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【2025年10月更新】個人年金保険 繰上げと繰下げの違い|損益分岐と開始年齢

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年10月更新】個人年金保険 繰上げと繰下げの違い|損益分岐と開始年齢
個人年金保険
繰上げ受取
繰下げ受取
損益分岐点
開始年齢
源泉徴収
公的年金

まず整理:用語の違いと2025年の前提

読者が混乱しやすい「繰上げ」「繰下げ」は、公的年金と民間保険で意味が異なります。公的年金の繰上げ・繰下げは受給開始時期の前倒し・後ろ倒しで月0.4%減/月0.7%増(上限75歳)という数理的な増減率が定められています。一方、民間の 個人年金保険 では「繰上げ」は多くが年金開始の前倒しではなく“途中解約(返戻金受取)”に当たり、「繰下げ」は“据置(開始延期)”です。2025年は金利高止まりと予定利率の引上げ基調で、新規や据置の条件が改善する商品もありますが、既契約の“入り直し”は損益分岐の比較が必須。この記事では 繰上げ受取繰下げ受取 の違い、 損益分岐点 の作り方、年金 開始年齢 の決め方まで、公的リンクと具体例で一体的に整理します。

用語と論点の早見

  • 1
    民間の繰上げは多くが途中解約=返戻金の受取であり、元本割れリスクが高い
  • 2
    民間の繰下げは据置(開始延期)で、据置利率や予定利率が効くが商品ごとに条件が異なる
  • 3
    公的年金の繰上げは月0.4%減・繰下げは月0.7%増、上限は75歳で増額最大84%
  • 4
    加給年金・振替加算・在職老齢の“停止対象分”は繰下げ増額の対象外
  • 5
    2025年は予定利率上昇の動きが続くが、入り直しは既契約の保障・税・費用まで比較する

民間の個人年金保険:繰上げ・繰下げの仕組み

民間の個人年金保険で「繰上げ」と言われる手続きは、多くの契約で“途中解約”扱いです。返戻金は積立期間が短いほど元本割れになりやすく、年金形式で受け取る設計を崩すことになります。開始を遅らせる「繰下げ」は“据置”で、保険会社の据置利率や予定利率が適用される場合がありますが、据置中の配当や利息の扱い、据置可能期間、最低据置額などは約款ごとに違います。変更の可否・手続時期・適用日も契約ルールに従うため、証券と約款の条項を必ず確認しましょう。

公的年金の繰上げ・繰下げ:数字で押さえる基礎

公的年金は、繰上げ(60〜64歳)は月0.4%減、繰下げ(66〜75歳)は月0.7%増。上限75歳で増額は最大84%です。日本年金機構と厚労省の一次資料で制度の全体像と留意点を確認できます。(第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給)(令和4年4月施行年金制度改正資料)(老齢年金の繰下げ制度)。これらの資料では、繰下げ開始後の増額率が生涯固定であること、70〜80歳の特例的な“みなし繰下げ(5年分一括)”の扱い、加給年金・振替加算・在職老齢の停止相当分が増額対象外であることが明示されています。累積受取は、一般に“受け取り開始から約11年11か月以降で繰下げの方が多くなる”という指標も提示されています。

いつから受け取り始めるのが良い?

65歳を基準に、繰下げして70歳からにすると本当に得になりますか?生活費の空白が不安です。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
繰下げは月0.7%増で70歳なら約42%増。ただし累積で逆転するのは“受け取り開始から約11年11か月”以降の目安です。空白は民間の年金や終身の一時金・預金取り崩しで埋めつつ、65歳は基準、働き方と健康・家計のバランスで段階的に決めるのが現実的ですよ。

税・控除と受取方法の損得

民間の年金受取は原則「雑所得」で、対応保険料(または掛金)を差し引いた“差額”に対して、年額の差額が25万円以上なら源泉10.21%がかかります。25万円未満は源泉なしです。詳細の計算枠は国税庁のQ&Aが最も分かりやすいです。(No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金)。一括受取は原則「一時所得」で50万円控除・1/2課税の枠組みになり、年金形式と税負担が変わります。なお、2026年分は“子育て世帯”向けに一般生命保険料控除の上限が一時的に拡充(6万円)されますが、個人年金保険料控除の枠組み自体は据え置きです。制度全体の更新ポイントは厚労省のまとめが便利です。(令和7年度 税制改正の概要(厚生労働省関係))

損益分岐の作り方:公的×民間の現実解

損益分岐は「総受取の比較」と「空白期間の資金」を同時に見るのがコツです。公的年金は繰下げで月0.7%増、70歳なら約42%、75歳で約84%増ですが、逆転タイミング(累積受取で繰下げが有利になる)は“約11年11か月”の目安。民間は返戻率(総額÷払込総額)だけでなく、据置利率・予定利率・据置中の税の扱い、そして雑所得・一時所得の差で手取りが変わります。迷ったら、公的年金は基準65歳を起点に「66・68・70・75」の4点で、民間は「年金形式/一括/据置」の3通りで総額と手取りを並べ、生活費の月次不足を埋める現金フローを作ると判断しやすくなります。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
年金は“いつから・いくら・どう受け取るか”で価値が変わります。65歳基準を軸に、働き方と健康、家計の空白を埋める設計で段階的に決めるのが、結局いちばんブレません。

比較の補助ツール:公式シミュレーターの使い方

公的年金は公式ツールで見込み額を簡易試算できます。ねんきん定期便があると精度が上がり、開始年齢を動かして増額率の影響を視覚的につかめます。(公的年金シミュレーター)。民間は約款の“据置中の利息・配当の扱い”“源泉の有無”“最低据置額”“開始時期の変更期限”“一括受取の税式”など、シミュレーターだけでは判定できない論点が多いので、証券の項目を表に落として比較しましょう。

民間×公的の併用シナリオ例

たとえば「公的年金は68〜70歳で繰下げ、民間は65〜70歳の空白を年金形式や終身の一時金で埋める」併用設計。公的を70歳にすると増額約42%で長寿リスクに強く、民間は税の枠や予定利率を活かして“空白期の生活費”を平準化できます。逆に公的は65歳、民間は据置で70歳から年金開始にして教育費・住宅費のピークに合わせる選択肢も。加給年金・振替加算は繰下げ増額の対象外(加算は繰下げ待機中は支給されない)なので、夫婦の年金開始時期は別々に最適化すると歪みを減らせます。根拠は厚労省・年金機構の一次資料で確認できます。(老齢年金の繰下げ制度)

3ステップ:判断と商品選び

  • 1
    証券・約款を棚卸しして、据置可否・開始変更期限・据置利率・源泉の有無など“現状”を見える化する
  • 2
    公的年金は65歳基準で66・68・70・75の4点をざっくり比較、民間は年金/一括/据置の3通りで総額と手取りを並べる
  • 3
    空白期の生活費を月次で埋める“現金フロー”を作り、税(雑/一時)、社保(国保料・介護保険料)の影響もチェック
  • 4
    予定利率上昇局面でも“入り直し”は健康条件・費用・控除・保障の消滅リスクまで比較してから結論を出す

予定利率上昇局面での見直し基準

2025年は金利正常化の影響で、貯蓄性保険の予定利率が引き上がる動きが続いています。新規や据置条件が改善する場面はありますが、既契約からの“入り直し”は、返戻率だけで判断すると失敗しがちです。失う保障(付帯サービス・健康条件)と、税・社保の実効負担、再加入の可否、比較費用(手数料・医療診査・待機)まで含めて“総合損益”で比べましょう。控除の枠(個人年金保険料控除は据え置き、2026年分の一般枠拡充は限定的)を活かす組み替えも併せて検討すると、家計の実質効果が高まります。

落とし穴の回避:制度の“細則”に注意

公的年金の繰下げ待機中は加給年金・振替加算が加算されません。複数の老齢厚生年金(共済含む)がある場合は原則同時に繰下げ申出が必要です。繰上げ開始後は65歳までに遺族厚生年金との同時受給は不可、障害年金(事後重症)・寡婦年金の受給も不可など、制度上の制限があります。70〜80歳の“みなし繰下げ(5年分一括)”は便利ですが、過去5年より前は時効消滅で受け取れません。これらは一次資料で確認できます。(第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給)

まとめ:重要ポイント

  • 1
    民間の繰上げは“途中解約”が中心で元本割れリスクが高い。繰下げは据置で約款条件の確認が必須
  • 2
    公的年金は繰上げ0.4%減/繰下げ0.7%増(〜75歳)。累積逆転の目安は“受け取り開始から約11年11か月”
  • 3
    税は年金=雑所得(25万円未満は源泉なし/以上は10.21%)、一括=一時所得。2026年の一般枠拡充は限定的
  • 4
    損益分岐は“総受取+空白期の資金”の二面で作る。ねんきんシミュレーターと証券・約款の棚卸しが近道
  • 5
    夫婦・世帯で加給・振替加算・在職老齢の扱いを確認し、公的×民間を分けて最適化する

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年金の開始年齢と受け取り方は、制度の細則と家計の現実をセットで見る必要があります。ねんきんシミュレーターで公的の見込みを出し、民間は証券と約款の“据置・税・開始変更期限”まで棚卸し。ほけんのAIならチャットから無料で、AIの一次整理→FPの中立比較までオンライン対応。時間・場所の制約なく、無料で何度でも。LINEで予約し、必要なら面談へ進めば、わが家の最適解が最短で固まります。

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