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【2025年11月更新】学資保険 中途解約の落とし穴|返戻金・税・再設計基準

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2025年11月更新】学資保険 中途解約の落とし穴|返戻金・税・再設計基準
学資保険
中途解約
解約返戻金
一時所得
贈与税
新NISA
払済保険

はじめに:なぜ“途中解約”は損になりやすいか

教育費のピークは高校・大学期に集中し、支出の実額も年々上がっています。文部科学省の最新「令和5年度 子供の学習費調査」では、小学校の年間学習費は公立約33.6万円・私立約182.8万円と明示されています(中学・高校はさらに高額)[参考: (2 調査結果の概要)]。この“支出の山”と、学資保険の満期・祝金の“受け取りタイミング”がズレると、中途解約に傾きやすくなります。 一方で、学資保険の解約返戻金は“返戻率カーブ”の途中で受け取るほど不利になりやすく、税の取り扱い(所得税の一時所得/贈与税/相続の評価)も見落としがちです。本稿は2025年11月の一次情報に沿って、返戻率と税の線引き、解約前に使える代替策、新NISAなどへの再設計の判断軸までを、具体例とリンクで整理します。途中解約の前に、損失・税・将来設計を“見える化”しましょう。

途中解約は今すべき?

保険料が重く感じてきました。途中解約すれば楽になりますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
短期的な負担は軽くなっても、返戻率が低いうちは元本割れが大きくなりがちです。まずは払済(保険料ゼロ化)や減額、契約者貸付など“解約せずに負担を下げる策”を検討してからでも遅くありません。税や受取人名義の確認も同時に進めましょう。

返戻金の仕組みと“待つ/止める”の判断軸

学資保険の返戻率は、契約初期は低く、年数の経過とともに上昇する設計が一般的です。契約から数年の中途解約ほど元本割れの幅が大きく、満期に近づくほど損失が縮小します。判断の基本は次の3点です。
  • 返戻率カーブの“損益分岐点”を自分の契約で確認する(保険会社の試算書やコールセンターで、現時点の解約返戻金額と返戻率を照会)。
  • 教育費のピーク(高校入学・大学入学)に必要な現金と、満期・祝金の受取時期のズレを並べて可視化する。
  • 「払済への変更」や「減額」で保険料負担を抑えつつ契約を維持できないか、まず検討する。 返戻率がほぼ100%まで届く見込みの年次が近いなら“待つ”選択が合理的な場面もあります。逆に、家計のキャッシュフローが逼迫し、返済計画を立てても保険料継続が現実的でない場合は、“止める(払済化や一部減額)”で守る判断が有効です。

解約前にできるアクションプラン

  • 1
    払済(はらいずみ)への変更で以後の保険料をゼロにし、現在の積立原資で契約を継続する
  • 2
    契約の一部を減額して月々の保険料を下げ、満期金も比例で縮める(復元不可なので慎重に)
  • 3
    契約者貸付で“いま必要な資金”を一時的に借りて解約を回避する(複利・会社所定利率に注意)
  • 4
    自動振替貸付の作動を把握し、長期化による利息膨張・失効リスクを避ける運用に切り替える
  • 5
    受け取り方の見直し(分割/据置)で税・現金化タイミングを調整する

契約者貸付と自動振替貸付の違いと注意点

契約者貸付は、現在の解約返戻金の一定範囲を担保に保険会社から借り入れる仕組みです。利息は“会社所定の利率”で複利計算されるのが一般的で、長期・高額化すると返戻金を食い尽くし失効に至るリスクがあります。自動振替貸付は、保険料の滞納分を自動的に貸付で立て替える延命機能です。延命には有効ですが、こちらも利息が累積するため“あくまで一時的措置”として使い、家計が持ち直したら速やかに通常払いへ戻すのが基本です。制度の定義や位置付けは生命保険協会の用語解説が参考になります[参考: (用語解説)]。なお、具体的な利率は各社・契約時期で異なるため、最新の数字は“自社の公式ページ”で必ず確認してください。

税と名義の線引き:一時所得/贈与税/相続の整理

解約返戻金の課税は“誰が保険料を負担し、誰が受け取るか”で変わります。一次情報の考え方は国税庁のタックスアンサーに整理されています。
  • 契約者(保険料負担者)=受取人なら、解約返戻金は原則“一時所得”。計算は「受取額 − 払込保険料 − 50万円(特別控除)」の1/2で判定します[参考: (No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき)]。例えば払込総額240万円・解約返戻金300万円なら、差益60万円−50万円=10万円の1/2=5万円が課税対象です(他所得と合算)。途中解約は差益が小さいことが多く、50万円控除で“課税ゼロ”となる場面も珍しくありません。
  • 契約者≠受取人なら“贈与税”。暦年課税の基礎控除110万円を超える部分に税率を適用します。直系尊属→18歳以上の子・孫なら“特例税率”が使え、例えば解約返戻金400万円なら基礎控除後290万円×15%−10万円=約33.5万円の贈与税です[参考: (No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税))]。
  • 契約者が死亡した場合は、契約の“いま解約したら支払われる額(解約返戻金)”に基づき、生命保険契約の権利を“相続財産として評価”します。評価の基本は「解約返戻金+前納保険料・剰余金 − 源泉徴収相当額」です[参考: (No.4660 生命保険契約に関する権利の評価)]。名義変更や育英年金の受け取り方で税務が変わるため、死亡時は保険会社と税理士へ早期連絡を。
  • 教育資金一括贈与の非課税(直系尊属→子・孫)は令和8年3月31日まで延長。信託・預金・有価証券経由で最大1,500万円まで非課税枠が使えます(年齢・所得要件あり)[参考: (No.4510 教育資金の一括贈与の非課税)]。祖父母契約の解約資金を渡すなら、対象や手続の適合を事前確認しましょう。

名義が祖父母→孫のまま解約しても大丈夫?

祖父母が契約者・孫が受取人の学資保険です。名義はそのまま、孫の口座で解約返戻金を受け取っても問題ありませんか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
そのままだと“贈与税”の対象になり得ます。解約前に受取人を契約者本人へ変更して“一時所得”に寄せる、もしくは教育資金一括贈与の非課税(要件あり)で渡すなど、税ルートの設計が必要です。いずれも書類・期限があるため、保険会社の窓口と税の一次情報を確認して進めましょう。

乗り換え・再設計:学資保険→新NISA/終身の使い分け

途中解約後も教育資金の目標は残ります。再設計の軸は“元本確保”か“成長重視”かの選択です。
  • 元本の安定重視なら、学資保険を維持(払済・減額)しつつ、預金・個人向け国債など流動性の高い安全資産で補完する方法が現実的です。
  • 成長重視なら、新NISAの非課税枠を活用した積立投資を検討。制度の枠組みと再利用ルール、つみたて投資枠・成長投資枠の要点は金融庁の資料がわかりやすいです[参考: (NISAを知る:NISA特設ウェブサイト)(NISAを利用する皆さまへ(スライド))]。市場リスク・途中売却の柔軟性・税の非課税メリットを、家計の継続力と合わせて評価しましょう。
  • 低解約返戻金型終身など“保障+原資”の併用は、死亡保障を持ちながら教育費の原資を作る折衷策。設計は複雑なので、既契約との重複・税・出口の比較までプロと組んで進めるのが安全です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
途中解約は“いま楽にする”選択である一方、“将来の不足”を招きやすい選択でもあります。返戻率・税・家計の3点セットで見える化し、一段階ずつ負担を下げる策から試すのが失敗しない近道です。

5チェックで即判断:いますぐ見直すべきか

ここまでの論点を“今日判断できる5チェック”に落とし込みます。次のリストで、いま見直すべきか/待つべきかの方向性をつかんでください。

判断チェックリスト

  • 1
    子の年齢が“再加入の上限”に近いか(幼少期を過ぎると学資保険の再加入は難しく、条件も不利)
  • 2
    契約者の年齢・保障(払込免除や特約)を外しても代替の保険でカバーできるか
  • 3
    受取人設定は“契約者本人”か(贈与税ルートになっていないかを国税庁の基準で再確認)
  • 4
    貸付・自動振替貸付の残高と利息の累積を把握し、返済可能性と失効リスクの上限を試算したか
  • 5
    教育費ピークまでの不足額を見える化し、新NISA等の非課税枠と“出口(取り崩し)”の段取りが描けているか

具体例で理解を深める:計算・運用の小さな実践

税と運用は“数字で慣れる”のが近道です。
  • 一時所得の簡易判定:解約返戻金280万円・払込総額260万円なら差益20万円。特別控除50万円で課税ゼロ(他の一時所得がない前提)[参考: (No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等)]。
  • 贈与税の具体額:解約返戻金200万円を子名義で受け取ると、基礎控除110万円を超える90万円に税率10%で“9万円”の贈与税(一般税率の場合)[参考: (No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税))]。
  • 返戻率の現況照会:コールセンターに“契約番号”で現時点の解約返戻金と返戻率を照会し、家計表の“教育費ピーク月”と並べる。合致しなければ“払済・減額・受取時期の調整”の順に試す。
  • 新NISAの再利用:売却で翌年以降、取得金額分の非課税枠が復活する仕組みを理解し、教育費の取り崩し年次に合わせた“枠の再回転”を意識する[参考: (NISAを知る:NISA特設ウェブサイト)]。

最後に:無料オンラインFP相談とLINE案内

途中解約は“返戻率・税・家計”が絡むため、単独判断だと見落としが生じがちです。弊社「ほけんのAI」は、チャットでAIに相談→オンラインで有資格FPが面談という2段階で伴走します。証券写真の送付で“いまの返戻金・税ルート”の棚卸しを最短化できます。いまならLINE登録で、選べるギフトBox(giftee Cafe Boxほか)プレゼントのキャンペーンも実施中。24時間365日、無料で何度でもサポートします。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    返戻率カーブの途中解約は元本割れが大きくなりがち。まずは払済・減額・貸付など解約回避策を検討する
  • 2
    課税は“名義”で決まる。契約者=受取人は一時所得(50万円控除)、異なると贈与税の可能性が高い
  • 3
    契約者死亡時は“生命保険契約の権利”を解約返戻金で評価する。名義変更や受取方法で税務が変わる
  • 4
    教育資金一括贈与の非課税(〜令和8年3月末)や新NISAの非課税枠など“公的ルール”を正しく活用する
  • 5
    乗り換えは“家計の継続力×目標額×リスク許容度”で。安全資産と新NISAの併用で出口まで設計する

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