【2025年9月更新】在職老齢年金 夫婦合算なし|支給停止の仕組みと働き方基準
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

在職老齢年金
支給停止調整開始基準額
夫婦合算なし
加給年金
70歳就労
厚生年金加入要件
賞与月額換算
目次
在職老齢年金の基本と“夫婦合算なし”を最初に確認
在職老齢年金は、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る人の「給与・賞与+年金」の合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が調整(支給停止)される仕組みです。老齢基礎年金は対象外で満額支給のままです。判定はあくまで本人単位で行われ、夫婦の収入を合算して判定することはありません。仕組みの全体像と加給年金の扱いは、日本年金機構のリーフレット[在職老齢年金の支給停止の仕組み]が分かりやすいです(老齢基礎年金は対象外、調整式・加給年金の停止条件も記載)。(在職老齢年金の支給停止の仕組み)
夫婦合算なし:よくある誤解と正解
- 1配偶者の給与が高くても、自分の在職老齢年金の計算には一切影響しません(本人の給与・賞与と本人の厚生年金だけで判定)。
- 2共働き夫婦は各人ごとに別判定です。片方が減額でも、もう片方の年金に連動しません。
- 3自営業・フリーランス収入(厚生年金の被保険者ではない働き方)は在職老齢の「賃金」に含めません。
- 4老齢基礎年金は在職老齢の調整対象外で、満額支給のままです。
- 5加給年金は本体(老齢厚生年金)が全額停止となる月は加給も止まります(部分支給なら加給は支給)。
支給停止の仕組み:2025年は51万円、2026年は62万円へ
在職老齢年金で使う基準は支給停止調整開始基準額です。2025年度は月51万円(前年50万円から引上げ)、2026年4月からは法改正により「令和6年度価格で62万円」に引き上げられます。最終的な2026年度の実額は賃金動向に応じて決まります。基準額の改定根拠は、年金機構のリリース[令和7年度の年金額改定]に明記されています。(令和7年度の年金額改定)
計算の骨子は「基本月額(老齢厚生年金の月額)+総報酬月額相当額(標準報酬月額+年間賞与÷12)− 基準額=超過額。その半分が停止額」です。厚労省の制度解説でも2026年の62万円引上げが示されています。(令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。)
賞与の月額換算はどう扱う?見落としが怖いです
ボーナスが大きい年は、在職老齢で損しませんか?毎月の給料だけ見ていると基準以下なのですが…。

賞与は年間総額を12で割って「月額換算」して合算します。たとえば年2回計120万円の賞与なら月10万円を足し、基本月額(例:年金月額10万円)と給与(例:月45万円)に加えて判定します。合計が基準額51万円を超えた「超過分の50%」が停止です。賞与が多い年ほど停止額が増えやすいので、見込み賞与まで含めて年次で試算しましょう。
具体例で理解:超過分50%停止の効き方
基本月額(年金月額)が10万円、給与が45万円、賞与の月額換算が0円なら合計55万円。2025年の基準額51万円を4万円超過し、その半分2万円が停止。月の老齢厚生年金の受取は8万円になります。停止額が年金月額以上になると老齢厚生年金はその月「全額停止」。このとき加給年金も同月は停止となります(部分支給なら加給は支給)。詳しい式は年金機構のリーフレットに掲載されています。(在職老齢年金の支給停止の仕組み)

基準額の引上げ(2026年に62万円)により、年金を気にして働き方を抑える必要性は薄れます。短期の停止を恐れ過ぎず、総収入・将来年金・健康面まで含めたトータルで判断しましょう。
厚生年金加入要件の最新動向と“適用外収入”の整理
実務で効いてくるのが厚生年金加入要件です。週20時間以上などの短時間労働者も、企業規模や賃金要件の撤廃が段階的に進み、加入対象が広がります。厚労省の制度解説では「企業規模要件は約10年かけて縮小・撤廃」「賃金要件(8.8万円)は法の公布から3年以内に撤廃」と示されました。業種による適用拡大(令和11年10月以降、原則すべての業種)も進みます。厚生年金の被保険者でない働き方(週20時間未満のパート、個人事業・フリーランス収入など)は在職老齢の賃金に含めませんが、適用拡大により“意図せず加入”となるケースも増える見込みです。働き方変更前に加入判定の最新ルールを確認しましょう。(令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。)
就労調整を避ける“働き方基準”の実践ステップ
- 1年金+給与+賞与(12分割)の合計で年次試算し、基準額51万円(2026年以降は62万円ベース)をまたぐ月を把握する。
- 2夫婦で各人の収入を分散し、双方が基準額内に収まる働き方にすると世帯の手取りが増えやすい。
- 3高年齢雇用継続給付の受給時は、在職老齢に加え「標準報酬月額の4〜6%」が年金からさらに調整される点を考慮(制度の詳細は機構資料で確認)。
- 4受給開始の繰下げは停止を避けつつ将来年金を増額できる有力策。寿命リスク・健康・就労意欲と併せて総合判断を。
- 5再雇用・転籍のタイミングは“1日も空けずに連続在職”だと退職月も在職扱いになり得るため、日付調整で無駄な停止を防ぐ。
退職と再雇用の間は空けた方が良い?
定年退職の翌日から同じ会社で再雇用予定です。年金は満額に戻りますか?

厚生年金の資格喪失が翌月に持ち越される“連続在職”扱いだと、退職月も在職調整の対象になることがあります。退職日の翌日に被保険者でない日を1日作るなど、日付の段取りで不要な停止を避けましょう。制度の計算式や注意点は機構の資料が参考になります。
連動領域の注意:加給年金と70歳以降の取り扱い
加給年金は、老齢厚生年金の本体が「全額停止」の月は加給も停止、部分支給なら加給は支給されます。年金機構のリーフレットに明記があります。(在職老齢年金の支給停止の仕組み)
また、70歳以降の在職老齢の扱いは、平成16年(2004年)の改正で「60代後半と同様の在職支給停止の仕組みを導入(ただし保険料負担なし)」とされています。つまり、70歳を過ぎても高収入で働けば在職調整の対象となる点に注意が必要です(導入の経緯は厚労省審議会資料に記載)。(在職老齢年金の見直しについて(審議会資料))

少し働き方を増やすと、在職老齢の停止だけでなく所得税・住民税・健康保険料も動きます。可処分所得で逆転しないよう、年次シミュレーションで総合判断を。
企業年金・確定拠出年金(DC)の受け取りの影響
企業年金やDCの受け取りは、在職老齢年金の「賃金」には含まれません。したがって、在職老齢の支給停止額に直接は影響しません。ただし税金面(雑所得・一時所得の課税)では可処分所得に影響します。受け取り開始のタイミングと在職老齢の停止見込みを重ねて、税・社会保険料まで含めた一体の設計を行いましょう。
手取り最適化の実践:税・社保まで含めた収支設計と相談の使い方
可処分所得を最大化するには、「基準額をまたぐ月の停止」「所得税・住民税」「健康保険料・厚生年金保険料(70歳到達前)」を同時に試算することが不可欠です。年収ベースで数十万円の増減でも、停止・税・保険料の組合せ次第で手取りがほぼ横ばい、場合によっては減る逆転もあり得ます。そこで、年次のライフイベント(退職・再雇用・賞与時期・70歳到達)を含めたタイムラインで働き方・受給開始・受け取り(企業年金・DC)を並べ、世帯で収入分散・繰下げ・特典活用を組み合わせるのが現実解です。
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まとめ:重要ポイント
- 1在職老齢年金は本人単位で判定し、夫婦合算は一切なし。老齢基礎年金は対象外のまま満額。
- 22025年度の基準額は月51万円、2026年4月からは62万円(令和6年度価格)へ。計算は超過分の50%停止。
- 3賞与は年額÷12の月額換算で合算。高年齢雇用継続給付の受給時は年金の追加調整(標準報酬の4〜6%)も。
- 4加給年金は本体が全額停止の月は停止。70歳以降も在職調整は続く(2004年導入、保険料負担なし)。
- 5働き方・受給・受け取り(企業年金・DC)を年次タイムラインで試算し、税・社保まで含めて手取り最適化を。
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