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【2025年11月更新】相続時精算課税と生命保険|非課税枠と7年ルールの配分基準

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2025年11月更新】相続時精算課税と生命保険|非課税枠と7年ルールの配分基準
相続時精算課税
生命保険 非課税枠
7年ルール
生前贈与加算
名義変更 贈与税
配偶者控除
二割加算

いま押さえる背景と本記事の要点

物価上昇と税制改正が続くいま、相続時精算課税生命保険をどう組み合わせるかで、将来の手取りと手続き負担に差が出ます。生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)を最大化しつつ、2024年から段階的に拡大する「7年ルール」を正しく理解し、2025年時点の実務に合う配分基準を作ることが重要です。本記事は国税庁の一次情報に沿って、非課税枠の按分、7年ルールの移行スケジュールと100万円控除、精算課税の110万円基礎控除(申告不要)の扱いまで、家族事例で具体化します。

本記事で解決できる疑問

  • 1
    生命保険金の税区分(相続税・所得税・贈与税)の見分け方を契約形態別に理解できます
  • 2
    500万円×法定相続人の非課税枠を家族内でどう按分するか、具体例と計算の筋道がわかります
  • 3
    7年ルールの移行スケジュールと「4〜7年分の100万円控除」の正しい使い方が整理できます
  • 4
    相続時精算課税の年110万円基礎控除と申告不要の範囲を、暦年贈与との違いまで区別できます
  • 5
    孫や内縁者を受取人にする場合の二割加算や非課税枠の適用外など、落とし穴を避けられます

生命保険金の税区分と契約形態の基礎

保険金の税目は「被保険者・保険料の負担者(契約者)・受取人」の組み合わせで決まります。国税庁の整理は次のとおりです。
  • 契約者=受取人、被保険者=別人の死亡保険金は受取人の所得として一時所得または雑所得((No.1750 死亡保険金を受け取ったとき))。
  • 契約者=被保険者、受取人=相続人の死亡保険金は「みなし相続財産」で相続税。非課税枠の対象((No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金))。
  • 契約者≠被保険者≠受取人(いわゆる三者別型)の死亡保険金は、契約者→受取人の贈与とされ贈与税(上記No.1750の表参照)。
まずはこの税区分の軸で契約の「出口」(誰が、何を、どの税目で受けるか)を設計しておきましょう。

500万円×法定相続人の非課税枠と按分ルール

死亡保険金の非課税限度額は家族合計で「500万円×法定相続人の数」。家族内の受取額に応じて枠を按分するのが実務です((No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金))。例えば、配偶者・子2人=法定相続人3人なら合計1,500万円が非課税。妻2,000万円/長男1,000万円/長女1,000万円を受け取る場合、受取割合2:1:1で非課税枠1,500万円を750万円・375万円・375万円に割り当て、各人の課税対象はそれぞれ1,250万円・625万円・625万円となります。ポイントは「一人あたり500万円が無条件に使える」ではなく「家族合計枠を受取額で分ける」こと。

孫や内縁者を受取人にすると不利ですか?

孫を受取人にすると税負担が増えると聞きます。非課税枠や加算の扱いはどうなりますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
孫が法定相続人でない限り、死亡保険金の500万円×人数の非課税枠は使えません(No.4114)。加えて、孫など一親等の血族・配偶者以外が相続や遺贈で財産を取得すると、相続税額に二割加算がかかります((No.4157 相続税額の2割加算))。一方、配偶者に関しては「1億6,000万円または法定相続分まで相続税ゼロ」という強力な軽減があります((No.4158 配偶者の税額の軽減))。受取人設計は「枠を使える相続人中心」「配偶者は軽減を勘案して配分」を基本にするのがおすすめです。

相続時精算課税の2024–2025改正:110万円基礎控除と申告不要

2024年(令和6年)から、相続時精算課税に「年110万円の基礎控除」が新設されました。特定贈与者からその年に受けた精算課税対象贈与が110万円以下なら贺与税の申告は不要、110万円超の部分のみ申告します((No.4103 相続時精算課税の選択)(No.4402 贈与税がかかる場合))。精算課税は贈与時に2,500万円の特別控除まで非課税、超過分は一律20%課税。贈与者が亡くなった時には、それまでの精算課税贈与(令和6年以降は年ごとに110万円を差し引いた残額)を相続財産に通算して相続税を計算します(No.4103)。

暦年贈与とのハイブリッド設計の考え方

暦年贅与は年110万円まで贈与税がかからず申告不要ですが、相続税の「生前贈与加算」が段階的に7年へ拡大中です。精算課税の110万円は精算課税内の控除であり、暦年の110万円とは箱が別です。設計のコツは、少額は「暦年の110万円」または「精算課税の110万円」を家族の台帳で人別に管理し、まとまった資産移転は精算課税を併用。相続時の持ち戻しの性質が異なるため、どの箱で渡した資産が将来どう合算されるかを事前に見取り図化しておきましょう。

7年ルールの移行スケジュールと100万円控除

相続税の生前贈与加算期間は、令和6年以降の暦年贈与を対象に段階的に「相続開始前7年」に拡大します((No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)))。相続開始時期で判定が変わり、令和9〜12年の相続では「令和6年1月1日から死亡日まで」の暦年贈与を持ち戻します。さらに、延長された4年間(死亡前3年超~7年以内)の贈与合計から「総額100万円」は相続税の課税価格に加算されません(No.4161)。ただし、直近3年以内の贈与は全額持ち戻し。また、暦年の110万円以下の贈与でも期間内なら持ち戻し対象です(同頁の「加算する贈与財産の範囲」)。

非課税枠と受取人の配分戦略(作り方の基準)

  • 1
    受取人は原則、法定相続人に限定し家族合計枠(500万円×人数)を満額活用します(No.4114)
  • 2
    配偶者は配偶者軽減(1億6,000万円または法定相続分)を前提に、保険金は子へ配分して二次相続も見据えます(No.4158)
  • 3
    保険金は複数人に分散し、受取割合に応じた按分で枠を無駄にしない設計にします(No.4114)
  • 4
    孫・内縁者の指定は非課税枠適用外と二割加算の可能性を踏まえ、目的とコストを明確化して慎重に判断します(No.4114/No.4157)

ケーススタディ|配偶者+子2人:非課税枠1,500万円を満額活用

家族構成:配偶者・子2人(法定相続人3人)。終身保険1,500万円を用意し、受取人を子2人に各750万円で指定。配偶者は保険金を受け取らず、預貯金・配偶者軽減で相続対応。結果、子の保険金1,500万円は家族合計枠で非課税(No.4114)。配偶者は配偶者軽減の範囲で相続税ゼロにできる可能性が高く、二次相続に備えた資産配分も取りやすい構成です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
契約・受取人の決め方は、誰がどの税目で受けるかという“出口”からの逆算が最短です。非課税枠や加算ルールを先に当て込み、家族の生活資金の流れと合わせて設計しましょう。

名義変更・解約の順番ミスを防ぐ

保険の契約者変更(名義変更)それ自体に税は原則生じません。ただし、その後の「解約返戻金の受け取り」や「死亡保険金の受け取り」で、誰の負担に対応する金銭が誰に移ったかにより、贈与税・所得税・相続税の課税が決まります(死亡保険金の税区分は(No.1750)、満期・解約の税区分は(No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき))。「変更→即解約」で贈与税になるリスクや、三者別契約の贈与税化は、事前の段取りで回避可能です。

7年ルール下での贈与計画の注意点

令和6年以降の暦年贈与は、相続開始前7年以内が持ち戻し対象(No.4161)。毎年110万円以下でも期間内は加算されます。持ち戻しを避けたい場合は、贈与開始を早めて期間経過を待つか、相続人以外への贈与(税負担と目的を要検討)などの選択肢を検討。精算課税は年110万円控除により小口は申告不要、相続時通算では令和6年以降は年ごとに110万円を除いた残額が加算されるため、少額移転を分けて行う意味も生まれます(No.4103)。

Q&Aで最終確認:暦年課税と精算課税はどちらが有利?

「まとまった資産を早期に移したい」なら精算課税の2,500万円特別控除が有効。一方、長期で計画できるなら暦年贈与の110万円非課税を積み重ねる方が総額の非課税移転が大きくなりやすいです。ただし暦年は7年ルールで持ち戻しあり、精算課税は相続時に全額通算(令和6年以降は年ごとに110万円控除後の残額)されます。家族の年齢・資産規模・相続税有無の試算を起点に、両者を“人別・年別”に台帳管理してハイブリッド設計しましょう(No.4103/No.4161/No.4402)。

今日からの実践ステップ

家族で受取人設計と台帳管理のルールを共有し、贈与は「誰から誰へ・どの箱(暦年/精算)・いくら・日付」を明確化。保険は受取人複数指定・割合指定で非課税枠の無駄を減らし、名義変更や解約の順番は将来の出口まで見据えて決めます。必要に応じて税務署や税理士に事前相談し、証跡(贈与契約書・資金の流れ)を残すことが否認防止の近道です。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    生命保険の非課税枠は家族合計(500万円×法定相続人)で、受取割合に応じて按分するのが正解(No.4114)
  • 2
    7年ルールは令和6年贈与から段階拡大。延長4年間は合計100万円除外、110万円以下の暦年贈与も期間内は持ち戻し(No.4161)
  • 3
    相続時精算課税に年110万円基礎控除(申告不要)が新設。相続時は令和6年以降、年ごとに110万円控除後の残額を通算(No.4103/No.4402)
  • 4
    受取人設計は相続人中心、配偶者軽減を活かし、孫指定時の二割加算・非課税枠適用外に注意(No.4157/No.4158)
  • 5
    名義変更後の解約・受取で課税が確定するため、順番と出口設計を先に決める

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家族構成と資産の“わが家の正解”はケースで変わります。FP相談なら、非課税枠の配分と7年ルール、相続時精算課税の110万円控除の使い方を人別・年別の台帳に落とし込み、保険の受取人設計や名義変更の順番まで中立的に比較できます。オンラインなら全国どこでも時間の制約なく相談可能。無料で複数案を比較し、次にやるべき手順を具体化しましょう。

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