【2025年8月更新】GLTD改正対応:損金と休職対策の要点(個別相談可)
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
この記事の最新の更新
最終改良: 2025年8月17日
- 返戻率帯ごとの資産計上割合への正確な訂正
- 導入事例の金額表示削除と必要注意事項の明記
- 最新の調査・法改正資料への一次情報リンク追加

GLTD
就業不能保険
損金算入
ストレスチェック
健康経営優良法人
中小企業
税制改正
目次
2025年改正と小規模事業場への波及—最初に押さえる全体像
2025年以降、中小企業の福利厚生保険は「税務」と「労務」の両面で見直し期にあります。とくに GLTD(団体就業不能保険)は、契約と受取人の設計によって税務処理が分かれ、返戻金のない従業員受取型は原則、期間対応で 損金算入 が可能です。一方、労働安全衛生法の改正により、これまで努力義務だった50人未満事業場の ストレスチェック義務 が拡大されることになりました。制度改正と実務の波を同時に読み解き、休職コストを可視化しながら、税効率の高い設計に更新していきましょう。
2025-2026の最新ポイント(実務に効く要約)
- 1GLTDのうち返戻金なし・従業員受取型は期間対応で損金処理(法基通の整理に沿った扱い)
- 2返戻金付きは最高解約返戻率の帯に応じて資産計上(50%超70%以下は40%、70%超85%以下は60%、85%超は70%[契約10年までは90%])
- 3ストレスチェックを50人未満事業場にも義務化。公布後3年以内に施行予定で準備期間が確保される見込み
- 4令和6年労働安全衛生調査では、メンタル不調で1か月以上の休業・退職者がいた事業所が12.8%、集団分析の実施75.4%・活用76.8%
- 5健康経営優良法人2025で「ネクストブライト1000」新設や小規模法人向け特例導入など、認定制度がアップデート
メンタル休職リスクの最新データと費用感
厚生労働省の令和6年調査では、過去1年にメンタル不調で連続1か月以上の休業または退職者がいた事業所は12.8%でした。ストレスチェックを実施した事業所のうち、部課単位の集団分析を行った割合は75.4%で、その分析結果を活用したのは76.8%です(いずれも令和6年、事業所規模別の内訳あり)。
休職コストは目に見えにくいですが、給与の継続・引継ぎ・代替要員・採用・再教育の合算で数百万円規模になることは珍しくありません。例えば月給35万円の社員が6か月休むと、給与関連で約210万円、採用・教育で100万円と仮定すれば、合計は約310万円に達します。GLTDの導入コストは会社規模・年齢構成・設計で大きく変わるため、金額は個社試算が前提です。
保険料は固定費として重くない?
GLTDは固定費が気になります。入れた分だけ本当に効果があるのでしょうか?

損益分岐は「休職件数×平均的な損失額」で見ます。休職が年0.2件でも元が取れる会社は多く、さらに保険料は全額損金計上できる設計なら法人税等の税効果で負担は軽くなります(標準税率23.2%なら実効負担は理論上低下)。まずは自社データで試算しましょう。
GLTDの基本と税務の勘所
GLTDは、病気やケガ、メンタル不調で働けなくなった従業員に、一定割合の給与相当を一定期間支払う福利厚生保険です。会社を契約者、従業員を被保険者・受取人にする形なら、受け取る給付金は 所得補償保険 に該当し原則非課税の取扱いです(所得税の個人課税における非課税規定の範囲内)。メンタル疾患も約款に基づき支払対象となるのが一般的で、休職中の生活を直接支援できます。
参考リンク:(所得補償保険の保険金を受け取ったとき)

不調はいつでもどの部署でも起きます。平時の設計こそ、財務と人材の両方を守る最短ルートです。
返戻金付き商品の資産計上ルールを正確に理解
誤解が多いのが「最高解約返戻率=資産計上割合」ではない点です。税務は帯で処理します。 法基通9-3-5の2 に沿えば、
・最高解約返戻率が50%超70%以下:当期分保険料の40%を資産計上(資産計上期間あり)
・70%超85%以下:当期分保険料の60%を資産計上
・85%超:当期分保険料の70%(契約から10年までは90%)を資産計上
返戻金のない従業員受取型は期間対応で損金処理が可能で、実務上は月払保険料をそのまま損金計上できます。制度の骨子は国税庁の公表内容で確認してください。
キャッシュフローと補償のバランス設計
同じGLTDでも、待機期間(支給開始までの日数)や給付割合、給付上限を調整するだけで保険料水準は大きく変わります。例えば、待機60日→90〜120日に延ばす、給付割合80%→60%に抑える、などの工夫で、突発的な長期休職に備えつつ平時の固定費を抑えられます。役割や報酬に応じてコースを2〜3段階に分ける「メリハリ設計」も有効です。税効果は決算見込みの法人税等の実効税率で見込み計上し、キャッシュフローで意思決定しましょう。
導入までの実践ステップ
- 1取扱いのある複数社に同条件で見積依頼し、返戻金有無・待機期間・給付割合・上限の比較表を作る
- 2税務は返戻率帯の資産計上を前提に複数シナリオで期中・期末の損益影響を試算する
- 3就業規則に休職補償と保険給付の位置づけを追記し、社労士・弁護士のチェックを受ける
- 4全従業員に制度を周知し、希望給付割合や労使協定との整合も確認する
- 5導入後は年次で発生率・稼働率・人件費増減をレビューし、必要なら設計を微修正する
小規模事業場のストレスチェック義務化に備える
労働安全衛生法改正で、50人未満事業場にもストレスチェックが義務化されます(公布後3年以内に政令で施行日を定める予定)。小規模事業場の負担に配慮しつつ準備期間が確保される見込みで、実施マニュアルの整備や地域産業保健センターの体制拡充が示されています。現行の運用に早めに近づけ、集団分析→職場改善のPDCAを回せる体制にしておくと、義務化後の負担が軽くなります。
健康経営認定の最新動向と外部支援の使い方
健康経営優良法人2025では、中小規模法人部門に「ネクストブライト1000」が新設され、また小規模法人向けの特例(要件の一部緩和)も導入されました。申請ページでは自治体の入札加点や金融優遇など、地域ごとの支援メニューも整理されています。GLTDやメンタルヘルス体制は、認定の加点そのものではなくても、実効的な仕組みとして評価の土台になります。
参考リンク:(健康経営優良法人認定制度について(スライド))
導入事例の示唆(数値は個社で大きく異なる点に留意)
従業員25名のIT企業では、メンタル不調による長期休職が1件発生した年に、GLTDの給付により会社の直接的な給与補填負担を回避できました。リファラル採用と合わせて採用・定着のコストも抑制され、結果として想定損失を大幅に縮小できた事例です。なお、保険料や給付額は年齢構成・設計・支給条件で大きく変わります。金額例を用いる場合は、モデル前提(年齢レンジ・性別構成・保険期間・払込方法・待機日数・給付割合・主な免責等)を明示した個社試算が必須です。
FP相談で何が決まる?
顧問税理士は保険に詳しくありません。誰に、何を聞けばいいですか?

税務・労務・保険を横断できるFPが、ストレスチェック体制や就業規則、GLTDの設計まで30分ほどで現状整理。複数社の条件を中立比較し、資産計上シミュレーションまで行います。
無料オンライン相談の進め方
事前に、休職・離職の過去3年分の件数、平均給与、採用単価、現在の健康施策(ストレスチェックの実施状況、集団分析の有無)を用意していただくと、1回の面談で「保険なしの対策」「GLTD最小限プラン」「GLTD標準プラン」の3案比較まで到達できます。見積・就業規則修正の雛形・税効果の概算はその場で共有可能です。相談は無料で、オンライン完結です。
まとめ:重要ポイント
- 1返戻金なし・従業員受取型GLTDは期間対応で損金処理が可能
- 2返戻金付きは返戻率帯ごとの資産計上ルールを厳守
- 3ストレスチェック義務が50人未満へ拡大する前に体制整備
- 4保険は待機日数・給付割合の調整で固定費を最適化
- 5金額は個社差が大きいためモデル前提と個別試算が不可欠
ぜひ無料オンライン相談を
自社の休職リスクと税効果を同時に見える化するには、横断的に比較できる第三者の視点が近道です。オンラインなら移動不要・夜間も可。無料で、GLTDを含む複数社の条件を中立比較し、資産計上や損金処理のシミュレーション、就業規則の留意点まで一気通貫で整理します。次のアクションは、必要資料の準備と30分の面談予約だけです。
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