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【2026年5月更新】在職老齢年金65万円基準:手取り設計の要点

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
この記事の最新の更新
最終改良: 2026年5月25日
  • 65万円基準施行後の計算例の追加
  • 106万円の壁撤廃予定と支援策の整理
  • 繰下げ受給と高年齢給付の注意点の補足
【2026年5月更新】在職老齢年金65万円基準:手取り設計の要点
在職老齢年金
65万円基準
支給停止基準額
賞与 月額換算
106万円の壁
在職定時改定
繰下げ受給

2026年4月から基準額65万円が施行済み

「働くと年金が減るなら、収入を抑えたほうがいいのでは」と迷う方は少なくありません。2026年5月時点では、 在職老齢年金 の支給停止基準額は2026年4月から月65万円に引き上げられ、すでに新基準での判定が始まっています。
在職老齢年金は、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る人について、賃金と老齢厚生年金の合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部を調整する仕組みです。厚生労働省の(在職老齢年金制度の見直しについて)でも、2026年4月から65万円になることが示されています。
ただし、判定は世帯単位ではなく個人単位です。配偶者の給与や年金は、あなた自身の支給停止判定には入りません。この記事では、65万円基準の計算、賞与の扱い、70歳以上の注意点、106万円の壁の見直しまで、家計の手取り設計に必要なポイントを整理します。

最初に押さえたい基本ルール

  • 1
    在職老齢年金の判定は個人単位で行われ、配偶者の収入や世帯収入は合算されません。
  • 2
    調整対象は主に老齢厚生年金であり、老齢基礎年金は原則として在職調整の対象外です。
  • 3
    自営業収入や不動産収入など、厚生年金の標準報酬に入らない収入は賃金判定に含めません。
  • 4
    賞与はその月だけで見るのではなく、過去1年間の標準賞与額を12で割って毎月の判定に反映します。
  • 5
    老齢厚生年金が全額停止となる月は、加給年金額も停止される点に注意が必要です。

65万円基準の計算式を家計目線で理解する

計算に使うのは、 基本月額 と総報酬月額相当額です。基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額です。総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額に、直近1年間の標準賞与額を12で割った金額を足したものです。
2026年度の計算は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下なら老齢厚生年金は全額支給です。65万円を超える場合は、超えた金額の2分の1が支給停止額になります。日本年金機構の(在職老齢年金の計算方法)では、2026年4月1日更新の内容として同じ計算式が案内されています。
式で見ると、支給月額は「基本月額−(基本月額+総報酬月額相当額−65万円)÷2」です。超えた分が丸ごと減るわけではないため、税金や社会保険料を別にすれば、働く収入が増えた分だけ総収入が急に下がる設計ではありません。

賞与が多い年はどう見ればいいですか?

月給はそれほど高くありませんが、ボーナスが多い年があります。その月だけ年金が止まりますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
賞与は支給月だけでなく、直近1年間の標準賞与額を12分の1した金額として毎月の判定に入ります。たとえば年間賞与120万円なら、毎月10万円分が総報酬月額相当額に上乗せされるイメージです。

計算例でわかる支給停止の変化

具体例で確認しましょう。老齢厚生年金の基本月額が10万円、標準報酬月額が36万円、直近1年間の標準賞与額が120万円の人は、総報酬月額相当額が46万円です。基本月額10万円を足すと合計56万円となり、2026年4月以降の65万円基準では支給停止はありません。
同じ条件を2026年3月までの51万円基準で見ると、56万円−51万円=5万円が超過し、その半分の2.5万円が毎月停止されていました。日本年金機構の(在職老齢年金制度が改正されました)でも、基本月額10万円、総報酬月額相当額46万円の例では、改正後に老齢厚生年金が全額支給されると説明されています。
一方で、基本月額18万円、総報酬月額相当額68万円なら合計86万円です。65万円を21万円超えるため、停止額は10.5万円、老齢厚生年金の支給月額は7.5万円になります。高収入の再雇用や役員報酬がある方は、65万円基準でも試算が欠かせません。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
年金の停止だけを見ると損得が気になりますが、実際の家計は給与、税金、社会保険料、将来の年金増加、健康状態まで合わせて判断する必要があります。

70歳以上も在職調整の対象になる場合がある

70歳以上は厚生年金保険の被保険者ではないため、原則として厚生年金保険料の負担はありません。ただし、70歳以降も厚生年金の適用事業所で働き、一定の報酬を受ける場合は、 70歳以上の使用される者 として在職老齢年金の支給停止計算の対象になります。
ここで混同しやすいのが、在職定時改定です。65歳以上70歳未満で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている人は、毎年9月1日時点の加入状況をもとに、10月分から年金額が見直されます。70歳以降は保険料を納めないため、70歳以上の勤務期間は年金額の再計算には反映されません。
つまり、70歳以上は「保険料は原則かからないが、報酬が高ければ老齢厚生年金の在職調整はあり得る」という理解が実務的です。役員として継続勤務する方や、顧問報酬が高い方は、70歳到達前後で報酬設計を見直しておきましょう。

退職して再雇用されれば年金はすぐ満額になりますか?

定年退職の翌日から同じ会社で再雇用されます。いったん退職すれば、年金停止はなくなりますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
退職後1カ月以内に再就職して厚生年金に加入する場合、退職改定が行われないことがあります。年金額や支給停止額の変更時期は、資格喪失日と再取得日の扱いで変わるため、人事・社会保険担当に日付を確認してから判断しましょう。

高年齢雇用継続給付との二重調整に注意

60歳以上65歳未満で賃金が大きく下がった場合、雇用保険の 高年齢雇用継続給付 を受けることがあります。この給付は、在職老齢年金の総報酬月額相当額そのものには入りませんが、年金側では別の調整が行われます。
日本年金機構の(年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整)によると、2025年4月1日以降に支給要件を満たす方の高年齢雇用継続給付は最高で賃金額の10%、その給付を受ける場合の年金停止額は最高で標準報酬月額の4%です。2025年3月31日以前に要件を満たす方は、経過措置として給付率や停止率が異なる場合があります。
60代前半の再雇用では、給与、雇用保険給付、特別支給の老齢厚生年金、税金、社会保険料が同時に動きます。「給付があるから安心」と単純に考えず、月別の入金額で確認することが大切です。

手取りを見える化する実践ステップ

  • 1
    年金見込額、標準報酬月額、直近1年間の賞与額を手元の資料で確認します。
  • 2
    基本月額と総報酬月額相当額を足し、65万円を超える月があるかを計算します。
  • 3
    停止額だけでなく、所得税、住民税、健康保険料、介護保険料の変化も並べて見ます。
  • 4
    退職、再雇用、役員報酬変更、賞与支給月などの日付を年次カレンダーに落とし込みます。
  • 5
    繰下げ受給、企業年金、退職金、iDeCoの受け取り時期も合わせて比較します。

106万円の壁は2026年10月撤廃予定

在職老齢年金とは別に、パートや短時間勤務の方に関係するのが 106万円の壁 の見直しです。厚生年金や健康保険への加入対象を広げる改正が進んでおり、短時間労働者の賃金要件である月額8.8万円以上、いわゆる年収106万円の壁は、2026年10月に撤廃予定です。
厚生労働省の(社会保険の加入対象の拡大について)では、週の所定労働時間が20時間以上であれば、企業規模要件の段階的見直しとあわせて社会保険加入の対象が広がる方向が説明されています。さらに、2026年1月作成の(短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント)では、企業規模要件が現在の51人以上から、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月に10人以下まで段階的に広がるスケジュールが示されています。
扶養内で働く配偶者がいる世帯では、本人の手取りが一時的に減る可能性があります。一方で、厚生年金が上乗せされ、傷病手当金や出産手当金など健康保険の給付が使える利点もあります。年収の壁だけでなく、将来の年金と保障を含めて判断しましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
制度改正が続く時期ほど、目先の壁だけで勤務時間を決めると後悔しやすくなります。家計全体で、いくら働くと何が増え、何が減るのかを見える化しましょう。

繰下げ受給は停止部分が増額対象外になる

老齢年金は、65歳で受け取らず66歳以後75歳まで繰り下げると、1カ月あたり0.7%ずつ増額できます。最大75歳まで繰り下げると84%増額です。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられるため、働きながら老齢基礎年金だけ受け取り、老齢厚生年金を繰り下げるといった選択肢もあります。
ただし、日本年金機構の(年金の繰下げ受給)では、在職老齢年金制度により支給停止される額は、繰下げによる増額の対象にならないと説明されています。高い報酬で働き続ける方ほど、「繰り下げれば全部増える」と考えるのは危険です。
また、繰下げ待機中は加給年金額を受け取れず、加給年金額自体も増額対象ではありません。配偶者との年齢差がある世帯では、繰下げによる増額と、待機中に受け取れない給付の両方を比較する必要があります。

ねんきんネットと給与資料で年次設計を作る

最終的には、月単位の試算が役に立ちます。ねんきんネットで年金見込額を確認し、勤務先から標準報酬月額、賞与見込み、再雇用後の給与条件を確認しましょう。給与明細だけでは標準報酬月額がわかりにくいことがあるため、社会保険の等級表や人事部門への確認も有効です。
おすすめは、1月から12月までの表を作り、給与、賞与、年金、停止見込み、税金、社会保険料、退職金、企業年金を横並びにする方法です。65万円基準になって停止がなくなる人もいれば、賞与や役員報酬で引き続き停止が出る人もいます。
年金は単体で見るより、住宅ローン、医療保険、介護への備え、NISAや預貯金の取り崩しと合わせて考えるほうが現実的です。特に60代以降は、収入を増やすことと支出を安定させることの両方が家計の安心につながります。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額は月65万円で、判定は個人単位です。
  • 2
    賞与は直近1年間の標準賞与額を12で割って毎月の判定に入るため、年間試算が必要です。
  • 3
    70歳以上でも厚生年金適用事業所で働く場合は在職調整の対象になることがあります。
  • 4
    2026年10月には106万円の壁の賃金要件撤廃が予定され、短時間労働者の社会保険加入が広がります。
  • 5
    繰下げ受給では在職老齢年金で支給停止される部分が増額対象外になる点に注意が必要です。

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在職老齢年金は、給与、賞与、雇用保険、税金、社会保険料、繰下げ受給まで絡むため、自己判断だけでは見落としが起きやすい分野です。ほけんのAIの無料オンラインFP相談なら、LINEで予約でき、全国どこからでも相談可能。保険や資産形成も含めて中立的に比較し、年次の手取り設計を一緒に整理できます。

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