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【2026年7月更新】生前贈与7年ルールの落とし穴|非課税枠の配分設計

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
この記事の最新の更新
最終改良: 2026年7月1日
  • 2026年3月末の家計金融資産データの反映
  • 死亡保険金と契約権利評価の違いの明確化
  • 移行期の贈与加算スケジュールの再整理
【2026年7月更新】生前贈与7年ルールの落とし穴|非課税枠の配分設計
生前贈与7年ルール
相続税
死亡保険金 非課税
暦年贈与
相続時精算課税
終身保険
二次相続

2026年7月の要点:移行期は「いつ亡くなるか」で加算期間が変わります

2024年から始まった 生前贈与7年ルール は、2026年7月時点でまさに移行期の確認が重要な制度です。相続開始日が2026年12月31日までなら原則として相続開始前3年以内、2027年1月1日から2030年12月31日までなら2024年1月1日から死亡日まで、2031年1月1日以後なら相続開始前7年以内の暦年贈与が相続財産に加算されます。
国税庁の(No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税))では、110万円以下の贈与でも加算対象期間内であれば相続税の課税価格に加算すること、相続開始日が2027年1月2日以後の場合は死亡前3年超から7年以内の贈与について総額100万円まで加算しないことが示されています。つまり、単に「毎年110万円までなら安心」と考えるのではなく、贈与・保険・現金を家族単位で並べ替える発想が必要です。

まず押さえたい改正スケジュール

  • 1
    2026年12月31日までの相続は、原則として相続開始前3年以内の暦年贈与を加算します。
  • 2
    2027年1月1日から2030年12月31日までの相続は、2024年1月1日から死亡日までの暦年贈与を確認します。
  • 3
    2031年1月1日以後の相続は、相続開始前7年以内の暦年贈与が加算対象になります。
  • 4
    死亡前3年超から7年以内の延長部分は、相続開始日が2027年1月2日以後なら総額100万円まで加算されません。
  • 5
    基礎控除110万円以下の贈与でも、加算対象期間内であれば相続税の計算に戻す点に注意します。

相続税は「一部の富裕層だけ」の話ではなくなっています

相続税の課税割合は上昇傾向です。国税庁の(令和6年分 相続税の申告事績の概要)によると、令和6年分の課税割合は10.4%、相続税の申告書の提出に係る被相続人数は166,730人、申告税額の総額は3兆2,446億円でした。相続が発生した人のおよそ10人に1人が相続税の課税対象になった計算です。
さらに、相続財産の内訳を見ると、現金・預貯金等は8兆5,602億円まで増えています。預金が多いご家庭ほど分けやすい一方で、何も設計しないとそのまま課税価格に反映されやすい点が悩みどころです。生前贈与7年ルールの移行期は、預金をどう残し、どこまで保険や贈与に振り分けるかを見直す良いタイミングです。

毎年110万円の暦年贈与は続ける意味がありますか?

親から毎年110万円ずつ贈与を受けています。7年ルールになるなら、もう意味が薄いのでしょうか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
意味がなくなるわけではありません。ただし、相続で財産を取得する人への死亡前の贈与は、加算対象期間に入ると相続税の計算に戻る可能性があります。贈与を続けるなら、誰に渡すのか、相続で財産を受け取る予定があるのか、相続時精算課税を選ぶ余地があるのかをセットで確認しましょう。

家計金融資産は過去最高水準、預金偏重から配分見直しへ

日本銀行の(参考図表 2026年第1四半期の資金循環(速報))によると、2026年3月末の家計金融資産は2,386兆円、現金・預金は1,126兆円で構成比47.2%でした。現金・預金の比率は依然として大きいものの、投資信託や株式等の残高も増え、家計の資産配分は少しずつ変化しています。
相続対策でも同じで、現金だけで残す、投資商品だけで増やす、保険だけで備える、と一つに偏ると弱点が出ます。現金は納税資金として使いやすい反面、相続税の課税価格にそのまま乗りやすい資産です。保険は受取人を指定しやすく、死亡保険金の非課税枠を使える可能性があります。投資商品は成長期待がある一方、相続時点の価格変動に注意が必要です。

生命保険は「非課税枠」と「受取人指定」が強みです

死亡保険金は、被相続人が保険料を負担していた場合、原則として相続税の課税対象になります。ただし、受取人が相続人であれば 死亡保険金の非課税枠 を使えます。国税庁の(No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金)では、非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」とされています。
たとえば、配偶者と子2人が法定相続人なら、非課税枠は1,500万円です。預金1,500万円をそのまま残す場合と、同額を死亡保険金として相続人が受け取り非課税枠内に収める場合では、相続税の課税価格が変わることがあります。また、保険金は原則として受取人固有の財産と扱われるため、遺産分割協議を待たずに請求しやすく、葬儀費用や納税資金の準備にも役立ちます。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
相続対策は税額を下げるだけでなく、残された家族が必要な時に使えるお金を用意することが大切です。

保険契約の評価は「死亡保険金」と「契約に関する権利」を分けて考えます

保険を相続対策に使うときは、2つの場面を混同しないことが重要です。被相続人の死亡によって保険金が支払われる契約では、死亡保険金として非課税枠の検討をします。一方、相続開始時点でまだ保険事故が起きていない契約を引き継ぐ場合は、生命保険契約に関する権利として評価します。
国税庁の(No.4660 生命保険契約に関する権利の評価)では、相続開始時に解約するとした場合に支払われる解約返戻金の額で評価するとされています。たとえば、親が契約者、子が被保険者の終身保険を親の相続で子が引き継ぐようなケースでは、死亡保険金ではなく契約に関する権利の評価が論点になります。どちらの扱いになるかで税務上の見方が変わるため、契約者・被保険者・受取人の関係を必ず確認しましょう。

【試算】配偶者と子2人なら非課税枠1,500万円が効きやすい

家族構成を、夫婦と子2人とします。相続財産は自宅4,000万円、預金8,000万円の合計1億2,000万円。基礎控除は3,000万円+600万円×3人で4,800万円です。対策なしの簡易計算では、課税遺産総額は7,200万円、相続税の総額は約960万円になります。
ここで、預金の一部1,500万円を、被相続人を被保険者、相続人を受取人とする終身保険に振り替え、死亡保険金1,500万円が非課税枠内に収まるとします。課税価格から1,500万円を外せる前提なら、課税遺産総額は5,700万円、相続税の総額は約705万円です。差額は約255万円になります。
これは法定相続分で取得したものとして計算した概算で、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、実際の遺産分割、保険金額、契約時期によって結果は変わります。それでも、保険の非課税枠を「いくら使えるか」だけでも早めに確認する価値はあります。

移行期に家族で確認したい5つのこと

  • 1
    法定相続人の人数を確認し、死亡保険金の非課税枠の上限を計算します。
  • 2
    契約者・被保険者・受取人を一覧にし、死亡保険金になる契約と契約権利になる契約を分けます。
  • 3
    2024年以後の贈与履歴を年別・相手別に整理し、加算対象になり得る金額を見える化します。
  • 4
    一次相続で配偶者に寄せすぎず、二次相続で子に負担が集中しない配分を考えます。
  • 5
    納税資金は預金、死亡保険金、退職金など複数のルートで準備できるか確認します。

相続時精算課税の110万円控除も選択肢になります

2024年以後は、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられ、使い勝手が大きく変わりました。国税庁の(No.4103 相続時精算課税の選択)では、原則として60歳以上の父母・祖父母などから18歳以上の子・孫などへの贈与で選択できる制度と説明されています。
相続時精算課税を選ぶと、同じ贈与者からの贈与について暦年課税に戻れません。そのため、「今後も毎年少額贈与を続けたいのか」「値上がりが期待できる資産を早く移したいのか」「相続で戻す計算になっても問題ないのか」を比べる必要があります。特に不動産、自社株、まとまった金融資産を動かす場合は、税理士に確認しながら検討しましょう。

中小企業オーナーは自社株と納税資金をどう考えるべきですか?

自社株の評価が高く、相続税の納税資金が足りるか心配です。保険で備えるのは有効ですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
有効な選択肢になり得ます。会社側では役員退職金の原資、個人側では死亡保険金の非課税枠や納税資金を分けて考えると整理しやすくなります。ただし、退職金の適正額、損金算入、株式評価、事業承継税制の可否は個別性が高いので、顧問税理士や専門家と同時に確認しましょう。

二次相続は「配偶者に全部」が裏目に出ることもあります

一次相続では、配偶者の税額軽減が大きいため、配偶者に多く残せば目先の税額を抑えやすくなります。ただし、その後に配偶者が亡くなる二次相続では、法定相続人が減り、基礎控除も少なくなることがあります。一次相続で配偶者に資産が集中しすぎると、子ども世代の相続税負担が重くなるケースがあります。
死亡保険金の受取人も、一次相続だけで考えず、二次相続まで含めて設計したいところです。配偶者の生活資金、子どもの納税資金、将来の介護費用を分けて考えると、誰がどの保険金を受け取るべきかが見えやすくなります。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
保険の受取人指定は、税金のためだけでなく、誰にどの役割を託すかを形にする手段です。

持病がある場合も、あきらめる前に複数パターンを比べましょう

高血圧、糖尿病、がんの既往歴などがあると、標準的な終身保険に加入しにくい場合があります。それでも、引受基準緩和型の終身保険や、告知内容が比較的少ない商品を検討できることがあります。もちろん、標準型より保険料が高くなりやすく、契約後一定期間の保障制限がある商品もあるため、相続税対策だけで判断するのは危険です。
確認したいのは、保険料総額、死亡保険金額、解約返戻金の推移、途中解約時の不利益、健康状態による加入可否です。税負担を下げるつもりが、保険料負担で家計を圧迫しては本末転倒です。家計全体のキャッシュフローと合わせて試算しましょう。

保険市場では医療・終身・年金の見直しが続いています

生命保険協会の(生命保険の動向 2025年版)によると、2024年度末の個人保険の保有契約件数は1億9,530万件で17年連続の増加でした。一方、保有契約高は778兆9,902億円で前年度比98.5%となり、死亡保障を抑えて医療保障を充実させる傾向が続いています。
相続対策で終身保険を検討する場合も、「入っている保険が多いから安心」とは限りません。医療保険、がん保険、定期保険、終身保険、個人年金保険は役割が違います。相続税の納税資金に使いやすいのは、死亡時にまとまった保険金を受け取れる契約です。現在の保障内容を、相続対策用、医療費用、老後資金用に仕分けるだけでも見直しの精度が上がります。

グレーな節税より、記録が残る王道の対策を選びましょう

名義預金や形式だけの贈与は、税務調査で問題になりやすい代表例です。子や孫名義の通帳でも、実際には親が管理し、印鑑も親が持ち、本人が自由に使えない状態なら、贈与が成立していないと見られるリスクがあります。
贈与をするなら、贈与契約書、振込記録、受贈者本人による管理、贈与税申告が必要な場合の申告書を残しましょう。保険を使うなら、契約者・被保険者・受取人、保険料の支払者、契約目的を家族で共有しておくことが大切です。節税額だけでなく、相続後に家族が説明できる状態を作ることが、結果的に一番安全です。

迷ったら「資産の棚卸し」から始めるのが近道です

生前贈与7年ルールへの対応は、税制だけを読んでもなかなか進みません。まずは、預金、不動産、有価証券、保険、退職金見込み、借入、贈与履歴を1枚に整理することから始めましょう。そのうえで、死亡保険金の非課税枠を使うのか、暦年贈与を続けるのか、相続時精算課税を選ぶのか、二次相続まで見て配分するのかを考えると判断しやすくなります。
ほけんのAIの無料オンラインFP相談では、家計、保険、資産形成、住宅ローン、教育資金、老後資金までまとめて相談できます。LINEで予約でき、オンライン面談はLINE通話やZoomに対応しています。保険証券や家計簿があると話がスムーズですが、準備なしでも相談可能です。税務の最終判断は税理士確認が前提ですが、家族で何を相談すべきかを整理する入口として活用できます。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    生前贈与7年ルールは、相続開始日によって加算期間が段階的に変わります。
  • 2
    110万円以下の暦年贈与でも、加算対象期間内なら相続税の計算に戻る可能性があります。
  • 3
    死亡保険金は500万円×法定相続人の非課税枠を使えるため、納税資金準備にも役立ちます。
  • 4
    死亡保険金と生命保険契約に関する権利は扱いが異なるため、契約形態の確認が欠かせません。
  • 5
    一次相続だけでなく二次相続まで見て、受取人と資産配分を設計することが大切です。

ぜひ無料オンライン相談を

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