【2025年8月更新】終身保険で学費を準備|必要額と返戻率の決め方(個別相談可)
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

終身保険
学費準備
返戻率
必要学資額
低解約返戻金型終身
外貨建て終身
契約者貸付
目次
2025年の前提:金利環境と教育費の相場を押さえる
物価高と金利上昇が続く2025年、貯蓄型保険の予定利率が引き上がり、終身保険の貯蓄性が見直されています。生命保険協会の最新年報では、2023年度の収入保険料が37.5兆円と3年連続増加、個人保険の新規契約高も53.95兆円へ伸びました(いずれも前年度比増)[生命保険の動向 2024年版]。さらに、大手生保が貯蓄性商品の予定利率を段階的に引き上げ、学資・個人年金・一時払終身などで保険料低下=返戻効率の改善が進んでいます(例:一時払終身の予定利率を1.0%へ引き上げたケース)[積立型保険の予定利率 大手各社が引き上げ]。一方、教育費は上昇基調。大学以降の生活費も含めた実負担は軽くありません。日本学生支援機構(JASSO)の生活調査は、大学生の生活費や奨学金受給状況の現実を示す基礎資料として有用です[学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査 | JASSO]。本稿では、最新環境を踏まえ、学費の必要学資額の決め方と終身保険の返戻率を軸に、実践的な設計手順をまとめます。
データで確認:2025年時点の前提条件
- 1生命保険の収入保険料は2023年度に37.5兆円まで回復し、貯蓄型需要が堅調[生命保険の動向 2024年版]。
- 2貯蓄型保険の予定利率は、学資・個人年金・一時払終身で引き上げ事例が相次ぐ(例:一時払終身1.0%)[積立型保険の予定利率 大手各社が引き上げ]。
- 3大学生の生活費・奨学金の実態はJASSOの調査を参考にし、学費以外の費用(通学・住居・教材等)を別枠で見積もる[学生生活調査… | JASSO]。
- 4円安・インフレが長引く可能性を前提に、受取時期と通貨(円・外貨)を柔軟に設計する。
まずは目標額を決める:必要学資額の算出ステップ
学費準備は「金額×時期」を先に固めると進みます。目安は次の順で。
- 幼小中高の費用は家計キャッシュフロー(毎月支出)で賄い、終身保険は大学入学時のまとまった費用(入学金・初年度納付金・住居初期費)に充てるのが実務的です。
- 大学進学時の一時金ターゲット(例:入学年に200〜300万円、下宿なら初期費を加え350〜400万円)を設定。住まい・学部・地域で差が出るため、JASSOの生活費データも併用し上振れに耐える額で置くのが安全です[学生生活調査… | JASSO]。
- 奨学金・給付型支援・児童手当の累計・新NISA等の金融資産を棚卸しし、学費充当見込み分を差し引いて「不足分=終身保険で狙う金額」を確定。
- インフレ余裕(年1〜2%相当)を上乗せして目標額を調整し、受取予定年(例:18歳到達年4月)から逆算して払込期間と保険料上限を決めます。
300万円を終身保険で用意するには?
子どもが0歳です。18歳で300万円を終身保険で用意するには、毎月どれくらい必要ですか?

円建ての低解約返戻金型なら、18年払込で毎月1.2〜1.4万円前後がひとつの目安です。返戻率100〜110%程度を狙いつつ、家計に無理のない保険料上限に調整します。ボーナス加算や年払いで総コストを抑える方法も検討しましょう。外貨建てを併用すれば必要掛金は下がる可能性もありますが、為替リスクに備え受取の柔軟性を確保してください。
返戻率の決まり方:円建て・外貨建て・変額の違い
返戻率は「予定利率・事業費・保障コスト・払込方法(期間と一時払い)」で決まります。
- 円建て(低解約返戻金型):払込中は返戻率を抑え、払込完了で一気に100%超へ乗せる“山の形”。予定利率の上昇局面では保険料が下がる分、相対的に返戻率が改善しやすい[積立型保険の予定利率 大手各社が引き上げ]。
- 外貨建て:海外金利を取り込みやすく名目利率は高めになりやすい一方、円換算の受取額は為替次第。円高局面の解約は元本割れリスクがあるため、受取時期を動かせる終身の特性を活かし“待つ”選択肢も持つ。
- 変額(市場連動):長期でリターンを狙えるが元本保証はなく、必要時期が固定の教育資金には慎重な配分が前提。市場が弱いときに解約しない設計(他資金で橋渡し)が肝心。

教育費は“いつ・いくら”が決まっているお金。返戻率は魅力でも、受取の確実性を損なわない設計が最優先です。
リスク管理:途中解約・為替・市場にどう備えるか
学費用途では、リスクを「避ける」「分散する」「ずらす」の3層で管理します。
- 途中解約を避ける:保険料は手取りの一定比率上限(例:可処分所得の5%以内など)を家計ルール化。緊急時は解約前に契約者貸付(解約返戻金の範囲で借入)で橋渡しする選択肢を準備。
- 為替に備える:外貨建ては円高時に解約せず“据置き+貸付”や“外貨のまま受取”で時間分散。為替手数料・両替コストも事前に確認。
- 市場に備える:変額は学費のコア部分ではなく“サテライト”に限定。必要時期の3年前から価格変動の小さい資産へ段階的に移す。
併用整理のチェックリスト(奨学金・児童手当・NISA)
- 1児童手当の累計と使途を明確化し、学費用・生活費用・予備資金に色分けして管理する。
- 2給付型・貸与型奨学金の条件と上限を比較し、学費のどこに充当するか“事前に”割り振る。
- 3新NISAは18歳以降の授業料や下宿費のブリッジ資金として別枠で積み立て、相場急変時に補助できる形を作る。
- 4教育ローンは金利・返済年数・保証料を初期から比較し、“最悪シナリオ”の最後尾に置く。
- 5終身保険の受取タイミングと他資金の着金時期(入学金納付の締切など)をカレンダー化する。
年代・家計別の実践イメージ
- 20代コツコツ型:円建て低解約返戻金型を18年払込で300万円目標。年間14〜16万円程度の掛金感度で、返戻率100〜110%レンジを狙う。途中の家計変動に備え、年払い・月払いの切替余地を確保。
- 30代効率型:10〜15年の短期払い+一部外貨建てで目標300万円。円建てで“コア”、外貨で“サテライト”の2層にし、為替が不利なら受取を先送りする前提。
- 40代集中型:5年払い・一時払いで下宿初期費込み350万円を“間に合わせ”。流動性低下を補うため、普通預金や新NISAの取り崩し枠も併走させ、解約一択にならない設計に。
いずれも、払込完了直後に受け取るか、1〜3年据置いて返戻率をさらに上積みするかは、相場や為替と照らして柔軟に判断します。
受け取りと税金:一時所得の基本と名義の整理
終身保険の解約返戻金は、所得税上の一時所得に該当するのが一般的です。計算式は「総収入金額 − 支出金額 − 特別控除(最高50万円)=一時所得」。この半分が他の所得と合算されます(源泉分離課税の対象となる一部商品を除く)[No.1490 一時所得|国税庁]。
- 名義(契約者・被保険者・受取人)の組み合わせで、贈与税・相続税になるケースもあります。学費用途はシンプルに「親が契約者・被保険者、解約返戻金は親が受け取り学費に充当」が実務上わかりやすい運用です。
- 外貨建てで為替差益が出る場合も、解約返戻金として受け取れば一時所得の計算に内包されます。外貨で受取り、円に替えるタイミングは為替と納付期限のバランスで判断。
実務の段取りは?よくある疑問
大学の入学金の納付締切が早いです。解約のタイミングが合わないときはどうすれば?

解約日の入金タイミングは保険会社ごとに差があるため、1〜2か月前から逆算し、必要なら契約者貸付で先に納付して後日返済する手もあります。払い出し口座は学費用の専用口座にして資金動線をシンプルにしましょう。
比較〜加入〜見直し:実行フロー
手順はシンプルです。
- 返戻率シート:目標額・受取年・払込年数・毎月上限・通貨(円/外貨)を入れた比較シートを作る。保険料・返戻金カーブ・貸付利率・解約控除の条件を横並びに。
- 見積もり比較:ネット資料請求+オンライン面談を併用し、同一条件で複数社を比較。予定利率改定の予定(社内通達の公表など)も確認できるとベター。
- 加入後運用:受取年の3年前から“据置きor部分解約or契約者貸付”のシミュレーションを更新。家計の変化で払込が難しくなったら、払込方法変更や減額を検討し、解約を最終手段に。
根拠リンクと最新トレンドの読み解き
予定利率の引き上げトレンドは、学資・個人年金・一時払終身など貯蓄性商品の返戻効率改善に直結します。制度や市場の変化は必ず一次情報で確認しましょう。
- 予定利率の引き上げ動向(個別事例とメカニズムの解説):(積立型保険の予定利率 大手各社が引き上げ)
- 業界全体の最新統計(契約・損益・資産運用):(生命保険の動向 2024年版)
- 大学生の生活費・奨学金の基礎データ(隔年):(学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査 | JASSO)
- 解約返戻金の課税(計算式と留意点):(No.1490 一時所得)
これらの一次資料をベースに、商品パンフ・設計書で“わが家の数値”に落とし込むのが実務の王道です。
まとめ:重要ポイント
- 1必要学資額は“金額×時期”を先に確定し、終身保険は大学入学時の一時金に充てる設計が実務的である
- 2返戻率は予定利率・事業費・払込方法で決まり、円建ては短期払い・払込完了据置きで効率を高めやすい
- 3外貨建てや変額は“サテライト”に留め、為替や市場の弱い局面では受取時期をずらす・貸付で橋渡しする
- 4解約返戻金の課税は一時所得の計算式で確認し、名義(契約者・被保険者・受取人)の税区分を事前に整理
- 5予定利率改定や商品条件は一次情報で確認し、比較表で“同条件・同通貨”の見積もり比較を徹底する
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