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【2026年7月更新】iDeCo10年ルール:退職金の受取順チェック

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
この記事の最新の更新
最終改良: 2026年7月24日
  • 2026年7月時点の適用関係の整理
  • 財務省大綱に基づく経過関係の明記
  • 12月改正と加入者数データの補強
【2026年7月更新】iDeCo10年ルール:退職金の受取順チェック
iDeCo
10年ルール
退職所得控除
退職金
19年ルール
一時金
老後資金

10年ルールは適用中。まずは「何年に受け取るか」を並べましょう

2026年1月から、iDeCoや企業型DCの一時金と会社の退職金を受け取る順番によって、退職所得控除の調整期間が変わっています。とくに注意したいのは、 iDeCo10年ルール と呼ばれる、先にDC一時金を受け取り、後から会社の退職金などを受け取るケースです。
2026年7月時点では、すでに新ルールが動いています。60歳でiDeCo、65歳で退職金というように「5年空けたから大丈夫」と考えていた人は、もう一度確認が必要です。一方で、すべての人が増税になるわけではありません。受取順、受取年、加入期間、勤続年数、受取額を年表にすると、避けられる見落としがかなりあります。
退職金は金額が大きく、数年の違いが手取りに影響することがあります。厚生労働省の(令和5年就労条件総合調査 結果の概況)では、定年退職者の退職給付額は大学・大学院卒の管理・事務・技術職で1,896万円、勤続35年以上で2,037万円とされています。平均額そのものよりも、自分の退職金とiDeCo残高を同じ表で見ることが大切です。

最初に確認したい5つのポイント

  • 1
    iDeCoや企業型DCの一時金を何歳、何年に受け取る予定か確認しましょう。
  • 2
    会社の退職金、DB、中退共、小規模企業共済などの一時金の支給時期を調べましょう。
  • 3
    DC一時金を先に受け取る場合は、後の退職金まで10年以上空けられるか確認しましょう。
  • 4
    会社の退職金を先に受け取る場合は、後のDC一時金にいわゆる19年ルールが関係するか確認しましょう。
  • 5
    一時金だけでなく、年金形式や一時金と年金の併用も同じ条件で比較しましょう。

5年から10年へ。変わったのは「先にDC、後で退職金」の期間です

今回の改正は、退職金そのものが一律に増税されたという話ではありません。複数の退職所得を受け取るときに、勤続期間や加入期間が重なる部分の退職所得控除を二重に使えないよう調整する仕組みが見直されました。
ポイントは 先にDC、後で退職金 のケースです。財務省の(令和7年度税制改正の大綱)では、退職手当等を受ける年の前年以前9年内に、確定拠出年金の老齢一時金を受けている場合に、退職所得控除額の計算で重複排除の対象とすることが示されています。従来の「前年以前4年以内」から「前年以前9年以内」へ広がったため、実務上は10年以上の間隔を意識する必要があります。
なお、この見直しは、2026年1月1日以後に老齢一時金を受け取っている場合で、同日以後に支払われる退職手当等について適用されます。2025年以前に受け取ったDC一時金がある人は、経過関係を含めて個別確認が必要です。判断に迷うときは、運営管理機関、勤務先、税理士やFPに受取年を示して確認しましょう。

61歳で退職金、67歳でiDeCoなら大丈夫ですか?

61歳で会社の退職金を受け取り、67歳でiDeCoを一時金で受け取る予定です。6年空いていれば問題ありませんか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
会社の退職金を先に、iDeCoを後で受け取る場合は、10年ルールではなく、いわゆる19年ルールの確認が必要です。順番によって見る期間が変わるため、「何年空けたか」だけで判断しないことが大切です。

退職所得の計算式。控除後の2分の1が基本です

退職金やiDeCo一時金は、一定の条件を満たすと退職所得として扱われます。国税庁の(No.1420 退職金を受け取ったとき)では、退職所得の金額は原則として「収入金額−退職所得控除額」に2分の1を掛けて計算すると説明されています。
退職所得控除 は、勤続年数や加入期間に応じて決まります。20年以下は「40万円×年数」、20年超は「800万円+70万円×20年超の年数」です。1年未満の端数は1年に切り上げるため、10年2か月なら11年として計算します。
ただし、役員等の短期退職手当や、勤続年数5年以下の短期退職手当等では、2分の1計算が制限される場合があります。また、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないと、支払額の20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算する形になります。受取前に書類の提出有無も確認しておきましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
退職金とiDeCoは、受け取る順番と年を先に並べるだけで、見える景色がかなり変わります。

モデルケース。控除が使えないと約50万円の税負担になることも

ここでは単純化した例で確認します。会社の退職金で退職所得控除を使い切った後、6年後にiDeCo一時金600万円を受け取るケースを考えます。iDeCo側で使える退職所得控除が0円と仮定すると、課税退職所得は「600万円×1/2=300万円」です。
国税庁の(令和8年分 源泉徴収税額表)では、退職所得の源泉徴収税額の速算表も公表されています。課税退職所得300万円に対する所得税・復興特別所得税は「300万円×10%−97,500円」に102.1%を掛け、約206,752円です。住民税を10%として考えると30万円が加わり、合計は約50.7万円になります。
これは説明用の簡略ケースです。実際には、iDeCoの加入期間、会社の勤続年数、退職金の支給時期、過去に受け取った一時金、申告書の提出有無、住民税の計算などで変わります。大事なのは「6年空いているから安心」と決めつけず、自分の条件で試算することです。

受け取り方を決める前の実践アクション

  • 1
    退職金規程や企業年金の見込額を確認し、受取予定年を一覧にしましょう。
  • 2
    iDeCoの加入期間、残高、受給開始可能年齢を運営管理機関の画面で確認しましょう。
  • 3
    一時金受取、年金受取、一時金と年金の併用を同じ前提で試算しましょう。
  • 4
    公的年金の繰下げ、再雇用収入、配偶者の所得、医療費控除も合わせて見ましょう。
  • 5
    相談時は源泉徴収票、年金見込額、退職金規程、企業年金の資料を準備しましょう。

退職金が少ない人は、iDeCo一時金の非課税枠を使いやすい場合もあります

退職金が大きい人ほど、10年ルールや19年ルールの影響を受けやすくなります。一方で、会社の退職金が退職所得控除の範囲に収まる人は、iDeCo一時金を組み合わせても税負担を抑えやすい場合があります。
たとえば、勤続30年なら退職所得控除は1,500万円です。会社の退職金が1,000万円であれば、単純計算では控除枠に余りが出る可能性があります。ただし、iDeCo一時金の控除は会社員としての勤続年数ではなく、原則としてiDeCoや企業型DCの加入期間に応じて考えます。勤続年数と加入期間が一致しない人も多いため、平均額との比較だけで判断しないようにしましょう。
また、2026年からは退職所得の源泉徴収票や特別徴収票の提出範囲も見直されています。税務上の記録がより残りやすくなるため、受け取る側も退職所得の申告書控え、支払通知、源泉徴収票を手元に保存しておくと安心です。

FP相談では何を見てもらえばいいですか?

退職金とiDeCoの相談をするなら、何を持っていけば具体的に見てもらえますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
退職金規程、企業型DCやDBの加入期間と見込額、iDeCoの残高と加入期間、直近の源泉徴収票、公的年金の見込額、再雇用条件が分かる資料があると、受取順と税額をかなり具体的に比較できます。

2026年12月改正で「もう少し積む」選択肢も広がります

2026年12月には、iDeCoの加入可能年齢や拠出限度額の拡充が予定されています。厚生労働省の(私的年金制度、iDeCoの改正のポイント)では、働き方にかかわらず一定の要件を満たす人について、70歳になるまでiDeCoに加入できる方向が示されています。
2026年12月改正 では、自営業者などの第1号被保険者は国民年金基金等と合わせて月7.5万円、会社員などの第2号被保険者は企業年金等と合わせて月6.2万円まで拠出枠が広がる予定です。企業年金がない会社員の場合、現行の月2.3万円から月6.2万円へ大きく広がるため、50代・60代の積み増し余地は増えます。
同資料では、iDeCo加入者数が2024年度末に363万人を超え、直近では2026年1月末に387万人とされています。さらに、2026年4月から公的年金シミュレーターとの連携も進める方針が示されています。制度は使いやすくなりますが、掛金を増やせば出口の一時金も増えます。入口の所得控除だけでなく、受取時の税金、運用リスク、生活費の取り崩し時期をセットで考えましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
入口の節税だけでなく、出口の手取りまで見ておくと、老後資金の計画はぐっと現実的になります。

年金方式なら非課税、とは限りません

iDeCoは一時金ではなく年金形式で受け取ることもできます。年金形式にすると退職所得控除ではなく、公的年金等控除の対象になります。公的年金とiDeCo年金の合計が控除の範囲に収まれば税負担を抑えられることがありますが、必ず非課税になるわけではありません。
年金方式 を選ぶ場合は、国民年金・厚生年金、企業年金、個人年金、働きながら得る給与などと合算して見ます。iDeCoの受給開始時期は、公式サイトの(制度改正について)でも示されているとおり、60歳から75歳までの間で選べます。75歳まで待てるから有利、早く受け取るから不利、という単純な話ではありません。
年金受取は一度に課税されにくい一方、毎年の公的年金等控除や社会保険料、医療費の自己負担割合に影響する場合があります。一時金受取は退職所得控除を使える一方、受取順によって控除の調整が入ることがあります。どちらがよいかは、税金だけでなく、生活費、健康状態、運用資産の値動き、相続の考え方まで含めて決めるのが現実的です。

よくある誤解。10年空ければ必ず得、ではありません

10年ルールを聞くと「とにかく10年空ければよい」と考えがちですが、実際には順番によって見る期間が変わります。先にDC一時金、後で退職金なら10年ルールが重要です。一方、先に会社の退職金、後でDC一時金なら、後のDC一時金側でいわゆる19年ルールの確認が必要になります。
税金だけを見て受取時期を遅らせると、運用中の価格変動リスクや、必要な生活資金を取り崩せないリスクが生じます。住宅ローンの残債、親の介護、子どもの教育費、医療費の見込みがある世帯では、税額を最小にすることよりも、資金ショートを防ぐことが優先になる場合もあります。
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まとめ:重要ポイント

  • 1
    2026年1月以降、先にDC一時金を受け取り後で退職金を受け取る場合は、原則10年以上の間隔を意識する必要があります。
  • 2
    会社の退職金を先に受け取り、後でiDeCo一時金を受け取る場合は、いわゆる19年ルールの確認が欠かせません。
  • 3
    退職所得は原則として「収入−退職所得控除」の2分の1で計算しますが、短期退職手当等では例外があります。
  • 4
    2026年12月改正で加入可能年齢や拠出限度額が広がる予定のため、受け取りだけでなく追加拠出も含めて考えましょう。
  • 5
    税額だけでなく、生活費、運用リスク、公的年金、保険、住宅ローンを含めて家計全体で出口設計を行いましょう。

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