【2025年9月更新】がん保険 患者申出療養|費用と特約の判断基準(個別相談可)
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

がん保険
患者申出療養
先進医療特約
技術料
高額療養費
医療保険
約款
目次
最初に:患者申出療養は“技術料が自己負担”という現実
がん治療の選択肢が広がる一方で、患者申出療養は保険診療と併用できても、保険外の技術料は全額自己負担になる制度です。とはいえ、保険診療部分には高額療養費が適用されます。本記事は、2025年9月時点の最新データを一次情報で確認しながら、費用構造の正しい理解と、がん保険の特約をどう選ぶかの判断軸を、具体例と手順で整理します。
この記事でわかること
- 1患者申出療養の位置づけと混合診療の“例外”の正しい理解
- 2先進医療との違い(申出起点・審査目安・実施施設)と最新データ
- 3費用レンジの実例と、高額療養費が効く部分/効かない部分
- 4がん保険の特約タイプと限度額の見方、注意すべき約款条項
- 5家計別『付ける/外す』判断フローと見直しの段取り
制度の仕組み:混合診療の“例外”としての患者申出療養
患者申出療養は、公的保険の“保険外併用療養費”の枠組みで、未承認薬の使用などを患者の申出を起点に審査・実施する制度です。共通する診療(診察・検査・入院など)は保険適用、未承認薬代等の技術料は自己負担という二層構造で、高額療養費は保険適用部分にのみ効きます。制度の全体像やQ&Aは厚労省の案内が簡潔です。(患者申出療養制度)/(高額療養費制度を利用される皆さまへ) を確認しておきましょう。
高額療養費はどこまで効く?
患者申出療養を使った場合、高額療養費はどこまで軽減してくれますか?

保険適用部分(診察・検査・入院料など)にのみ適用され、自己負担上限超の分が後日支給されます。未承認薬の費用など“技術料”は対象外で全額自己負担です。実施前に見積りと上限管理が肝心です。
先進医療との違いと審査の目安
先進医療は医療機関起点、患者申出療養は患者起点という成り立ちの違いがあります。審査期間の目安は、患者申出療養が原則6週間(既存の類似技術がある場合は短縮)とされ、できる限り身近な医療機関での実施が想定されています。詳細は厚労省の制度ページのQ&Aが参考になります(上掲リンク)。
2025年最新データ:技術数・費用規模の“実像”
直近の実績は「令和6年度(令和5年7月1日〜令和6年6月30日)」の集計が一次資料として公表されています。患者申出療養は技術数7、保険外併用療養費の総額(保険診療分)約1.0億円、患者申出療養費用(技術料)約0.9億円、総金額約2.0億円でした。(患者申出療養の実績報告) 一方、先進医療は技術数76、保険外併用療養費(保険診療分)約809.0億円、先進医療費用(技術料)約119.5億円、総金額約928.4億円と桁違いの規模です。(先進医療の実績報告) これらは“患者申出療養の利用件数や費用規模がまだ限定的である”ことを示します。ここを踏まえて、保険の備えは“頻度は低いが、発生時の影響は大きい”リスクとして位置づけるのが現実的です。

利用確率は低くても、ひとたび対象になると家計影響は極大化しやすい。だからこそ、薄いコストで広くカバーする準備が効きます。
費用のイメージ:高額例と軽額例のレンジを掴む
高額な実例として知られるのが、補助人工心臓(植込み型)の患者申出療養です。公表記事では、技術料に当たる患者申出療養費が約1,613.7万円、保険給付される費用が約982.7万円とされています(患者負担は定率負担で高額療養費の対象)。詳細は当時の報道をご参照ください。(2例目の患者申出療養、植込み型補助人工心臓) 一方で、がん領域の適応外薬など、外来中心で比較的軽額に収まるケースもあります。レンジは数万円〜数千万円まで幅広いのが実態で、実施前の費用内訳(保険適用分と技術料)の見積り確認が不可欠です。
がん保険の特約タイプ:いま主流は“先進医療特約+患者申出対応”
がん保険・医療保険では、先進医療特約に患者申出療養の技術料も対象に含める設計が近年広がっています。典型的には「技術料の実費を通算1,000万〜2,000万円まで」「技術料の一定割合を上乗せ一時金」といった枠組みです。まれに上限“無制限”型も見られますが、保険料や支払要件は商品・契約により大きく異なります。以下を確認しましょう。
- 対象は“厚労省が承認した患者申出療養”に限定。
- 支払上限(1回/通算)と、年1回などの支払回数制限。
- 「技術料」に該当しない費用(交通費・差額ベッド代など)の扱い。
- 最低支払額(1万円など)の有無。
- 既契約の自動拡大・更新時の特則の有無。 注意:具体の支払要件は各社の「契約概要/約款」で必ず確認してください(商品・契約条件により異なります)。
家計別『付ける/外す』判断フロー
- 1まず“頻度×影響度”で優先順位づけを行い、患者申出療養は低頻度・高影響リスクとして“薄く広く”の対象に置く
- 2世帯の医療保障の全体像(高額療養費の上限/付加給付の有無/傷病手当金)を棚卸しし、足りないのは“技術料”だと明確化する
- 3先進医療特約の保有状況を確認し、患者申出療養への対応が自動付帯か、付加料がいくらかをチェックする
- 4保険料インパクトが小(数十円〜数百円/月の微増)であれば“付ける”を第一選択に。家計が逼迫する場合は1,000万→2,000万→無制限の順で段階検討
- 5既契約は更新時の“自動拡大”や特則を確認。対象外なら“乗り換え”前に解約コスト・健康状態・待機条項を総合比較する
給付対象と対象外の線引き:実務の注意点
対象は“国の承認を経た患者申出療養”に限られます。申請前や未承認の自由診療は対象外。請求時は、診断書や領収書に加え、患者申出療養として実施された事実が分かる書類を求められることがあります。さらに、主契約の要件(責任開始・免責期間・告知義務など)を満たすことが前提です。微額の技術料には最低支払額が適用される設計もある一方、企業無償提供など技術料0円は対象外となることがあります(いずれも約款次第)。商品・契約条件により異なるため、最終的には約款・ご契約のしおりを必ずご確認ください。
自由診療特約があれば十分?
“自由診療も対象”のがん保険があれば、患者申出療養の特約は不要ですか?

自由診療特約は対象範囲が広い反面、月次上限や支払対象の細かな条件が設定されることが多いです。患者申出療養に適合した場合は“保険診療部分に高額療養費が効く”という利点もあるため、両者の上限・対象・自己負担の差を見比べて併用可否を判断しましょう。
見直しの段取り:証券チェックから家計全体の最適化へ
実践は次の順番が効率的です。まず、保有する医療・がん保険の特約欄を確認し、先進医療特約と患者申出療養の対象有無・限度額・更新の扱いを把握。次に、家計側では高額療養費の“認定証”の取得や上限管理、共済・団体保険の重複整理、新NISAなどの積立とのバランス調整を行います。制度や一次情報は厚労省の公開資料が役立ちます(前掲リンク)。迷ったら、当社の無料オンラインFP相談で“保険×家計×制度”を横断で可視化しましょう。ギフト付きキャンペーンはLINEから案内しています。
まとめ:重要ポイント
- 1患者申出療養は保険診療と併用可だが、技術料は全額自己負担。高額療養費は保険適用部分のみに効く
- 2令和6年度実績は患者申出療養7技術・総額約2.0億円、先進医療76技術・総額約928.4億円と規模差が大きい(厚労省一次資料)
- 3費用レンジは数万円〜数千万円。実施前に保険適用分と技術料の見積りを取り、上限管理と資金手当を整える
- 4がん保険は“先進医療特約+患者申出対応”が主流。上限・回数・対象外費用・最低支払額など約款を必ず確認
- 5判断に迷う場合は、保険と家計と制度(高額療養費)を同時に設計。オンラインFP相談で最短整理する
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