【2025年10月更新】生命保険 指定代理請求の核心|条件と段取り(個別相談可)
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
この記事の最新の更新
最終改良: 2025年10月23日
- 支払口座名義の取扱いの注意書き追記
- 最新約款改定の要点と通知規定の明確化
- オンライン手続の具体的フローと書類例の補強

生命保険 指定代理請求
指定代理請求人 範囲
請求条件
本人非通知
成年後見制度
オンライン手続き
必要書類
目次
まず押さえる:指定代理請求の全体像
指定代理請求は、被保険者本人に特別な事情があって自ら請求できないときに、あらかじめ登録した代理人が給付金などを代わりに請求できる仕組みです。多くの契約では追加保険料不要の特約(指定代理請求特約)を付けて使います。制度の基本は、公的な中立機関のQ&Aが分かりやすいので一度目を通しておくと安心です((指定代理請求制度って、どんな制度なの?))。
一方で、死亡保険金などの受け取り権利者である「保険金受取人」とは役割が異なります。指定代理請求人は“手続きの代理人”、受取人は“金銭の権利者”と覚えると混同を防げます。2025年は、対象範囲の明文化や通知・読み替え規定の整備が進んでおり、詳細は各社の最新ページで必ず確認しましょう。
2025年の最新アップデート要点(要約)
- 1一部の保険会社で、同居者や財産管理者、死亡保険金受取人などを会社が適切と認める場合に指定範囲へ含める改定が2025/1/2に施行((特約条項の一部変更について))。
- 22025/4公開の改定資料で、請求条件の記載や通知先の特則、契約者代理特約との読み替え規定の明文化を確認((「無選択移行 ご契約のしおり・約款」変更のお知らせ(2025年4月版)))。
- 3未指定のまま請求不能になった場合は成年後見の選任が必要になることが多く、審理期間は「2か月以内71.8%、4か月以内93.7%」(令和5年)((成年後見関係事件の概況 令和5年))。
- 4オンライン・郵送併用の手続が拡充し、書類の取り寄せや特約付加・変更を非対面で受け付ける例が増加。具体的な流れは後掲の手続セクションのリンクで確認可能。
- 5実務では「1契約につき1名」運用が一般的で、離婚・別居・海外転居等のライフイベントごとに指定見直しの案内が強化。
代理請求が認められる請求条件の具体例
約款上の 請求条件(被保険者が自ら請求できない特別な事情)に該当するとき、登録済みの指定代理請求人が代わって請求できます。典型例は次のとおりです。意思表示が困難(昏睡・重度認知症など)、治療上の配慮による本人未告知(がんや余命6か月以内など)、これらに準じる一時的な判断能力低下等。定義や具体例は、企業サイトの整理が参考になります((指定代理請求制度について))。
本人に知らせず家族が請求してもよい?
がんの病名を本人に告げていない場合でも、家族が代理請求できますか?保険会社からの通知は本人に届きますか?
治療上の配慮として未告知が認められる場合は、代理請求が可能です。多くの案内で、代理請求に基づく支払いについては本人へ通知しない運用が明記されています(前掲のQ&A参照)。ただし契約者や本人からの照会には回答されるのが通常です。家族間の情報共有と主治医との相談を並行して進めましょう。
対象外・グレーゾーンと実務の注意
指定代理請求の主対象は生前給付(入院・手術・高度障害・介護・リビングニーズ等)であり、死亡保険金は受取人固有の権利のため対象外です。被保険者が回復し意思表示できるようになった時点では本人請求が原則です。さらに、指定代理請求人の権限は“請求行為”に限定され、解約・受取人変更・契約者貸付などの契約変更はできません(別途「契約者代理特約」等の検討が必要)。2025/4版の公表資料では、契約者代理特約が付加されているケースでの読み替え規定や、いずれにも通知できない場合に指定代理請求人へ解除通知を行う特則の明記など、運用上の留意点が追記されています((「無選択移行 ご契約のしおり・約款」変更のお知らせ(2025年4月版)))。
誰を指定する?家族の決め方と基準
- 1日常の連絡が取りやすく、医療・行政手続に慣れた人を第一候補にする。
- 2平日に病院・役所・郵便対応ができる人を選び、機動性を確保する。
- 3金銭管理に節度があり、領収書や明細の保管ができる人を優先する。
- 4指定時と請求時の双方で要件を満たす人を選び、要件外となる事例(離婚・別居・海外在住等)を想定しておく。
- 5複数契約の場合は“1契約につき1名”の原則を踏まえ、契約ごとに最適な人を割り当てる。
指定できる範囲の現在地(事実婚・同性パートナー等)
指定できる 指定代理請求人 の範囲は約款で定められ、一般的には配偶者(戸籍上)・直系血族・3親等内の親族が中心です。2017年以降は、同居・生計同一や事実婚・同性パートナー等を含める見直しが広がってきました((代理請求人等の範囲の拡大))。
重要なのは「指定時」と「請求時」の双方で要件内であること。離婚・別居・転居・海外在住などで要件から外れると、その人では請求できません。ライフイベントごとに見直しましょう。
指定は“信頼性×機動性”。誰が動くかを、家族で平時に決めておくほど、いざという時に迷いません。
事前登録・変更のやり方(オンライン可否)
特約の付加・変更は、窓口・郵送・オンライン(マイページ等)など会社により手段が分かれます。実務では、所定フォームを取り寄せて郵送で付加し、請求時にも関係性の確認書類(戸籍・住民票等)を提出する流れが一般的です((指定代理請求特約の付加))。
ネット・大型社では、WEBで書類請求→郵送提出やマイページからの変更受付など、非対面の運用が広がっています((指定代理請求制度のご利用))。古い契約は特約未付加のこともあるため、いまの契約ごとに“登録有無”と“指定範囲との適合性”を点検しておきましょう。
未指定で本人が請求不能…どう動く?
代理請求人を登録していないまま、親が認知症で手続きが止まっています。最短ルートはありますか?
家庭裁判所に成年後見(法定後見)を申立て、選任された後見人が請求する流れになります。審理は「1か月以内38.5%、2か月以内71.8%、4か月以内93.7%」との統計があります((成年後見関係事件の概況 令和5年))。保険実務の全体像は業界団体の資料も役立ちます((自分で請求できないときは))。資金繰りに備え、平時の指定登録が現実的です。
実際の請求フローと必要書類
請求は「保険会社へ連絡→請求書類の取り寄せ→医師の証明・本人確認・関係証明を添付して提出→支払い審査→振込」という流れです。押さえるポイントは次の3つです。医師の証明は、意識障害や判断能力、未告知の有無などを会社所定の様式で記載依頼。関係証明・本人確認では、配偶者・直系血族・3親等内・同居等の要件確認のため、戸籍・住民票(続柄記載)や代理人の本人確認書類を提出。支払口座の名義は会社規定により異なります。原則は本人(被保険者)名義の取扱いが多く、代理人名義への振込可否は事前に各社へ確認してください。給付金は被保険者の療養・生活のための資金です。使途や明細の記録を家族で共有し、トラブルを防ぎましょう。
支払い後の契約への影響と通知
高度障害保険金やリビングニーズの支払いで契約が消滅・縮減することがあり、入院・手術給付でも限度額の消化が進みます。多くの運用で、代理請求に基づく支払いについて保険会社は被保険者本人へは通知しない(本人非通知)ため、家族側が支払い後の契約状態(消滅・縮減・残り限度額)を確認し、保険料の引き落としや次の請求可否に誤解がないようフォローすることが大切です。契約者・本人からの照会には回答されるのが通常です。
“誰が・いつ・どこに連絡し・どの書類を出すか”。台本化して家族LINEに固定すれば、数日単位で早くなります。
誤解しがちな点とトラブル予防
指定代理請求人ができるのは請求手続きのみで、解約・受取人変更・契約者貸付などの契約関係手続きはできません。給付金は代理人の私用資金ではなく被保険者の療養・生活費のためのものです。使途や明細の管理を徹底し、家族内で記録を共有しましょう。制度の基礎や範囲の読み替えは、前掲の一次情報リンクで原文を必ず確認してください。
まとめ:重要ポイント
- 1指定代理請求は“生前給付の手続き代理”であり、死亡保険金の受取人とは役割が別である。
- 2典型的な請求条件は「意思表示不能」「未告知」「準ずる状態」。未指定だと成年後見が必要になり資金化が遅れうる。
- 3誰を指定するかは“信頼性×機動性”。指定時と請求時の双方で要件内か、ライフイベントごとに見直す。
- 4オンライン・郵送の非対面手続が拡充。会社ごとの範囲・書類・可否は一次情報で最新を確認する。
- 5支払い後は契約状態の変化と“本人非通知”の運用に留意し、家族内の情報共有を徹底する。
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