【2025年10月更新】生命保険料控除 共働き配分|提出順と判断基準
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

生命保険料控除
共働き
年末調整
住宅ローン控除
マイナポータル
2026年特例
控除証明書
目次
課題提起:誰が払うかで控除は倍変わる
共働き世帯の年末調整は、同じ保険でも「誰が支払ったか」で手取りが大きく変わります。生命保険料控除は支払者が受ける所得控除で、契約者名義は問いません。しかも今年(2025年)と来年(2026年特例)で控除枠の使い方に差が出ます。この記事では、共働きの配分ルール、年末調整の提出順、電子化(マイナポータル連携)まで、取り逃しゼロの段取りを具体的に示します。
ありがちな取り逃しパターン3つ+α
- 1夫婦のどちらか一方が保険料を全額負担し、もう一方の控除枠(各区分4万円・合計12万円)が未使用のまま終わっている
- 2住宅ローン控除で片方の所得税がゼロなのに、その人の名義で生命保険料控除を申告してしまう
- 3控除証明書の区分(一般/介護医療/個人年金)の記入ミスで正しい控除が反映されない
- 4同じ控除証明書を夫婦それぞれの会社へ提出してしまう“二重申告”
- 5電子交付データの取得や代理人登録を失念し、マイナポータル連携を活用しきれない
配分のメカニズム:効果は「控除額×税率」
節税効果はシンプルに「控除額×税率」。同じ4万円の所得控除でも、所得税率20%なら8,000円、10%なら4,000円の差になります。だから、保険料の負担は原則、税率の高い方へ寄せるのが有利です。さらに、住宅ローン控除(年末残高×0.7%)で所得税が消える人は、そもそも生命保険料控除の効果が出ません。そうした場合は課税がある配偶者へ控除を集約しましょう。具体例は後段のケーススタディで確認します。
夫が住宅ローン控除あり。控除証明書は誰が出す?
夫が住宅ローン控除で所得税がほぼゼロです。生命保険の控除証明書は夫の会社に出すべきでしょうか?

所得税がゼロなら夫側の生命保険料控除は効果が出ません。妻に課税があるなら、妻の年末調整にまとめるのが有利です。契約者名義に関係なく「妻が支払った」ことを明らかにできれば妻の控除対象になります(根拠は国税庁のQ&A)。
最新制度の要点:区分・上限・2026年特例
生命保険料控除は「一般・介護医療・個人年金」の3区分で、各区分の所得税上限は原則4万円、合計12万円です。来年の2026年分(令和8年分)は、23歳未満の扶養親族がいる納税者に限り、一般生命保険料控除(新契約分)の所得税上限が一時的に6万円へ拡大します(住民税枠は据え置き)。制度骨子と時限措置は、財務省の大綱をご確認ください。(令和7年度税制改正の大綱(1/9))

契約者名義ではなく「実際の支払者」が控除を受けます。ただし保険金の受取人が支払者本人か配偶者・親族であることが要件。ここを外すと控除適用外になります。
一次情報で確認:名義と支払者の取扱い
国税庁は「妻名義の控除証明書でも、夫が支払ったことを明らかにすれば夫の控除対象」と明確に示しています。実務では年末調整時に控除証明書を添付し、支払者を自認する形です。詳細は国税庁の質疑応答とタックスアンサーをご参照ください。(妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除) / (No.1140 生命保険料控除)
配分フロー:5分で整理できる段取り
- 1各人の課税状況を確認(住宅ローン控除の適用有無、税率の目安)
- 2保険契約の区分と年間保険料を棚卸し(一般/介護医療/個人年金の合計)
- 3効果最大化の原則に沿って「支払者」を決め直す(税率の高い方へ、住宅ローン控除がある方は避ける)
- 4年末調整の提出順を決定(誰の証明書を誰の会社へ出すかを夫婦で分担)
- 5マイナポータルの代理人登録で、家族分の控除証明データを取り込み電子提出に備える
ケース別シミュレーション:世帯合計で最適化
A:夫が住宅ローン控除適用で所得税ゼロ → 妻に集約。例えば夫側で控除可能だった12万円分を妻へ切り替えた場合、所得税・住民税で合計約2.4万円の節税につながる典型事例があります(具体解説:(共働き夫婦の年末調整の注意点))。
B:双方課税あり → 2人で各区分を満額化。夫婦それぞれが一般・介護医療・個人年金の枠を4万円(来年は該当者のみ一般6万円)まで活用すると、世帯合計の控除額が最大化します。
C:育休・非課税期間 → 収入のある方に寄せる。非課税の期間は控除効果が出ないため、負担者を課税のある配偶者へ切替えます。復職タイミングで再度配分を見直しましょう。
D:旧契約×新契約の混在 → 合計12万円を意識。旧契約(旧制度の一般・年金)と新契約が混在しても、所得税の合計上限は12万円(住民税は7万円)。世帯トータルで無駄なく枠配分を。
電子化対応:配偶者の証明書も取り込める?
妻の控除証明書データを、私の年末調整フォームへ取り込むことはできますか?

可能です。事前にマイナポータルで「代理人登録」を行えば、家族分の控除証明書等を連携取得できます。対象や準備は国税庁の案内が詳しいので、手順を確認して早めに設定しましょう。(マイナポータルと連携した年末調整手続)
年末調整の“提出順”と二重申告の防止
- 誰の控除証明書を誰の会社へ出すかを夫婦で事前に割り振る(例:夫は自分の介護医療のみ、妻は一般+夫契約のうち妻が支払った分)。
- 同一の証明書(原本/電子データ)を夫婦それぞれで提出するのは不可。原本1枚(電子は1データ)はどちらか一方の申告にのみ使う。
- 証明書未着・紛失時は保険会社へ再発行依頼。電子交付が拡大しているため、各社の手順でダウンロード可能。

子育て世帯の該当者は、来年の一般枠拡大の恩恵を誰が受けるか、保険料の支払者変更や新規加入の時期まで含めて今秋から設計しておくのが得策です。
確定申告の最新運用:明細添付と5年保存
令和8年分の確定申告から、生命保険料控除・小規模企業共済・地震保険料の「控除証明書」に代えて、記載事項を転記した「明細書」を添付可能に。税務署長からの求めに備え、控除証明書の提示・提出は5年間必要になります(財務省大綱に明記)。年末調整で出し忘れた場合も、還付申告で取り戻せます。(令和7年度税制改正の大綱(1/9))
よくあるミスの是正ポイント
- 区分の誤記(医療保険を一般に書いてしまう等)は控除漏れの典型。証明書の記載と申告書の区分を一致させる。
- 受取人要件の不備(離婚後に元配偶者が受取人のまま)はその期間の保険料が控除対象外。速やかに受取人変更を。
- 電子データ誤紐付けの防止。代理人登録・認証手順を家族で確認し、会社の年末調整システムに沿って提出。
将来の保険金課税にも影響する“負担者”
保険料の負担者と受取人の組み合わせ次第で、受取時の税目(相続税/一時所得/贈与税)が変わります。負担者を入れ替える際は、控除の節税だけでなく出口の税務も確認して設計しましょう(国税庁Q&Aでも注意喚起)。(妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除)
今日からできる準備:棚卸しテンプレの使い方
- 保険リスト(契約者/被保険者/受取人/区分/年払・月払/年間保険料)を1枚に集約。
- 夫婦の課税見込み(源泉票・住宅ローン控除の残高見込み)を横に並べる。
- 2026年分特例の該当有無と、一般枠の使い手(支払者)を仮決め。
- マイナンバーカードの暗証番号確認と、マイナポータルの代理人登録まで済ませる。
まとめ:重要ポイント
- 1控除は「誰が払ったか」で決まり、税率の高い方へ寄せるのが基本
- 2住宅ローン控除で所得税ゼロの人は、生命保険料控除を配偶者へ集約
- 32026年分は一般枠一時的に6万円(該当世帯)。住民税枠は据え置き
- 4年末調整は提出順を事前決定し、証明書の二重申告を防止
- 5電子化(代理人登録)と明細添付・5年保存の新運用に対応
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