【2025年8月更新】終身保険“いらない”は本当?要否3条件|家計と相続の判断
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

終身保険
相続非課税枠
予定利率
解約返戻金
新NISA
iDeCo
外貨建て
結論から:終身保険“いらない”論のいま
結論はシンプルです。終身保険は「万人にいらない」でも「誰にでも要る」でもありません。2025年は金利上昇で保険料水準や返戻条件に改善の動きがありますが、判断の軸は変わりません。家計と相続の目的に沿って、次の3条件に当てはまるかで即判定しましょう。本稿は一次資料を踏まえた最新データと実務での落とし穴を盛り込み、誤判定を防ぐための具体策まで提示します。
まず結論:要否3条件(当てはまれば“要る”)
- 1相続・葬送の資金を“確実に”残す必要がある(受取人や配分を設計して現金化の速さを重視する)。
- 2新NISAやiDeCoなど代替の非課税枠を使い切り、相場変動を家計として受け入れにくい。
- 3長期保有が前提で、途中解約や減額をしても家計が崩れない余力と段取りがある。
2025年の金利・業界動向:何が変わった?
2025年は長期金利の上昇を背景に、生命保険で予定利率の引上げの動きが広がっています。金融庁の年次レポートも「終身や年金で予定利率の引上げの動き」と整理しており(会社・商品で差が大きい点は強調されています)、返戻条件の改善や保険料の見直しが相次いでいます。(2025年 保険モニタリングレポート)
一方で、外貨建の募集管理強化や、顧客本位の販売・アフターフォローの徹底など規制・監督も進展。2026年分(令和8年分)の子育て世帯向け生命保険料控除の時限拡充(一般枠+2万円・一時払の扱いも整理)は家計にとって追い風ですが、控除は“決め手”ではありません。まずは予定利率の改善が自分の設計にどう効くかを、設計書で個別に確認するのが実務の最短ルートです。
保険と投資、役割は分けるべき?
新NISAもあるのに、終身保険で積み立てる意味はありますか?

目的で分けるのが基本です。死亡時に“確実に現金が届く”ことや受取人を細かく指定できるのは保険の強み。増やす目的はNISA・iDeCoで、残す目的は保険で、と役割を分けるとブレません。NISA枠が空いているならまず埋め、相続や終活の必要額だけを保険で最小限に設計するのが合理的です。
条件1 深掘り:相続非課税枠と受取人設計
生命保険金には相続非課税枠(500万円×法定相続人)があり、受取人を相続人にすると枠が使えます。制度は公的ソースで必ず確認を。(相続税の課税対象になる死亡保険金)
実務の要点は次の3つです。第一に、受取人の指定・配分をこまめに見直し、再婚・出生・離婚・相続放棄など家族イベントに追随させること。第二に、遺言・家族信託・生命保険信託を併用し、「渡したい人に、渡したい順番で」届く仕組みを作ること。第三に、受取人が亡くなった場合の予備(予備的受取人)を用意し、“争族”を避けることです。
葬送費の実額と生前前払いの選択肢
直近の調査では、葬儀費用の全国平均は118.5万円。一般葬の平均161.3万円、家族葬は105.7万円とされています(2024年・2,000サンプル)。地域や時期でばらつきがあり、関東の冬季は火葬待ちで日数が延びる傾向も。数字は“相場観”として使い、わが家の想定額を置き直しましょう。(【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年))
また、余命宣告で死亡保険金の一部・全部を生前受け取れるリビングニーズ特約を活用すれば、看取りや葬送費の前払い資金を確保しやすくなります。付帯条件や対象疾患は会社・商品で異なるため、約款・設計書での確認が欠かせません。

“いくら”ではなく“誰に、どの順番で、どの手間で”届くか。終身保険は設計で価値が決まります。
条件2 深掘り:予定利率引上げ局面の返戻率の読み方
返戻の伸びは、加入年齢・払込期間・配当有無・商品タイプで大きく変わります。横断的な平均や特定レンジでの断定は禁物。設計書の「解約返戻金推移」「払込累計との比較」「ピーク時期」を必ず確認し、保有10年・15年・20年と節目の損益ラインを家計表に写経してみましょう。返戻の改善トレンドがあっても、家計の流動性や他の非課税枠(新NISA・iDeCo)との“役割分担”を優先するのが実務の順番です。
新NISA・iDeCo・個人年金の優先順位と外貨・変額の向き不向き
増やす目的の第一候補は非課税で機動的に積める新NISA、次にiDeCo・企業DC(拠出上限やロックを踏まえて)です。保険の積立は“残す”という別目的で最小限に。外貨終身は為替・スプレッド・両替手数料の影響が大きく、短期で動かすと不利。変額終身は市場下落時に評価額がブレます。どちらも“長期・総コスト・途中で触らない”が前提で、相場変動を許容できる人向きです。なお、外貨建て保険の募集管理は監督強化が続いており、適合性やアフターケアの実務も重視されます(詳細は前掲の金融庁レポートを参照)。
条件3 深掘り:流動性と家計の守りかた
- 1解約返戻金のピーク時期と、払込累計を上回る時期を設計書で確認し、“触らない年限”を家計カレンダーに明記する。
- 2資金繰りが厳しいときは、払込を止めて保障だけ残す払済や、契約者貸付を優先検討し“元契約を壊さない”順番で対処する。
- 3固定費は“手取りの○%まで”と上限を決め、終身は小口+定期(必要保障の山を定期で)という二段構えで無理なく設計する。
- 4途中減額・部分解約の可否や手数料、税区分(一時所得・雑所得)を事前に確認し、出口の税負担を見える化する。
タイプ別の結論:年代・家族構成でこう使い分ける
30代子育て世帯は、まずは収入保障や定期で“山”の保障を確保し、新NISAで積み上げ。終身は相続・終活用途の最小限から。50代プレ退職は、退職金の受け皿として一時払終身を“終活原資”に充て、運用はNISA・企業DCを主軸に。70代以降は、受取人最適化と葬送資金の確保を優先し、小口の終活終身で“現金化の速さ”を買う。高齢者向け少額NISA(いわゆるプラチナNISA)は検討が進む段階で、正式な制度要件を確認しつつ“攻め”と“守り”の配分を見直しましょう。
よくある誤解Q&Aで誤判定を防ぐ
保険料控除があるなら“元は取れる”と考えてよいですか?

控除は家計の追い風ですが決め手ではありません。2026年分の子育て世帯向け一般枠+2万円の時限拡充などはありますが、設計の本質は“必要保障額と流動性”です。控除に振り回されず、目的から逆算しましょう。
銀行で外貨終身を勧められました。安全ですよね?

“安全”は誤解です。為替と手数料で短期は目減りもあり得ます。適合性・アフターケアの確認が重視されていますが、前提は“長期・総コスト・途中で触らない”。家計の現金クッションを確保してからにしましょう。
実践ステップ:3条件チェックから設計の当たりを付ける
実務は次の順番が最短です。現契約の棚卸し(保障額・保険料・満期/返戻推移)→公的保障と家計の必要保障額を再計算→3条件に当てはめる→設計書の損益ラインをチェック→受取人と非課税枠の配分を仮置き→出口(解約・減額・貸付)の税区分と手数料を把握。証券の画像と家計表(収支・貯蓄・教育/介護の将来支出)を用意すれば、オンライン相談でも具体的な設計比較にすぐ入れます。
最後に:おかねとほけんのAIで“AI相談→FP面談”を体験
迷ったら、まずAIに無料で相談して“要否3条件”に当てはめ、独自AIの回答をもとに有資格FPが続きで最適化。LINEで24時間365日、チャットとオンライン通話で完結します。いまは無料オンラインFP相談の参加でギフトBoxキャンペーンも実施中。勧誘を止められる「イエローカード」仕組みもあるので安心です。家計も相続も、今日の30分でスッキリさせましょう。
まとめ:重要ポイント
- 1終身保険は“残す目的”に特化して最小限に。投資は新NISA・iDeCoを優先し、役割を分ける。
- 22025年の予定利率引上げは追い風でも、返戻や損益ラインは設計書で個別確認が必須。
- 3相続非課税枠(500万円×法定相続人)と受取人設計で、争族と手続き負担を減らす。
- 4流動性の確保は“払済・貸付・減額”の順で。固定費の上限と“小口終身+定期”で無理なく。
- 5外貨・変額は“長期・総コスト・途中で触らない”が前提。適合性とアフターフォローも確認する。
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