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【2025年9月更新】生命保険 自己破産の扱い|解約返戻金と差押えの基準早見表

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年9月更新】生命保険 自己破産の扱い|解約返戻金と差押えの基準早見表
生命保険 自己破産
解約返戻金 差押え
自由財産 99万円
自由財産拡張
破産管財人
最高裁 判例

まず全体像:自己破産と保険の“線引き”

結論から。 生命保険 自己破産 手続では、解約返戻金が「処分対象」になるか、「残せる自由財産」になるかで命運が分かれます。実務では、現金は原則99万円まで自由財産、掛け捨て型は原則維持、貯蓄型は返戻金の額次第で処分・保全が決まります。最高裁の枠組みや東京地裁の運用、国税の滞納処分ルールまで踏まえ、家計を守る現実解を“早見表”感覚で整理します。

最初に結論:残る/処分の早見まとめ

  • 1
    掛け捨て型(返戻金ゼロ)は原則そのまま維持できる。
  • 2
    終身・養老・個人年金・学資など貯蓄型は、解約返戻金が一定額を超えると処分(解約・組入れ)の対象になりやすい。
  • 3
    現金・預貯金は合算でおおむね 自由財産 99万円 相当まで手元に残せる(法34条の趣旨)。
  • 4
    返戻金が小さい場合は、裁判所の裁量(自由財産拡張)で残せる余地がある。
  • 5
    申立て前の解約・名義変更・贈与・貸付の乱用は“否認”や免責不許可のリスクが高い。先に専門家へ。

この“早見表”の前提と限界

本記事の基準は、法ルール+主要裁判所(とくに東京地裁)の実務運用を統合した“実務目安”です。数値は法律の上限そのものではなく、裁判所・管財人・地域でぶれます。迷ったら、申立て先の運用を弁護士経由で必ず確認してください。

申立て前に避けるべきこと

申立て直前の解約や返戻金の引き出し、家族への贈与、受取人・名義の変更、契約者貸付の“現金化”は、否認・免責不許可・財産隠し認定の温床です。保険会社への照会は管財人・裁判所ルートで広く行われます。焦って動く前に弁護士へ相談しましょう。

返戻金20万円以下なら必ず残せますか?

「解約返戻金が20万円以下なら残せる」と聞きます。例外はありますか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
“20万円”は東京地裁運用でよく参照される実務目安で、法定上限ではありません。複数契約の合算や家計状況次第で処分対象になることもあります。逆に高齢・医療事情などで 自由財産拡張 が通る例も。必ず弁護士と申立先の運用を確認して判断しましょう。

基礎1:破産財団と自由財産の考え方

破産財団に入る財産は換価の対象、入らない“自由財産”は手元に残せます。自由財産は、現金(実務上は99万円相当)や差押禁止財産など。生命保険は契約ごとに「返戻金の現在価値」が財団に入るかを見ます。条文と実務のセットで詳しくまとまっている資料は (破産手続と保険契約) が参考になります(破産法34条の抜粋付き)。

基礎2:返戻金“20万円”はなぜ目安か

東京地裁実務では「解約返戻金見込額が合算で20万円超なら換価(解約)を検討」という運用が広く知られています(上掲資料)。一方で、99万円の自由財産枠や生活状況を踏まえた拡張決定で“残せる”判断もあります。目安は目安、個別事情の主張立証がカギです。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
返戻金を動かす前に、申立て先の運用と拡張の見込みを弁護士とすり合わせるのが最短ルートです。動いてからでは手遅れになりやすいです。

自由財産拡張:通し方のコツ

拡張は「破産手続開始決定から原則1か月以内」に裁判所へ申立て。生活費の不足、医療・介護・教育などの具体支出、年齢・就労困難、保険の保障機能などを資料で示すと採否判断が前向きになります。証券の返戻金見込額、家計簿、見積書、通院記録など“数字と証拠”で固めましょう。

商品別・状況別の基準早見

  • 1
    掛け捨て型(返戻ゼロ)は原則維持。保障の重要性が高ければ拡張の必要も通常なし。
  • 2
    終身・養老は返戻金を合算で目安評価。高齢・持病・葬祭費確保などの事情は拡張の材料。
  • 3
    個人年金・学資は“教育・老後”の実需を疎明すれば残置余地あり。ただし返戻金額が大きいと換価が優先。
  • 4
    外貨建て・変額は相場で返戻金が変動。直前の減額・払済化は否認リスク、弁護士と段取りを。
  • 5
    契約者貸付があると返戻金は目減り。貸付元利は解約時に相殺され、失効リスクも高まる。

差押えと解約の関係:最高裁の枠組み

債権者が保険の解約返戻金請求権を差し押さえたら、取り立てのために契約者の解約権を行使できるか。最高裁は「行使できる」と判断しています((最高裁 平成11年9月9日判決))。また、国税の滞納処分は、破産開始前にされた差押えが一定範囲で続行され得ます((生命保険契約上の権利に対する滞納処分について))。“差押え後の解約は止まるか?”という疑問には、判例・租税実務を踏まえた整理が欠かせません。

名義や受取人を変えれば守れますか?

配偶者を受取人にしておけば返戻金は守れますか?名義変更は有効ですか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
受取人指定は死亡保険金に関する話で、解約返戻金の権利者は“契約者”です。申立て前の名義変更・贈与は否認や免責不許可のリスクが高く、逆効果になりがち。 解約返戻金 差押え と解約権の関係も考慮が必要です。必ず弁護士の指揮で段取りを。

契約を残すための順番と代替策

“残したい”なら、1) 必要保障額の再計算、2) 減額、3) 払済化、4) 保険料モラトリアムや支払方法変更の順で検討。適用日・最低保険金額・特約の存否を約款で確認します。払済化は保険料ゼロでも保障を細く残せる有力策ですが、返戻金の扱いと税区分にも注意しましょう。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
法的リスクを最小化しつつ、家計の固定費と保障の穴を同時に埋める。弁護士+FPの並走が、もっとも費用対効果の高い進め方です。

NG行為とリスク管理の具体例

・返戻金の現金化→家族へ移転:典型的な否認対象。管財人照会で露見しやすい。 ・“家族が保険料を払っていた”主張:裏付けなき申立ては通らないケースが多い。 ・貸付枠の使い切り:返戻金を圧縮し失効の連鎖も。家計資金の穴あきはFPと代替案を。

手続の段取り:書類と照会制度も活用

タイムラインは「相談・着手→申立て→開始決定→(必要に応じ拡張申立て)→管財手続→免責」。保険関連は、返戻金見込額証明、解約返戻金シミュレーション、契約者貸付残高、特約一覧、約款の該当条項を集めておきましょう。契約の有無が不明な場合は生命保険協会の照会制度が有効。利用料は現在3,000円ですが、2026年4月以降はWeb6,000円・書面7,000円に改定予定です((生命保険契約照会制度の利用料金改定))。

税金滞納・行政差押えの補足

破産法上、破産開始後は新規の強制執行は原則停止されますが、開始前の国税滞納処分の差押えは続行され得ます(前掲NTA論考)。“税の差押えが付いたまま自己破産するとどうなる?”は典型論点です。税の取扱いは一般債権と異なるため、弁護士と税専門家の同席相談が安全です。

最後に:迷ったら“動く前に”相談

“減額や払済化で残すべきか、処分して生活再建を優先するか”。正解は家計と法のバランスで変わります。 最高裁判例 と運用の地図を片手に、弁護士とFPでわが家の“守る・減らす・残す”を同時に設計しましょう。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    貯蓄型は返戻金の額次第。掛け捨ては原則維持、返戻金は処分対象候補。
  • 2
    “20万円”は実務目安で法定上限ではない。拡張申立てと疎明が勝負。
  • 3
    債権者が返戻金を差押えた後は、解約権行使で回収可能という最高裁枠組みがある。
  • 4
    申立て前の解約・移転は否認や免責不許可の火種。動く前に相談。
  • 5
    照会制度や証拠準備で“見える化”。家計と法の二段構えで最適解へ。

ぜひ無料オンライン相談を

自己破産と生命保険は、法と家計の両面設計が欠かせます。ほけんのAIなら、まずAIで状況整理、次に有資格FPがオンラインで家計・保障・返戻金の最適解を中立比較で提案。自宅から24時間、無料で相談でき、証券の確認や返戻金の試算も伴走します。動く前に“わが家専用プラン”を一緒に作りましょう。

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