【2025年9月更新】団信革命の落とし穴|金利上乗せと保障範囲の見極め|ペアローン対応
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

団信革命
団信
金利上乗せ
全疾病保障
連生団信
ワイド団信
フラット35
団信革命の現在地:金利より“保障”で選ぶ時代
住宅ローンの 団体信用生命保険(団信) は、いまや「死亡・高度障害」だけではありません。がん・三大/八大疾病、全疾病(就業不能)や介護まで広がり、各行が特約で差別化する流れが定着しました。代表的な条件(診断確定で残高0、就業不能が一定期間続いたら返済肩代わり、要介護で全額免除など)は銀行・プランごとに大きく違います。実際の条文例や月額負担の目安は、メガバンクの疾病保障パンフレットに具体的な数値がまとまっています((疾病保障付住宅ローン パンフレット))。
また、固定金利の代表であるフラット35では9月時点の最頻金利が1.89%と公表されており((長期固定金利住宅ローン フラット35))、金利差が縮んだ分、保障の“質”が選択の決め手になりやすい環境です。この記事は、家計インパクトと「支払われる瞬間」を見誤らない選び方を実例と一次情報リンクで整理します。
金利上乗せの実額:小さく見えて長期で効く
特約の費用は金利に上乗せされるのが一般的です。例えばメガバンクの試算では、元利均等・借入2,000万円・35年で、基準金利0.50%に疾病保障を付けて+0.15%にすると月の返済は約1,336円増(年約1.6万円)と明示されています((疾病保障付住宅ローン パンフレット))。3,000万円なら概算で月+約2,000円規模、総額では数十万円〜100万円超の差になり得ます。この「 金利上乗せ =保険料相当」の感覚で、得られる保障価値と見比べることが重要です。地域金融機関の資料では代表的な上乗せ相場が、全疾病+0.10%、連生(ペア)+0.15%、全疾病連生+0.25%、ワイド団信+0.40%と示されています((団信拡充のご案内))。
損益分岐の考え方(月額→総額→“代替”の順)
- 1今の返済条件で上乗せ0.1〜0.3%が月いくら・総額いくらかを“自分の数字”に置き換える(ボーナス併用や繰上返済計画も反映)。
- 2同等の保障を個別保険で用意した場合の保険料と、団信特約(団体割引)のコストを横比較する。
- 3「診断確定で一括完済」vs「一定期間の就業不能で月次補填」など、支払トリガーの違いで実効価値が変わる点を金額換算する。
- 4固定・変動の金利シナリオと借換え可能性(費用含む)を並べ、上乗せの回収可能性/不要化リスクを評価する。
トータルで得か?他保険との重複・代替を冷静に
特約を厚くすれば安心は増えますが、既契約のがん保険・収入保障保険と重複しやすいのも事実です。団信特約は団体割引で割安なこともありますが、逆に「既に十分な保障がある部分」に上乗せを払っていないかの点検が欠かせません。銀行によっては金利上乗せではなく月払型の団信プランを用意する例もあります(パンフの設計例参照: (疾病保障付住宅ローン パンフレット))。家計全体の“守り”と“攻め”を並べて、過不足のない設計に寄せましょう。

同じ病名でも、診断で即完済になる商品と、長期の就業不能が続かないと支払われない商品があります。名前より条件です。
がん団信の落とし穴:診断確定・90日待機・上皮内の扱い
がん団信は「医師の診断確定」で残高が全額/一部免除になるタイプが主流ですが、商品により手術・入院や長期就業不能が条件のものもあります。加入初期の90日間は対象外(待機期間)や、上皮内がんが対象外となる規定は多くのパンフレットで明記されています(条件例は(疾病保障付住宅ローン パンフレット))。"診断で支払われるか"と"何が対象外か"を必ず確認しましょう。
三大・八大の“就業不能条件”:60日/180日/365日で確率が激変
三大・八大疾病保障は、がん以外(心筋梗塞・脳卒中・生活習慣病など)で“所定の状態が一定期間継続”を支払条件にしているケースが多いです。開始までの待機(免責)30日や、月次補填は最長1年、12か月超で残高0などの二段構えもあります((疾病保障付住宅ローン パンフレット))。条件が60日か365日かで給付到達確率は大きく違います。疾病数の多さに安心せず、条文のハードルを読み解きましょう。
全疾病・介護は万能?精神疾患や待機期間が気になります
全疾病保障なら“原因を問わず”安心ですか?うつ病などメンタルの休職でも支払われますか?

全疾病(就業不能)でも、多くは精神障害・妊娠出産等を明確に対象外としています。開始は“連続◯日以上の就業不能”など待機期間があり、月次補填は最長1年、その後も働けなければ残高0という設計が典型です(条件例は(疾病保障付住宅ローン パンフレット))。精神疾患リスクは就業不能保険で補完するのが現実的です。
ペアローン対応:連生団信の効きどころと提供状況
ペアローンの弱点(片方が完済でも相方の返済は続く)を補うのが 連生団信 です。どちらか一方が保障事由に該当すると双方の残債が一括で0になる仕組みで、共働き高額ローンにフィットします。公的固定のフラット35でも、夫婦で連帯債務の場合に加入できる「デュエット(ペア連生団信)」が用意され、同性パートナーや内縁等も対象に含まれます((新機構団信の加入要件・保障内容))。なお“新3大疾病付”ではデュエット不可と明記されています。同ページで年齢要件や支払事由の例も確認できます。
連生の金利上乗せは高い?離婚や繰上返済の懸念も
連生にすると金利負担が一気に上がる印象です。相場と、将来の離婚・片方だけ繰上返済の扱いが心配です。

相場感は、連生+0.15%、全疾病連生+0.25%といった水準が地域金融機関でも案内されています((団信拡充のご案内))。一方で“一人分の上乗せで二人を守る”コスト効率は高いです。離婚・持分変更・単独繰上などの取り扱いは商品ごとに異なるため、加入前に約款で必ず確認しましょう。
健康不安に備える:ワイド団信と審査の順番
高血圧や糖尿病などで一般団信が不安な場合は、引受基準緩和型の ワイド団信 を選べる金融機関も増えています。上乗せの目安は+0.40%が一例です((団信拡充のご案内))。物件の売買契約より前に“住宅ローン審査(団信告知含む)→本審査→売買契約”の順で進めると、団信でつまずいて白紙に戻るリスクを避けられます。
フラット35×団信“なし”の代替設計(税の注意含む)
- 1フラット35は団信任意。未加入なら借入金利が−0.2%となる運用が公表されています((新機構団信制度に加入しない場合の金利))。その分、民間の収入保障保険・就業不能保険で住宅費相当をカバーする設計に。
- 2死亡時の家計資金は“残高に連動する一括返済”か“遺族の月次生活費”か、目的で使い分ける(団信は前者、収入保障は後者に強い)。
- 3年金形式の保険金を“相続等で取得した年金受給権”として受け継いだ場合は、原則として雑所得課税(取得費=相続評価額等を按分して必要経費算入)です。年によっては課税所得がゼロとなる可能性はありますが、“原則非課税”と誤解しないように((No.1620 相続等により取得した年金の課税関係)、(No.4123 相続税等の課税対象になる年金受給権))。
- 4団信に入らない場合は、保険金の受取人設定・税区分・非課税枠の活用まで含めて“出口”を先に設計しておく。
重複と過不足を避ける設計ステップ
世帯の必要保障額(死亡・就業不能・医療)をライフイベントごとに“数字”で出し、既契約(医療/がん/収入保障)と団信特約の重なりを一覧化します。そのうえで、比較見積は“金利上乗せ込みの総返済額”と“特約なし+個別保険の総コスト”の2軸で並べると判断が早まります。フラット35のデュエットや機構団信の条件は公的サイトで一次確認できます((新機構団信の加入要件・保障内容))。
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まとめ:重要ポイント
- 1金利上乗せは“保険料相当”。月額と総額の実感値を自分の条件で試算し、代替(個別保険)と横比較する。
- 2“病名の数”より“支払トリガー”。診断確定/待機期間/就業不能の継続日数/対象外事由を約款で確認する。
- 3ペアローンは連生団信で一括完済も選択肢。上乗せ相場や離婚・繰上時の取扱いは事前に要確認。
- 4フラット35は団信任意で−0.2%の選択肢あり。未加入時は収入保障等での代替と税の取り扱いまで設計する。
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