インボイス後に効く法人保険節税ガイド2025夏―利益圧縮と退職金準備を同時に実現
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

法人保険
インボイス
節税
長期平準定期保険
退職金準備
FP相談
目次
インボイス制度で高まる法人保険節税ニーズ
2023年10月にスタートした適格請求書等保存方式(インボイス制度)は、 消費税の仕入税額控除 に直結するため経費の証憑管理を厳格化しました。その結果「経費に計上できるか/できないか」の判断がシビアになり、中小企業では 課税所得をできるだけ圧縮したい というニーズが急増しています。一方で、法人保険は支払保険料の一部または全部を損金算入できるため、インボイス導入後の節税ツールとして再注目されています。
インボイスで増えた経費管理タスク
- 1取引先が発行する請求書の適格番号チェックと記帳システムへの入力
- 2仕入・経費の帳簿とスキャンデータ(電子帳簿保存法)の二重管理
- 3課税・非課税取引の区分集計と月次レビュー
法人保険が持つ“課税繰延べ”の威力
法人が契約者となり保険料を支払うと、 保険料の一部を損金算入 (=経費化)できるケースがあります。支払時に利益を圧縮し、将来の保険金・解約返戻金受取時に益金計上するため、税金を 後年度に繰り延べ できる仕組みです。このキャッシュフロー効果は、インボイス対応で手元資金が目減りしがちな企業にとって大きなメリットとなります。
「結局、昔の節税保険はもう使えない?」
2019年に規制が入ったと聞きました。法人保険で節税する時代は終わったんですか?

確かに高返戻率の“節税専用保険”は姿を消しましたが、現行ルールでも 課税繰延べ+退職金原資づくり という本質的な価値は残っています。規制後の商品設計と損金割合を理解し、出口プランまで設計すれば十分機能しますよ。
解約返戻率4区分ルールをサクッと整理
2019年7月以降の契約では、 解約返戻率 に応じて保険料の損金算入割合が定められています。
- 50%以下:全額損金
- 50%超〜70%以下:初期40%期間は40%損金、以降段階的に取り崩し
- 70%超〜85%以下:初期40%期間は20〜40%損金
- 85%超:当初10年間は10%程度しか損金化できず大半を資産計上
多くの 長期平準定期保険 や 逓増定期保険 は70%超の区分に該当します。したがって「加入初年度から全額経費」という使い方はできませんが、資産計上部分を将来取崩すことで 最終的には全額損金 になります。

節税を狙うなら“経費に落とす瞬間”ばかり見ず、“取り崩す未来の年”までセットで設計を
商品別 最新メリットと注意点
- 長期平準定期保険 :役員退職時に解約返戻金ピークを合わせることで、退職金支給と相殺しやすい。返戻率は80%前後が主流で、初期10年は40〜60%資産計上が必要。
- 逓増定期保険 :高返戻率のピーク前解約戦略は通達改正で制限強化。ただし、業績連動で保険金額が増える設計を活かし、事業承継資金を効率的に積み上げる用途は健在。
- 医療・がん団体保険 :掛け捨て型なら保険料 全額損金 。社員の福利厚生充実を図りつつ、離職率低減の効果が期待できる。
税務調査で否認されない5カ条
- 1保険加入目的を稟議書に明記し、見積資料の“節税”表現を控える
- 2役員のみ優遇しない—福利厚生プランなら従業員全員を対象に
- 3損金割合を毎期チェックし、資産計上・取崩しミスをゼロに
- 4電子帳簿保存法に即し契約書・シミュレーションをPDF保存
- 5解約返戻金の使途(退職金・弔慰金など)を社内規程とリンクさせる
2025年税制改正案の“3つの波”
① 退職所得控除9年ルール :短期退職金の控除圧縮で、逆算的な退職金スキームは通用しにくくなる可能性。
② 資産計上割合の引上げ案 :最高返戻率×60%へ強化されると、長期平準定期の初期費用効果がさらに縮小。
③ 電子帳簿保存義務の拡大 :保険関連書類もタイムスタンプ・検索要件を満たす必要があり、証憑不備は否認リスクを高める。
ケーススタディ:業種別ベストプラクティス
・製造業A社:社長を被保険者とする10年定期保険(解約返戻金なし)で年間200万円を全額損金化し、借入金の返済原資を確保。
・ITベンチャーB社:社員30名を対象に団体医療保険を導入。保険料120万円を福利厚生費として経費処理し、離職率が前年比2.1ポイント改善。
・クリニックC社:理事長60歳退任に合わせ、長期平準定期保険を55歳で契約。返戻率ピーク85%を退職金支払年度に合わせ、解約益と退職金を相殺。
FP相談で“出口設計”まで仕上げる
法人保険は契約時よりも 解約・満期時の資金使途 が肝です。無料オンライン FP相談 では、インボイス対応後のキャッシュフロー表を作成し、保険料払込と解約返戻金・退職金支給を一枚のシートで可視化します。さらに、他の節税策(中退共・企業型DCなど)との比較も行い、税務リスクの低いプランを提案します。
まとめ:重要ポイント
- 1インボイス制度で経費判断が厳格化し、法人保険の課税繰延べ効果が再評価されている
- 22019年通達以降は解約返戻率4区分ルールに基づき損金割合が制限されるため、出口設計が必須
- 32025年税制改正案では退職所得控除や資産計上割合のさらなる厳格化が検討中
- 4福利厚生型や掛け捨て型の団体保険は全額損金になりやすく、従業員満足にも直結
- 5税務調査対策として契約目的の明文化・電子保存と会計処理の正確性が欠かせない
ぜひ無料オンライン相談を
法人保険は“加入時”より“出口”で結果が決まります。ほけんのAIのオンラインFP相談なら、保険・税務・キャッシュフローの3つを同時にシミュレーションし、貴社に最適な解約タイミングと退職金設計を提案可能。全国どこでもWEB面談、もちろん無料。今すぐLINEでご予約いただき、ギフト付きキャンペーンもお見逃しなく!
🎁今なら面談後アンケート回答でプレゼントも

関連記事一覧

産後乳腺炎に備える医療保険とFP相談7つの勘所
産後乳腺炎の医療費・入院リスクを数字で確認し、公的医療保険の限界を補う女性保険・妊娠保険の選び方とFP相談活用術を具体例付きで解説。

188万円の壁時代の親子家計 生命保険見直し×FP相談術
150万円〜188万円の壁を前提に、大学生バイトと親の手取りを最大化する働き方と生命保険見直し術をFP相談の活用法とともに解説。

生命保険料をクレカ払いで得する!ポイント二重取り最新ガイド
主要生保のカード払い解禁で生命保険料もポイント対象に!年払い割引とカード還元の合わせ技、還元率改定への対処、注意点まで2025年夏の最新情報をFP目線で解説。

80歳繰下げ時代に勝つ!終身保険の賢い選び方・使い方
公的年金を75歳超まで繰下げる“80歳繰下げ時代”の空白10年を、終身保険とFP相談でどう乗り切るかを具体例と最新データで解説。

10年払済終身保険で退職前に保険料ゼロ化|FP相談で“買い時”を逃さない
最新統計と金利動向で読み解く10年払済終身保険ガイド。保険料を退職前に払い終え、老後の固定費をゼロにするメリットや買い時の判断基準をFP視点で解説します。

流産後の不安を減らす保険・FP相談ガイド2025
流産後の医療費負担と次の妊娠リスクに備え、保険・家計をどう見直す?加入可否・告知義務・給付金請求からオンラインFP相談活用まで2025年最新ガイド。