本です。原本の保管方針は各社の規程に従い、税務調査等に備えて適切に保存しましょう。
年末調整に間に合わない時の確定申告対応
証明書の未着・紛失等で年末調整に間に合わない場合でも、2~3月の確定申告で生命保険料控除を適用できます。電子交付での再発行やマイページからのダウンロードに対応する保険会社が増えています。必要書類が揃い次第、e-Taxまたは紙提出で申告しましょう。
控除額の早見表(所得税/住民税)
新制度(2012年以降契約)の所得税は、一般・介護医療・個人年金いずれも同じ式で各最大4万円。旧制度(2011年以前契約)は一般・個人年金が各最大5万円。新旧併存時は一般・個人年金で「旧6万円超は旧単独(最大5万円)、それ以下は新旧合算(最大4万円)」の有利判定を行います((No.1140 生命保険料控除))。住民税は各枠最大2.8万円、3枠合計7万円。細かな住民税の計算式は自治体の様式に従い、会社計算で自動反映されます。
2026年の一般枠6万円特例の位置づけ
令和7年度税制改正により、令和8年分(2026年課税分)の所得税に限り、23歳未満の扶養親族がいる納税者は「新一般生命保険料控除」の上限が6万円に拡充される予定です。介護医療・個人年金の枠は従来どおり最大4万円、3枠合計12万円の総枠は据え置き。年末調整では申告書の様式改定に沿って自動的に拡充後の計算が適用される見込みです(詳細は (令和7年度税制改正の大綱))。住民税側の上限は現行のままです。
よくある質問と実例で理解
• 配偶者名義を本人が払うケースの処理:契約者が配偶者でも、保険料を負担した本人が控除可能。受取人が本人・配偶者・親族であることが要件(年末調整Q&A:問8)。
• ふるさと納税等との併用順序:年末調整では生命保険料控除を反映、寄附金控除は確定申告・ワンストップ特例の枠組みで処理。重複申告や提出先の混同に注意。
• 団体保険・GLTD・各種共済の扱い:証明書の区分(一般・介護医療・個人年金)に従い、受取人要件を満たすもののみ対象。事業主負担分は本人の控除対象外。
仕上げ:提出前チェックと無料相談案内
提出直前のチェックは3点。①証明書の添付漏れなし(紙・電子印刷含む)、②新旧の○と受取人の氏名が適切、③転記額は「控除対象額」を使用。少しでも迷ったら、オンラインで相談しながら進めましょう。家計の最適化(新NISA・iDeCo)と両立させる視点も同時に整えると、控除以上の効果が得られることも多いです。
まとめ:重要ポイント
- 1証明書の区分(一般・介護医療・個人年金)と新旧の別をまず判定し、控除対象額をそのまま転記する
- 2介護医療は新契約のみの枠、旧の医療・介護は「旧一般」側で計算する
- 3年末調整の再計算は源泉徴収票交付まで可能。間に合わないときは確定申告で同じ控除を適用
- 4住民税は各枠2.8万円、合計7万円が上限。会社計算で翌年度住民税へ自動反映される
- 52026年分は一般枠が一時的に6万円へ。総枠12万円は据え置きで、介護医療枠は変更なし
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