【2025年8月更新】就業不能保険|自営業の給付額と免責の決め方(個別相談可)
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

就業不能保険
自営業
免責期間
給付額上限
所得補償保険
フリーランス
精神疾患
目次
まず確認:自営業が備えるべき理由
自営業やフリーランスは、病気やケガで働けない間に会社員のような傷病手当金がありません。会社員向け制度である傷病手当金の要件や期間は公的に整理されていますが、自営業は対象外です(参考:(病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)))。一方、公的な障害年金は認定要件が厳格で、申請から受給まで時間がかかることも。そこで、働けない期間の家計を守る私的備えとして就業不能保険が重要になります。本記事では2025年8月時点の最新情報で、給付額の上限と決め方、免責期間(待機)の選び方、支払い条件の落とし穴、税制・制度の要点まで、実務で迷わない順番で解説します。
最初にやること(3分で方向性を決める)
- 1直近12か月の手取りと固定費を洗い出し、無収入でも必ず払う支出(住居費、社会保険料、通信、教育、最低限の生活費)を合計する
- 2貯蓄・家族の収入・家賃収入など“休業中に使える資金”を差し引き、毎月の不足額を仮置きする
- 3不足額が“年収の6割目安の上限”を超えない範囲で、給付金月額と免責(30/60/90/180日)を暫定設定する
給付額は“生活費から逆算”しつつ上限内で
就業不能保険の給付金月額は、公平性の観点から“年収に応じた上限(目安は約6割)”が設けられています。ネット系生保の参考ページにも「就業不能給付金月額は10〜50万円(5万円刻み)、年収によって上限あり」と記載があります(参考:(就業不能保険の参考ページ(年収連動の上限の考え方)))。
設計は“生活費からの逆算”が基本です。式は「不足額=固定費+変動費−(貯蓄取り崩し+他収入)」。この不足額が、上記“年収上限”と両立しているかを確認します。収入証明(確定申告書、青色申告決算書、源泉徴収票など)を求められるのが一般的です。
金額と免責、実際はどう決める?
年収600万円の個人事業主です。給付はいくら、免責は何日にするのが現実的でしょうか?

まず毎月の不足額を生活費から逆算します。例えば休業中の固定費21万円、変動費7万円、使える貯蓄の取り崩し5万円なら、不足は月23万円。年収上限の目安(6割で月30万円程度)には収まるので“月20〜25万円”が候補。免責は緊急資金2か月分あるなら“60日”、薄ければ“30日”が実務的です。
年収別モデル(単身・家賃なしの目安)
モデルは“目安”であり、収入・職業区分・健康状態で上限や保険料は変わります。
- 年収300万円:上限は概ね“月15〜20万円”。最低限の生活費が月18万円、取り崩し3万円なら“月15万円・免責60日”が起点候補。
- 年収600万円:上限は“月30万円程度”。生活費24万円、取り崩し5万円なら不足19万円。“月20万円・免責60日”が現実解。
- 年収1,000万円:上限は“月50万円程度”。生活費35万円、取り崩し10万円なら不足25万円。“月25〜30万円・免責90〜180日”で保険料最適化も狙えます。 上限や細目は商品・職業区分で異なるため、申込前に必ず各社のしおり・約款で確認してください。

就業不能初期の数週間〜数か月は貯蓄や損害保険系の所得補償で“橋渡し”。長期化リスクは生命保険系の就業不能で“土台を作る”。二段構えが家計を安定させます。
免責期間(待機)の選び方:30・60・90・180日
免責は“就業不能になってから給付開始までの待機日数”。短いほど早く受け取れますが保険料は上がります。目安は次の通りです。
- 緊急資金が1か月未満:30日
- 緊急資金が1〜2か月:60日(標準)
- 緊急資金が3か月以上・別収入あり:90〜180日 自営業は収入ゼロ化が早いため、基本は60日、貯蓄が薄ければ30日を検討。半年以内に復職できた際、免責180日だと給付ゼロになり得る点は必ず想定しておきましょう。
“短期ブランク”は損保の所得補償保険で補完
損害保険系の所得補償保険は、免責7〜30日など短期から設計でき、最長1〜2年の“短期てん補”で月次給付を行うのが一般的です。定義や仕組みは業界団体のQ&Aが分かりやすく、免責・てん補期間・対象外(精神疾患等)が整理されています(参考:(所得補償保険は、どのような保険ですか。))。長期化リスクは生命保険系の就業不能保険、初期の谷は損保系で“つなぐ”のが合理的です。
支払い条件の“落とし穴”チェック
- 就業不能の定義:多くは“医師の管理下での入院”または“医師指示の在宅療養”。単なる自宅静養や自己判断の休業は対象外になり得ます。
- 在宅療養の要件:診療計画や定期受診の裏付けが必要など、商品の定義差が大きい部分です。
- 精神疾患の扱い:生命保険系では対象に含む商品も増えていますが、“入院要件”“給付期間に上限”など制限が設けられる例が一般的。損保系では精神障害は原則対象外が多い点に注意(上掲Q&A参照)。
- 職業区分:危険度が高い職種は給付上限が低くなることがあります。必ず事前に確認を。
申し込み・見直しの段取り(実務)
- 見積比較の軸:給付金月額×免責(30/60/90/180)×給付期間(最長2年か、60/65/70歳までか)×満了年齢の4点で横並び比較。
- 告知と書類:過去の通院・投薬歴、検査歴は“問われた期間”に合わせて正確に。収入は確定申告書・決算書・源泉徴収票など直近の証憑を準備。
- 精神疾患歴:引受制限(部位不担保・加入不可)に該当することがあります。順番と商品選定が鍵なので、無理に自己申込せず専門家に相談を。
- 更新・満了:損保系は1年更新が基本、生命保険系は60/65/70歳満了が多め。保険料の更新上昇や再審査の有無を確認。
税制・制度の要点(2025年8月時点)
- 1損害保険系の所得補償保険の給付は、病気・けがによる休業の補てんとして“非課税”の取り扱いが明示されています((所得補償保険の保険金を受け取ったとき))
- 2生命保険系の就業不能保険の保険料は“生命保険料控除”の対象になり得ます(契約条件による、(生命保険料控除))。一方、損害保険系の所得補償保険は控除対象外が一般的です
- 32024年11月からフリーランスも“労災の特別加入”対象に拡大。業務災害による休業は公的補償が受けやすくなりました((労災保険への特別加入))。ただし私病・私傷病は対象外のため、民間の就業不能保険は依然重要です
- 4制度・税務は個別事情で取り扱いが変わることがあるため、必ず最新の一次情報と税理士・社労士等の専門家に確認してください
タイプ別の設計ヒント(3事例)
- 個人事業主(単身)×住宅ローンなし:緊急資金1.5か月分なら“月15万円・免責60日・給付65歳まで”。短期の谷は損保系で月10万円・免責7〜14日を1年更新で併用。
- フリーランス夫婦×片働き期:家計固定費が重い時期は“月25万円・免責60日・給付65歳まで”。出産・育児期のメンタルリスクも想定し、精神疾患の支払条件を重視して商品選定。
- ひとり法人役員×報酬変動:キャッシュフローに合わせて“月20万円・免責90〜180日”で保険料を抑え、短期は損保で手厚く。役員報酬減額期でも上限範囲に収まるよう、直近申告書での上限チェックを忘れずに。
精神疾患はどこまでカバーされる?
うつ病などメンタル不調が心配です。就業不能で給付されますか?

生命保険系では対象に含む商品が増えましたが、“入院が必要”“給付は最長◯年まで”など条件が付きやすいです。損保系の所得補償は精神障害が対象外の例が多いので、条件と制限を必ず読み合わせましょう。過去の通院歴がある方は、申込順序や商品選定をFPに相談するのが安全です。
次の一歩:無料AI相談で“わが家専用”に
本記事の計算式と目安で方向性は掴めますが、実際の上限・告知・職業区分の読み合わせは個別性が高いです。弊社の無料オンライン相談は、まずAIにざっくり相談→必要に応じてFPとオンライン面談の二段階。LINEで予約・書類アップロードまで完結します。今なら相談参加で選べるギフト(giftee Cafe Boxほか)のキャンペーンも実施中です。特典は予告なく変更・終了する場合があります。強引な勧誘はありませんので、まずは“月いくら・免責何日”のたたき台を一緒に固めましょう。
まとめ:重要ポイント
- 1自営業は傷病手当金がないため、働けない間の生活費は民間の就業不能保険で“月いくら×何日待つか”を明確に設計する
- 2給付額は生活費から逆算しつつ、年収に応じた上限(目安6割)に収める。証憑(確定申告書等)を準備しておく
- 3免責は資金クッションで決める。基本は60日、薄いなら30日、余裕があれば90〜180日で保険料を最適化
- 4短期ブランクは損保の所得補償、長期化リスクは生命保険系の就業不能で“二段構え”にする
- 5税制・制度の扱い(非課税・控除・労災特別加入)を最新一次情報で確認し、不明点は専門家に相談する
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