【2025年8月更新】団体保険は退職で切れる?空白リスクと個人保険の埋め方|3手順
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

団体保険
退職
任意継続
国民健康保険
被扶養者
高額療養費
就業不能保険
退職で何が切れる?最初に押さえる“空白リスク”
会社を辞めると、多くの企業の団体保険は退職日の翌日から使えなくなります。健康保険証も同日で資格喪失。ここで対応が遅れると、短期間でも医療費が10割負担、死亡や就業不能の民間保障がゼロという空白が生まれます。この記事は、退職時の空白を最短で埋める3手順(公的医療保険の選択/個人保険準備/期限対応)を、2025年8月の最新ルールに基づいて整理します。特に、無保険期間を作らないことが最大の防御策です。
退職1か月前までにやる“最優先3点”
- 1自分の保険が“団体保険(会社契約)”か“団体扱い(個人契約の給与天引き)”かを保険証券と社内窓口で確認する。
- 2健康保険の切替先(任意継続/国民健康保険/家族の被扶養)を仮決めし、必要書類と期限をメモする。
- 3個人保険の必要保障額を試算し、退職前に申込み着手(開始日は退職翌日指定も可)する。
団体保険と団体扱いの違い|退職時の扱いが真逆になる理由
福利厚生の団体定期・団体医療などの“団体保険(会社契約)”は、従業員資格の喪失と同時に原則脱退=保障終了。一方、“団体扱い(個人契約の給与天引き)”は契約主体があなた個人なので、退職後も口座振替等へ支払い方法を変更すれば継続できます。まずは人事・総務や取扱代理店に退職時の取り扱いを確認し、書類の入手と返却物(保険証など)を把握しましょう。退職者向けに同等・代替プランを用意する企業やOB会経由の継続制度もあります(例:セブン&アイの退職後継続・OB会制度の案内[退職後も継続可/割引率は異なる])。詳しくは実例のページを参照してください。(ハイライフプランのご案内)
空白リスクを具体化|“短いから大丈夫”は誤解
健康保険の切替が遅れると、その間の医療費は原則10割。高額療養費の払い戻しは加入している保険から行われますが、未加入のまま受診すると後日、加入者負担に置き換える追加手続きが必要になります。また、資格喪失後に古い保険証を使ってしまうと、保険者負担分(7〜9割)の返還を求められる無資格受診トラブルに発展します(協会けんぽの実務案内あり)。(無効の保険証を使用してしまったとき) さらに、死亡・就業不能など会社の団体上乗せがなくなると、公的年金や貯蓄だけでは不足が出やすい点も見落とせません。なお2025年に議論された高額療養費の自己負担上限引き上げは、8月実施が見送りとなり、秋までに見直し方向を再検討とされました(報道)。(高額療養費の自己負担上限額引き上げの見送りが決定)
「1か月だけ無保険でもいい?」への答え
次の入社まで3週間あります。短いので国保に入らず過ごしても良いですか?

おすすめしません。無保険の間に受診すれば医療費は10割。退職後の健康保険は、任意継続・国保・家族の被扶養の3択です。配偶者の扶養に入れるなら負担は実質ゼロ。難しければ、任意継続(退職翌日から20日以内申請・最長2年)か国保(14日以内目安)を選び、無保険期間ゼロを徹底しましょう。
手順1|“失う保障”を洗い出す(社内・証券・取扱窓口)
自分が会社経由で入っている保険を一覧化します。団体定期、団体医療、団体就業不能、労災上乗せ、社内共済、そして団体扱いの個人契約(給与天引きの生命・医療・がんなど)まで漏れなく。退職時の扱い(終了/継続可/退職者向け移行プラン/返却物)を、人事・総務、健保組合、保険会社・代理店に確認。健康保険証は退職日までに返却が原則で、翌日以降は使えません。資格喪失後に誤って使用すると返還請求の対象です。(無効の保険証を使用してしまったとき)
手順2-A|公的医療保険の選択(任意継続/国保/被扶養者)
退職後の健康保険は3択です。任意継続は「退職前に被保険者期間が継続2か月以上」「退職翌日から20日以内の申請」で最長2年在籍可能。給付は概ね在職時同等ですが、任意継続中に新たに生じた休業は傷病手当金・出産手当金の新規支給対象外(資格喪失後の継続給付は例外的に可)です。(任意継続の加入条件について)|(6.任意継続被保険者の保険給付) 国民健康保険は市区町村で手続き(14日以内目安)。前年所得で料額が決まるため高めになりがちですが、倒産・解雇等の非自発的失業なら前年の給与所得を30%として計算する軽減があり得ます(離職理由コード要件・65歳未満など)。(非自発的失業者に対する国民健康保険料の軽減措置) 家族の被扶養者は、年間収入130万円未満(60歳以上または一定の障害は180万円未満)などの基準を満たせば保険料負担なく加入可能です。組合・協会けんぽの基準で判定されます。(被扶養者とは?)
手順2-B|民間の“守り”を整える(死亡・医療・就業不能)
団体の死亡・医療・就業不能の上乗せが消えるなら、必要保障額を再計算し、個人の定期・終身・医療・就業不能等で最低限を確保しましょう。退職前に申込み着手すると審査がスムーズで、退職翌日からの開始指定もしやすくなります。退職者向けの継続・移行メニューやOB会経由の加入が用意されるケースもあります(無告知加入などの例)。(団体保険事業(ご退職の皆様へ)) なお“団体扱い(個人契約)”は退職後も契約継続できるため、口座振替等への支払い方法変更を忘れずに。

“短いから大丈夫”という数日間の無保険が、偶然の受診で数十万円の出費に変わります。空白はゼロに、期限は前倒しに——これが退職の鉄則です。
手順3|期限どおりに動く(20日/14日/退職者向け移行の締切)
退職直後は、任意継続は20日以内申請、国保は14日以内目安、家族の扶養は勤務先ルートで速やかに申請。年金は第2号→第1号への切替を区市町村窓口で14日以内目安で。自治体の案内どおり、退職日のわかる書類(資格喪失証明や離職票)を用意しましょう。(就職・退職に伴う国民年金の手続き) 退職者向けの保険継続・移行(任意継続やOB会経由、退職者団体制度など)は、社内や取扱代理店が定める期限があるため、退職前から書類取り寄せと申込準備を。
退職前チェックリスト(印刷・保存推奨)
- 1加入中の保険リスト(団体保険/団体扱い個人契約/社内共済)を作り、退職時の扱いを窓口に確認した。
- 2健康保険の切替先を決め、任意継続20日/国保14日/扶養の認定申請の段取りと必要書類をそろえた。
- 3個人保険の必要保障額を再計算し、退職前に申込み(開始日は退職翌日)まで進めた。
- 4団体扱いの個人契約は、口座振替やクレカへの支払い方法変更を依頼した。
- 5退職後の受診に備え、限度額適用認定証の取得や領収書の保管方法を決めた。
任意継続・国保・被扶養者の使い分け|“安い方”だけで決めない
保険料の安さは重要ですが、家族構成・付加給付の有無・給付内容も含めて比較を。例えば、任意継続は保険料が在職時の約2倍(会社負担分も自己負担)になりがちでも、付加給付や家族の扶養維持で総額有利な場合があります。国保は失業者軽減が効けば下がる一方、世帯合算の料率で高く出ることも。被扶養に入れるなら費用面は最有利ですが、収入要件(年間130万円未満など)と生計維持の確認が必要です。(被扶養者とは?)
失業者の国保“30%みなし”軽減|該当条件と届出
倒産や解雇等の非自発的失業で、離職時65歳未満かつ雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者に該当する場合、前年の給与所得の70%をカット(=30%としてみなす)して国保料を計算する特例があります。ハローワークの「雇用保険受給資格者証」等の写しを添えて、自治体で申請が必要です(原則、離職翌日の属する月から翌年度末まで)。(非自発的失業者に対する国民健康保険料の軽減措置)
次の就職が決まっている場合の臨時対応
入社まで数日〜数週間でも、無保険は避けましょう。最短で国保加入→入社日に会社の健康保険へ切替。入社日までに受診の可能性があるなら、窓口での立替負担を避けるため限度額適用認定証の申請も検討を。高額療養費は同一月単位で自己負担限度額を超えた分が払い戻されます(加入中の保険者で手続き)。(高額な医療費を支払ったとき)
個人保険の設計|“今の家計”に合わせて軽重をつける
退職直後は収入が不安定になりがち。死亡保障は葬送費相当のミニマム(例:300万円)に抑え、医療・就業不能を相対的に厚くする設計も現実的です。団体扱いの個人契約を継続する場合は、団体割引消失で保険料が上がる点に注意。予算が厳しい時は、先進医療など“資産で代替しにくい”特約を優先し、重複や利用頻度が低い特約を一時的に外すなど、段階的な見直しを。退職者向けの移行制度やOBルートの加入も選択肢になり得ます。(団体保険事業(ご退職の皆様へ))
よくある誤解とトラブル回避|“資格喪失後の受診”は返還対象
退職後に古い健康保険証を使って受診すると、後日、保険者負担分(7〜9割)の返還を求められます。誤使用に気づいたら、案内に沿って速やかに返還と新しい保険での精算手続きを。未加入のままにすると、遡っての保険料徴収や各種手続きの遅延で余計な負担が増えます。空白を作らず、期限どおりの届け出を徹底しましょう。(無効の保険証を使用してしまったとき)
まとめ:重要ポイント
- 1退職翌日から保険は原則使えない。健康保険の切替は任意継続20日以内/国保14日以内目安/被扶養者は条件を要確認。
- 2任意継続は最長2年だが、任意継続中の新規の傷病手当金・出産手当金は対象外(継続給付は例外)。
- 3非自発的失業なら国保の“30%みなし”軽減の可能性。離職理由コードと年齢要件を確認して申請する。
- 4民間保障は退職前に申込み着手。団体扱い個人契約は支払い方法変更で継続、退職者向け移行・OB制度も検討。
- 5“無保険期間ゼロ”が最重要。誤使用や未手続きは返還・遡及負担につながる。
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