【2025年9月更新】被扶養者150万円 19〜23歳|家計影響と見直し基準
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

被扶養者150万円
19〜23歳
特定扶養控除
特定親族特別控除
130万円の壁
年収の壁
年末調整2025
目次
まず押さえるべき“変更の核心”
2025年10月から、健康保険の被扶養者の年間収入基準が被扶養者150万円に緩和されます(対象は19〜23歳・配偶者除外)。これに合わせ税制でも特定親族特別控除が新設され、150万円までは満額、150万超〜188万円は段階的に控除が減る仕組みに。年末の“働き控え”を減らしつつ、世帯手取りの急減を避ける設計に変わります。この記事では、公的一次資料に基づいて「いつから」「誰が」「どう手続きし、何に注意するか」を実務目線で整理します。
変更点の要約(社会保険・税)
- 1健康保険の被扶養者認定は、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)に限り「年間収入150万円未満」で判定され、適用開始は2025年10月1日である
- 2年齢判定はその年の12月31日基準で行われ、学生要件は不要である
- 3対象外(高校生以下・23歳以上・配偶者等)は従来どおり「年間収入130万円未満」が基準である
- 4税制は19〜23歳の子に対して、150万円まで満額の扶養控除相当(所得税63万円・住民税45万円)、150万超〜188万円で逓減する「特定親族特別控除」が新設された
- 5一時的な超過は年収の壁・支援強化パッケージの「事業主証明」で扶養継続の余地がある(企業の対応制度)
社会保険の扶養150万円化:対象・判定・適用開始
厚生労働省通知により、被扶養者認定のうち「年間収入130万円未満」の枠は、認定対象者が19歳以上23歳未満(配偶者除外)の場合に限り「150万円未満」に引き上げられます。年齢はその年の12月31日時点で判定し、学生であることは要件ではありません。適用は2025年10月1日からで、同日以降の認定・再認定に反映されます。
一次資料はこちら(PDF):(19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について)
すでに各健保組合でも周知が進んでおり、具体運用(年齢判定・適用開始日・対象外の取扱い)がまとまっています:(2025年10月1日からの被扶養者認定基準変更について(19歳〜23歳対象))
いつから・うちは対象?
うちの子が2025年に19歳になります。いつから150万円ルールで扶養にできますか?

2025年10月1日以降の認定から適用されます。年齢判定はその年の12月31日時点の年齢で行うため、2025年末に19歳ならその年は「150万円未満」が基準です。既に扶養中の方も、10月1日以降は年間収入見込み150万円未満での継続判定になります。
税制の新ルール:150万円満額/188万円まで逓減
2025年分以後の所得税で、大学生年代(19〜23歳)の子に「特定親族特別控除」が創設。合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入のみなら123万超〜188万円以下)なら、親側で控除額が段階的に適用されます。150万円までは満額(所得税63万円)、150万超〜188万円で逓減し、188万円超でゼロです。源泉徴収実務では「源泉控除対象親族」の概念が導入され、年末調整で控除の精算を行います。
詳細は国税庁Q&Aに整理されています(PDF):(令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A)
住民税の控除額のレンジ(45万円)は自治体資料が分かりやすいです:(令和7年度税制改正(いわゆる年収の壁への対応)の概要)

150万円化で年末のシフト調整はだいぶ楽になります。一方で学業とのバランスや、翌年の年齢到達で基準が戻る点は事前に見通しておきたいです。
年末調整・書類の実務ポイント
年末調整では、新設の「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出して控除を適用します。源泉徴収上は12月1日以降の改正に合わせて「源泉控除対象親族」へ様式が更新。控除額の計算・記載方法、マイナンバーの扱い、国外居住親族の提出書類などもQ&Aで具体的に示されています。
詳しくは国税庁Q&A(様式・記載例を含む)が参考になります:(令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A)
失敗しない見直し手順(年内の段取り)
- 1年間収入見込みを月次で更新し、年末に向けたシフト調整の必要性を可視化する(150万円基準の対象・非対象を家族で共有)
- 2健康保険の扶養判定は「認定日」と「12/31年齢」でブレないよう、10月以降の申請タイミングを確認する
- 3税の控除は年末調整で適用するため、特定親族特別控除申告書と扶養控除等申告書の記載漏れをチェックする
- 4一時的超過は事業主証明で扶養継続の余地あり。会社の人事・労務窓口で運用有無と証明様式を確認する(厚労省の制度案内:(年収の壁・支援強化パッケージ))
- 5学費・生活費の支出計画と新NISAの積立は“月次キャッシュフロー基準”。年末に無理な上振れが出ない積み方へ調整する
家計インパクト:130/150/160万円の“目安”
モデルケースでも、改正後は年収150万円までは親の控除維持で世帯手取りが増えやすく、150万円を少し超える区間でも逓減制度により“崖”が緩和されます。一方で160万円近辺からは本人の社会保険料負担や控除の逓減で伸びが鈍化しやすいのが実感値。目安として、親の税率が標準帯の場合、150万円と130万円の比較で世帯手取りは十数万円〜20万円程度の上振れを見込める一方、160万円では本人の保険料負担(年20万円前後のレンジ)で伸びが縮むイメージです。
注意点として、勤務先の加入要件や自治体の保険料水準で差が出ます。自世帯の具体値は年末調整前に“源泉票+見込み”で試算し、働き方と学費・生活費のバランスを整えるのが安全です。
学生納付特例はどうなる?
年収150万円まで働くと、国民年金の学生納付特例は受けられますか?

学生納付特例は「前年の本人所得が一定以下」が要件です。目安は「128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除等」。このラインを超えると特例が認められない可能性があるため、学費・生活費と合わせて年収計画を立てましょう(参考:自治体案内の基準説明:(学生納付特例制度))。
“壁対策”の企業制度:事業主証明の使い方
繁忙期などで一時的に年収が上振れしても、事業主の証明があれば、一定の要件の下で扶養継続の余地があります。証明様式・Q&Aは厚労省の特設ページに公開されています。実務では「上振れの一時性」「労働時間延長の背景」「翌年の収入水準見込み」などを企業と共有し、証明の発行可否を早めに確認するのがコツです。
制度総覧・様式はこちら:(年収の壁・支援強化パッケージ)

150万円で満額、150万超〜188万円で逓減、翌年に23歳を迎えると社会保険は130万円へ戻る——この三つの節目を年内の働き方と学費計画に落とすと迷いが減ります。
よくある質問:対象外・到達年・106万円の関係
23歳到達年の扱い:判定は各年の12月31日基準。23歳に達した年の翌年からは健康保険の年間収入基準が原則130万円へ戻ります(通知PDF参照)。
配偶者・高校生が対象外の理由:今回の150万円化は大学生年代の就業調整対策に絞った特例で、配偶者・高校生(18歳以下)などは従来の130万円基準のままです。
106万円の関係:学生は一般に「106万円の壁」の厚生年金適用拡大の対象外(学生適用除外)ですが、勤務先要件により例外もありえます。就業形態と加入要件は会社規程を必ず確認しましょう。
次アクション:我が家の“最適ライン”を可視化
制度は緩和されましたが、家計の最適ラインは各世帯で異なります。源泉徴収票や給与明細、学費の見積書を用意し、年末までの収入見込みと控除適用の有無、保険の扶養認定の時期を並べるだけでも意思決定の質が上がります。
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まとめ:重要ポイント
- 1健康保険の扶養は19〜23歳に限り「年間収入150万円未満」へ引上げ。年齢判定は12/31、学生要件は不要
- 2税制は「特定親族特別控除」で150万円満額・150万超〜188万円で逓減。年末調整の書類更新に注意
- 3一時的超過は厚労省の事業主証明で扶養継続の余地あり。会社の運用有無を事前確認する
- 4学生納付特例は本人所得の上限に注意。学費・生活費と収入計画をセットで管理する
- 5150万円までは世帯手取りが伸びやすいが、160万円付近からは保険料負担で伸びが鈍化しやすいことを想定
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