【2025年8月更新】収入保障保険と就業不能保険の違い|家計別の使い分け早見表
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

収入保障保険
就業不能保険
違い
使い分け
公的保障
遺族年金
待機期間
はじめに:迷いがちな“ふたつ”を2025年版で整理
保障を足すなら、まず 収入保障保険 と 就業不能保険 の違いを正しく押さえることが近道です。前者は万一の死亡・高度障害時に毎月の“遺族年金”のように支払われ、後者は病気やケガで働けない間の“手取りギャップ”を埋めます。2025年は遺族年金の見直し(2028年施行予定)や、金利上昇に伴う一部保険料の見直し、AI審査・オンライン申込の一般化など、判断材料が増えました。本記事は一次情報リンク付きで“いくら・何年・どっちを優先”まで実践的に導きます。
定義と基本構造:支払事由・受取人・税区分まで
収入保障保険は、被保険者が死亡または所定の高度障害になったとき、残りの保険期間中、毎月一定額(逓減も可)が家族等の受取人に支払われます。受け取り方が一時金か年金かで税区分が変わります(年金は雑所得、一時金は一時所得・相続・贈与のいずれか)。詳細は国税庁の (No.1750 死亡保険金を受け取ったとき) を参照してください。
一方、就業不能保険は、所定の就業不能状態(医師の証明や職務不能の定義に合致)に該当した期間、本人に毎月給付金が支払われます。多くの所得補償型給付は非課税と整理されています(個人契約、身体の傷害・疾病に基づく補填)。根拠は国税庁の (No.1760 所得補償保険の保険金を受け取ったとき)。
この段階での要点は「何が起こったら」「誰に」「どの税区分で」支払われるかをシンプルに分けて把握することです。
家計別の使い分け早見表(目安額・期間の考え方)
- 1独身会社員:死亡は最小限(葬送費+親への実費支援が必要な場合のみ)。就業不能は“手取りギャップ”を優先し、月10〜15万円×最長2〜3年で設定し待機は180日を軸に職場の傷病手当金と重ねて調整する。
- 2DINKs(子なし共働き):死亡保障は“片働き化の一時的ショック”対応で月10〜15万円×5〜10年の収入保障を薄く。就業不能は両者が最低月10万円ずつ×2年を持つと家計が安定しやすい。
- 3子育て世帯(住宅ローンあり):団信で住居費が賄われる前提なら、収入保障は生活費−児童手当−遺族年金の不足分として月20〜25万円×子の最年少が大学卒業相当まで。就業不能は夫婦の稼ぎ手側に月15〜20万円×2年。
- 4子育て世帯(住宅ローンなし):住居費も含めて不足が出やすいため、収入保障は月25〜30万円×教育費ピークまで。就業不能は夫婦ともに月10〜15万円×2年を最低ラインに検討する。
- 5自営業・フリーランス:傷病手当金が無い前提で“就業不能厚め”。月20〜25万円×1〜3年、待機60〜90日を軸に。死亡保障は事業継続費(従業員・家賃)も加味して月20〜25万円×10〜15年を目安にする。
公的保障との関係:守備範囲と“足りないところ”
会社員は健康保険の傷病手当金(待期3日、4日目から支給、標準報酬の約3分の2、通算最長1年6か月)があります。制度の詳細は協会けんぽの案内 (病気やケガで会社を休んだとき) を確認できます。業務災害なら労災の休業給付が原則80%相当(60%+特別支給20%)です。計算方法は厚労省Q&A (3−5 休業(補償)等給付の計算方法を教えてください。) が参考になります。
ただし、いずれも“手取り全額”を埋めるものではなく、賞与・各種手当・社宅補助などは欠けやすいのが実務上のギャップです。ここを就業不能保険で補い、死亡時の長期的不足は収入保障保険で埋めるのが基本発想です。
会社員なら公的だけで足りますか?
うちは共働き会社員です。傷病手当金があるなら就業不能保険は不要ですか?

傷病手当金は“額面の約67%”が目安で、手取り満額には届きません。住居費や保育料、車の維持費など固定費の合計が手取りに近い家庭ほど赤字が出ます。月5〜10万円の就業不能を2年だけ用意するだけで、貯蓄の取り崩しを避けられるケースが多いですよ。
遺族年金の最新動向:5年有期化と継続給付の条件
2028年4月施行予定の見直しでは、子のいない配偶者の 遺族厚生年金 は原則5年の有期給付に(女性は40歳未満が対象拡大、男性は60歳未満が新たに対象)。有期期間中は約1.3倍の加算、終了後も所得が一定基準以下なら継続給付の仕組みがあります。一次情報は厚労省の解説 (遺族厚生年金の見直しについて) を確認してください。
“5年限定”の性質上、DINKsや子の独立後の夫婦は、収入保障保険で5年先を見据えた不足補填の設計が実務上重要になります。
必要月額の出し方:式と数字合わせのコツ
必要額=世帯の生活費(住居・食費・保育料・教育費・車など)−公的給付(傷病手当金・障害年金・労災・遺族年金)−取り崩してもよい貯蓄。
家計簿がなくても、クレジットカード・口座の直近3か月平均で“固定費だけ”を先に拾うと精度が上がります。収入保障は教育費のピーク(高校〜大学)に合わせて期間設定し、就業不能は“復職までの現実的な最長期間”で決めるのがポイントです。ここでの優先順位は、稼ぎ手の就業不能→子のいる家庭の死亡→独身の死亡の順が一般的です。

月額と期間は“過不足なく”。保険は増やすのではなく、足りないところだけをピンポイントで埋めるのが上手な設計です。
待機・支払条件の実務:60/180日とメンタルの扱い
就業不能保険の設計で重要なのが 待機期間(免責)。会社員は“傷病手当金が出るまでの1〜2か月”を自己資金で吸収できるかに応じて、180日待機で保険料を抑える選択が現実的です。自営業は60〜90日を軸に、短めにしてキャッシュフローを守る設計が機能します。
また、精神疾患の支払対象や支払限度(例:通算12〜24か月)、職種制限、妊娠・出産関連の待機の有無は商品で大きく差があります。約款の“就業不能の定義”と“支払対象外”は必ず読み合わせましょう。
落とし穴チェック:申し込む前に見るべきポイント
- 1“定期死亡=収入保障”ではありません。収入保障は毎月分割で逓減する仕組みのため、同じ保険金額でも保険料や守備範囲が違います。
- 2就業不能の定義は会社ごとに異なり、メンタルや軽作業可の扱い次第で支給可否が分かれます。医師の就労制限文言の要件も確認しましょう。
- 3待機と免責の関係を誤解しないでください。60日待機でも“入院中のみ支払”などの条件が付く商品があります。
- 4税区分を確認しましょう。死亡は受取人・受取形態で相続・一時・雑に分かれ、就業不能の多くは非課税です(本文リンク参照)。
- 5受取人と指定代理請求人を家族構成に合わせて最新化。離婚・再婚・第一子誕生時は必ずアップデートします。
2025年のトレンド:商品と保険料の“波”を活かす
健康体割引・禁煙割や、スマホ完結のAI審査・オンライン申込は一般化しつつあります。引受基準が緩和された代わりに、支払定義の明確化・職種ごとの制限が強化される流れもあります。金利上昇局面では、保険会社の予定利率見直しに合わせて、一部の定期・収入保障の保険料が見直される動きがあります。既契約の“入り直し”は、保障の空白や税負担が生まれないかを確認してから判断しましょう。
いまは“見直しの買い時”?インフレ対策は?
金利が上がっているなら、すぐに乗り換えたほうが得ですか?インフレも心配です。

買い時かは“わが家の不足額が減るか”で決めましょう。保険料の差だけでなく、支払定義や待機・精神疾患の扱いが改善するかが重要です。インフレには、収入保障のインフレ連動特約や“増額型”を検討すると、将来の実質目減りを抑えやすいですよ。
3つの実践ステップ:最短30分で“方針”を固める
ステップ1:現状棚卸し。固定費の合計、公的給付の有無(傷病手当金・労災・遺族年金)をメモに書き出します。
ステップ2:不足額と期間を計算。必要額=生活費−公的−取り崩しの式で“月いくら×何年”を決めます。
ステップ3:2〜3社で相見積もり。就業不能の定義・待機・精神疾患の扱い、収入保障の受取方式(減額・増額・インフレ連動)を並べて比較します。
無料オンラインFP相談とLINE特典の使い方
記事の式と早見表で方針は作れますが、最終調整は“具体的な数字合わせ”が肝心です。まずは家計と保障のギャップをAIにざっくり質問し、保険証券・給与明細の画像を送って精度を上げましょう。オンライン通話でFPが中立に比較し、過不足のない設計に整えます。いまならLINE登録でギフトが選べるキャンペーンも実施中です。24時間365日、スマホだけで完結します。
まとめ:重要ポイント
- 1収入保障は“万一の長期不足”、就業不能は“短期の手取りギャップ”を埋める役割で使い分ける。
- 2公的保障の守備範囲(傷病手当金・労災・遺族年金の最新動向)を押さえ、必要額=生活費−公的−取り崩しで算出する。
- 3待機期間は会社員180日・自営業60〜90日を軸に、精神疾患の支払条件・限度月数・職種制限を必ず比較する。
- 42025年はAI審査・オンライン申込が進化。金利動向による保険料の“波”はあるが、支払定義の改善が伴うかで見直しを判断する。
ぜひ無料オンライン相談を
不足額の計算や待機期間・支払定義の比較は、前提条件が多く迷いがちです。オンラインFP相談なら、家計の固定費と公的給付を基に“月いくら×何年”を具体化し、複数社の設計を中立に比較できます。移動不要・時間指定で、無料のまま何度でも調整可能。記事で作った仮案を持ち込み、わが家専用の最適解へ仕上げましょう。
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