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【2025年12月更新】法人保険 賃上げ促進税制対応|損金と福利設計3手順

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2025年12月更新】法人保険 賃上げ促進税制対応|損金と福利設計3手順
法人保険
賃上げ促進税制
税額控除
損金判定
総合福祉団体定期保険
GLTD
福利厚生保険

まず前提の“痛点”を共有する

賃上げは待ったなし。一方で、賃上げ促進税制の控除率や上限、実務の書類要件を正しく踏む必要がある。福利厚生の法人保険をどう噛み合わせるかで、手取り税額と従業員の安心が同時に変わる。この記事は、税額控除10〜35%/15〜45%の枠組み、税額控除上限20%と中小の繰越、法人保険の損金判定(50/70/85%帯)を“一枚の設計図”に並べる。読者が今日から動ける段取りでまとめる。

今日決めるべき3つの初手

  • 1
    自社が「全企業」「中堅」「中小」のどれに該当するかを確認し、賃上げ率の判定方法を統一する
  • 2
    税額控除は法人税額の20%が上限である前提を置き、必要なら中小の繰越(最長5年)を見込む
  • 3
    福利厚生保険の損金処理ルール(50/70/85%帯と少額・短期払の例外)を事前に社内共有する

賃上げ促進税制2025の最新要点

全企業向けは基準3%で税額控除10%、上乗せ要件で最大35%[制度期間:令和4年4月1日〜令和9年3月31日開始事業年度]。一次情報は (No.5927 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)。中堅企業向けも枠組みは同様(最大35%)で、特定法人の定義に注意する(従業員数やグループ合計の要件)。一次情報は (No.5927-3 中堅企業向け賃上げ促進税制)。中小企業者等は基準1.5%で税額控除15%、上乗せで最大45%、法人税額の20%上限かつ“控除しきれない分”は5年繰越が可能。一次情報は (No.5927-2 中小企業者等における賃上げ促進税制)

控除率と上限・繰越、うちはどれに当たる?

控除10〜35%とか15〜45%とか聞くけれど、結局うち(資本金5,000万円・従業員80人)はどれで、20%上限に引っかかりますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
従業員規模なら「中小」判定が本線。基準1.5%増で15%、賃上げ2.5%以上なら加算15%で合計30%、教育訓練の増額と認定の加算で最大45%まで伸ばせる。控除は法人税額の20%が上限。ただし中小は“上限超過分”を5年繰越できるので、翌期以降の法人税で消化する設計が現実的だ。

法人保険の損金判定と50/70/85%帯の線引き

2019年以降の取扱いでは、保険期間3年以上で「最高解約返戻率が50%超の定期・第三分野保険」は帯別に資産計上+損金を按分する。50〜70%帯は当期分の40%を資産計上、70〜85%帯は60%を資産計上、85%超は“ピーク期間まで”資産計上し、以降取り崩す。年換算30万円以下の少額や“保険期間を通じて解約返戻金がない短期払”などの例外もある。一次情報は (第3節 保険料等(法基通9‑3‑5の2ほか))。福利で使う第三分野(就業不能・GLTD等)や解約返戻金なしの総合福祉団体定期は、原則“期間の経過に応じて損金算入”で扱う(被保険者や受取人の設計に注意)。根拠は (法基通9‑3‑5)
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
税額控除の“幅”と保険の“損金”を同じ表で見える化し、賃上げ・教育訓練・福利の3本柱を一本の計画に束ねるのが近道。

賃上げ計画とKPIの可視化

税制の計算は“継続雇用者”の賃金台帳と“教育訓練費”の増加率が基礎。継続雇用者の定義や教育訓練費の範囲は税務上の要件に即して資料化する。実務要件は (No.5927の適用要件・定義部) を参照。福利の側は、従業員全体を対象にする規程整備(受取人・弔慰金・死亡退職金の扱い)を事前に準備し、毎月の保険料と税区分を台帳化する。

福利厚生×賃上げ税制の3手順

  • 1
    決める:賃上げ率(目標・実績)と教育訓練費の増額計画を年度KPIに落とし、税額控除の達成段階を見取り図にする
  • 2
    整える:総合福祉団体定期・GLTDなどの福利を“全従業員対象の規程”で設計し、受取人・支払事由・税の取扱いを明文化する
  • 3
    申告する:確定申告書に雇用者給与等支給増加額の明細を添付、控除額は法人税の20%上限で判定し、中小は繰越管理台帳を作る

申告と控除上限・繰越の扱い

税額控除限度額は「控除対象雇用者給与等支給増加額×控除率」。いずれも“調整前法人税額の20%”が上限。中小は“控除しきれない額”を5年間繰り越しできるが、繰越年度でも賃上げの要件充足が必要。添付書類(教育訓練費の保存事項・認定の写し等)も明確。一次情報は (No.5927-2の限度・繰越・添付書類)

事例・試算:製造20人|3%賃上げ×GLTD

年額人件費1億円の製造業で賃上げ3%(300万円増)。中小枠で基準1.5%を満たし、上乗せ“2.5%以上”加算15%も適用とすると、税額控除率は合計30%。控除額は300万円×30%=90万円(法人税額の20%が上限)。同時に、全従業員対象でGLTD(月額保険料合計8万円)を導入。第三分野のため原則“期間の経過に応じ損金算入”で経費化できる(法基通9‑3‑5に整合)。福利の周知は“休職時の手取り”を具体に伝えると浸透が速い。

IT50人|教育訓練上乗せ×総福団の活用

IT会社で教育訓練を増やす計画。税額控除を伸ばすには何を足せばいい?福利は何を選ぶべき?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
教育訓練費の前年対比“10%以上増”と“給与に対する0.05%以上”を満たすと控除率を上乗せできる(全企業/中堅)。研修の委託費・受講料が対象。福利は総合福祉団体定期で“死亡退職金・弔慰金”の財源を用意すると、受取人設計と税の非課税枠を併せて整えやすい。総福団は解約返戻金なしの1年定期が一般的で、保険料は原則損金処理にできる(法基通9‑3‑5の期間損金)。

医療法人|退職金規程整備×名義変更の“出口”

医療法人は死亡退職金・弔慰金の非課税枠(500万円×法定相続人)と規程の整合が必須。弔慰金の相続税の扱いは (No.4120 弔慰金の取扱い) を確認。法人保険の契約者・受取人の“名義変更”や“転換・払済”は税務処理が変わる。変更後は9‑3‑7/9‑3‑7の2の手順で責任準備金の過不足を調整し、資産計上累積額も合わせて是正する(リンクは (第3節 保険料等))。実務で言う“70%評価”は通称で、2019年通達の“資産計上額の係数(最高解約返戻率帯の70%)”と混同されがち。評価課税のリスクは税理士と事前確認のうえ、変更前後の資料・明細を揃える。

よくある落とし穴と回避策

税額控除の“20%上限”を超えて取りこぼすケースは、中小なら繰越の社内管理が鍵。控除額の推移表を作り、翌期以降の法人税額見込みと合わせて消化計画を立てる。福利の“選択制”設計で損金否認に至るリスクは、対象者の限定や給与性の混入が原因になりやすい。税務の原則(従業員全体対象・規程整備・役員のみ対象は給与扱い)に沿う。人的資本開示と評価制度の整合は“教育訓練費の定義”と“賃上げ方針の公表”を一致させることで担保する。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
控除は“税額を減らす手段”、福利は“人を守る仕組み”。両輪を回す設計で、賃上げを持続可能にする。

進め方と無料AI相談の活用

段取りはシンプル。賃上げ率・教育訓練費・人件費KPIの過去2年分を整え、総福団・GLTDの規程案と見積を用意。税額控除の適用要件は一次情報のページで都度確認し、更新に備える。設計はLINEで「ほけんのAI」に相談すれば、AIが初期整理→FPがオンラインで福利・税務の並び替えを支援。しつこい勧誘を遮断できる“イエローカード”も用意があるので安心。総合福祉団体定期保険GLTDの社内説明資料も、その場で共有まで進む。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    自社が全企業/中堅/中小のどれかを判定し、控除率と要件を整理する(一次情報リンクで確認)
  • 2
    法人税額の20%上限は固定。中小は繰越5年を台帳で管理し、翌期以降の消化計画を作る
  • 3
    法人保険の損金判定は9‑3‑5/9‑3‑5の2の帯で判断。福利は“全従業員対象の規程”が基本
  • 4
    総福団・GLTDは“期間損金”で福利を底上げ。受取人設計と退職金・弔慰金の規程と一体で整える
  • 5
    名義変更や転換・払済は税務処理が変わる。変更前後の資料と評価の考え方を税理士と確認する

ぜひ無料オンライン相談を

賃上げ税制と福利設計は、税額控除の要件判定と保険の損金・資産の線引きを同時に進めるのが効率的。オンラインなら場所を選ばず、必要書類も画面共有で確認可能。無料で複数案を横断比較でき、中立的なFPが総合的に並べ替えを支援する。次はLINEで現状を共有し、最短で“申告に間に合う設計”へ進もう。

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