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【2026年9月更新】医療費控除の保険差し引き|年またぎとe-Tax手順

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
この記事の最新の更新
最終改良: 2026年9月14日
  • 2026年8月開始後の高額療養費見直し反映
  • 9月1日時点のセルフメディケーション対象品目情報
  • 未確定給付と年またぎ按分の根拠リンク補強
【2026年9月更新】医療費控除の保険差し引き|年またぎとe-Tax手順
医療費控除
保険金 補てん
e-Tax 医療費控除
高額療養費 改正
セルフメディケーション税制
年またぎ 入院
還付申告

まず結論:保険金は対応する医療費からだけ差し引く

入院給付金や高額療養費を受け取ったとき、医療費控除で「どこまで差し引くのか」は多くの人がつまずくポイントです。結論からいうと、 医療費控除 は「その年に実際に支払った医療費」から「その医療費を補てんする保険金など」を差し引き、さらに10万円、または総所得金額等の5%のいずれか低い金額を差し引いて計算します。控除額の上限は200万円です。
国税庁は、保険金などで補てんされる金額について「その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引く」と説明しています。つまり、1つの入院費に対する給付金が入院費を上回っても、余った分を歯科治療費や薬代から差し引く必要はありません。基本式と対象要件は(No.1120 医療費を支払ったとき)で確認できます。
2026年9月時点では、令和8年8月から高額療養費制度の見直しが始まっています。これから2026年分の医療費を整理する人は、病院の領収書だけでなく、高額療養費、保険会社の給付通知、薬局のレシートを同じフォルダにまとめておくと、来年の申告作業がかなり楽になります。

この記事で確認できること

  • 1
    差し引く保険金と差し引かない給付金の境界を整理できます。
  • 2
    年末に医療費を支払い、翌年に給付金を受け取る場合の扱いがわかります。
  • 3
    入院が年をまたいだときの保険金の按分方法を具体例で確認できます。
  • 4
    e-Taxで医療費通知と追加明細を入力する順番を把握できます。
  • 5
    2026年8月開始の高額療養費見直しが家計と控除額に与える影響を確認できます。

差し引く給付金・差し引かない給付金の境界

差し引くかどうかは、給付の名前だけでなく、 対応する医療費 を軽くするためのお金かどうかで見ます。差し引く代表例は、生命保険や医療保険の入院給付金・手術給付金・通院給付金、健康保険から支給される高額療養費・家族療養費、出産育児一時金などです。
一方、傷病手当金、出産手当金、育児休業給付のように、働けない期間の収入減を補う性格の給付は、医療費そのものを補てんするお金ではないため、通常は医療費控除の計算で差し引きません。死亡保険金や高度障害保険金も、医療費の明細に対応する補てんとは別の性格です。
がん診断一時金のような使い道自由の一時金は、診断という事実に対する給付であれば差し引かないと考えられることが多いです。ただし、約款や給付決定通知に「特定の治療費の補てん」と読める記載がある場合は、扱いが変わる可能性があります。迷うときは、給付決定通知、保険約款、領収書を並べて、どの医療費に対応するお金かを確認しましょう。

がん診断一時金は差し引くの?

がん保険の診断一時金を受け取りました。医療費控除では差し引く必要がありますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
診断という事実に対する使い道自由の一時金であれば、医療費から差し引かない扱いが一般的です。一方で、入院日額、手術給付金、通院給付金、高額療養費のように医療費負担を軽くする給付は、対応する医療費の行から差し引きます。給付通知に治療費や入院費との対応関係が書かれていないか確認してください。

家族が受け取った給付でも支払者側で差し引くことがある

医療費を支払った人と保険金などを受け取った人が違う場合でも、 医療費を補てん する給付であれば、医療費控除を受ける人の計算で差し引きます。
たとえば、夫が妻の入院費を支払い、妻が勤務先の互助会から入院給付金を受け取ったケースを考えます。この給付金が妻の入院費を補てんする性格なら、夫が医療費控除を計算するときに、その入院費から差し引く必要があります。
家族分をまとめて申告する家庭では、領収書を「誰の医療費か」だけでなく、「誰が支払ったか」「どの給付金と対応しているか」までメモしておくと安心です。子どもの入院、出産、親の医療費の立て替えでは、支払者・患者・受取人が分かれやすいので、後から見てもわかる形で残しておきましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
医療費控除は、家族全体の領収書を集める作業に見えますが、本当に大切なのは給付金と領収書を一対一で結びつけることです。

年末支払・翌年受取は支払った年で見込計上する

12月に入院費を支払い、保険金や高額療養費の支給が翌年になることは珍しくありません。この場合でも、医療費控除は 支払った年 の医療費として整理します。
申告時点で給付額が確定していない場合は、受け取る見込額を支払った医療費から差し引きます。後日、実際の支給額が見込額と違った場合は、さかのぼってその年分の医療費控除額を訂正します。税額が増える方向なら修正申告、税額が減る方向なら更正の請求を検討します。国税庁の質疑応答でも、未確定の場合は見積額を控除し、確定後に訂正する扱いが示されています。(医療費を補填する保険金等が未確定の場合)
実務では、保険会社の支払予定通知、健康保険組合の高額療養費見込額、勤務先からの案内メールなどを保存し、申告時に使った見込額の根拠を残しておくと後で説明しやすくなります。見込額をメモするだけでなく、「いつ確認した金額か」も書いておくと安心です。

入院が年をまたいだら保険金はどちらの年で差し引く?

12月に15万円、翌年1月に5万円の入院費を払い、2月に10万円の入院給付金をまとめて受け取りました。どう分ければよいですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
同じ入院に対応する給付金なら、支払った入院費の割合で按分します。この例では前年15万円、翌年5万円なので、10万円の給付金を前年7万5,000円、翌年2万5,000円に分けて、それぞれの年の医療費から差し引く考え方です。

年またぎ入院の按分は支払額の比率で考える

入院費を12月と翌年1月に分けて支払い、保険金を翌年にまとめて受け取った場合は、原則として保険金を各年の支払額に応じて按分します。国税庁の質疑応答でも、入院費用を補てんする保険金が両方の年分の医療費を補てんするものであるときは、支払った入院費用の額に応じて各年分にあん分するとされています。(医療費を補填する保険金等の金額のあん分計算)
計算式は難しくありません。保険金総額×その年に支払った医療費÷対象となる医療費の合計額です。たとえば、同一入院の支払額が前年15万円、翌年5万円、保険金10万円なら、前年分は10万円×15万円÷20万円=7万5,000円、翌年分は2万5,000円です。
ここで大切なのは、支払日ベースで年を分けることです。診療日や退院日ではなく、実際に窓口や振込で支払った日を基準に整理します。クレジットカード払いの場合は、医療機関でカード決済をした日で整理するのが一般的です。カード会社の引き落とし日ではない点に注意しましょう。

e-Tax入力でつまずかない手順

  • 1
    マイナンバーカード、利用者証明用パスワード、署名用パスワードを事前に確認します。
  • 2
    マイナポータル連携で医療費通知情報を取り込み、家族分は代理人設定の要否を確認します。
  • 3
    医療費通知に載らない自由診療、市販薬、交通費、年末分の未反映明細を追加します。
  • 4
    各明細の補てんされる金額には、その医療費に対応する給付金だけを入力します。
  • 5
    補てん額が医療費を超える場合でも、超過分を別の医療費に移さず、その行の医療費額を上限にします。
  • 6
    送信後も領収書、給付決定通知、見込額の根拠資料を原則5年間保管します。

2026年8月開始の高額療養費見直しで家計と控除額が変わる

2026年8月診療分から、 高額療養費制度 の見直しが始まっています。厚生労働省は、月単位の自己負担上限額を見直す一方で、長期療養者などへの配慮として多数回該当の金額を維持し、新たに年単位の「年間上限」を設けると説明しています。年間上限の「年間」は8月から翌年7月までを指し、月ごとの自己負担額が積み上がって年間上限に達した後は、保険者から還付を受けられる仕組みです。(高額療養費制度を利用される皆さまへ)
厚生労働省の例では、令和8年8月からの制度において、70歳未満・年収約370万円から約510万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円まで抑えられるとされています。一方、見直しによって短期の高額治療では負担が増えるケースもあり、長期療養では年間上限や多数回該当が家計の支えになるケースもあります。
医療費控除との関係では、高額療養費として戻る金額は「保険金などで補てんされる金額」にあたります。つまり、制度改正で自己負担が増えれば医療費控除の対象額が増える可能性があり、逆に年間上限による還付で自己負担が抑えられれば、その分は医療費から差し引く必要があります。
また、厚生労働省は令和9年1月から、療養・育児・介護と仕事を両立するために勤務時間短縮などで報酬が大幅に減少した人について、標準報酬月額の特例的な取扱いを開始する予定と案内しています。治療と仕事の両立で収入が変わる人は、高額療養費の所得区分、保険料、医療費控除の3つをまとめて確認しておくとよいでしょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
高額療養費の改正は、病院で支払う金額だけでなく、翌年の医療費控除の計算にも影響します。治療予定がある人ほど、領収書と給付通知を同じ封筒やフォルダで残しておきましょう。

セルフメディケーション税制は2026年12月31日まで

セルフメディケーション税制は、一定の健康診査や予防接種などに取り組んだ人が、対象医薬品の購入額について所得控除を受けられる制度です。通常の医療費控除との選択制で、同じ年に両方を併用することはできません。
通常の医療費控除は、医療費から補てん金などを差し引いた後、原則10万円を超える部分が対象です。一方、セルフメディケーション税制は、対象医薬品の購入額から保険金などで補てんされる部分を除いた金額のうち、12,000円を超える部分が控除対象で、控除限度額は88,000円です。
厚生労働省のページでは、2026年9月1日時点の対象品目一覧が掲載されています。対象商品は必要に応じて1か月に1回更新予定とされているため、ドラッグストアで対象マークを見た商品でも、購入時期や成分見直しによって扱いが変わることがあります。(セルフメディケーション税制について)
市販薬のレシートを集めている人は、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらが有利かを年末に比較しましょう。レシートには対象商品である旨が表示されますが、商品名や購入日が読める状態で保管しておくと、申告前の確認がスムーズです。

過去分を申告する人は5年ルールと資料保管を確認

2026年9月時点で「2025年分の医療費控除を出し忘れた」と気づいた人も、還付申告の対象ならまだ間に合う可能性があります。国税庁は、還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できると説明しています。(No.2030 還付申告)
ただし、すでにその年分の確定申告をしている人が医療費控除を追加したい場合は、単なる還付申告ではなく更正の請求になることがあります。また、保険金や高額療養費の見込額を少なく入れていた場合は、税額が増える修正申告が必要になることもあります。
領収書が多い人は、国税庁の医療費集計フォームを使うと、確定申告書等作成コーナーに読み込めるため効率的です。ただし、セルフメディケーション税制を選ぶ場合は医療費集計フォームを利用できない点に注意してください。医療費通知に載る分、載らない分、保険金で補てんされる分を分けておくことが、申告ミスを減らす近道です。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    医療費控除では、保険金などを対応する医療費の範囲内で差し引き、超過分を他の医療費へ回さないことが基本です。
  • 2
    年末支払・翌年受取の給付金は、支払った年の医療費から見込額で差し引き、確定後に必要なら訂正します。
  • 3
    年またぎ入院の保険金は、同一入院に対応する支払額の比率で各年に按分します。
  • 4
    2026年8月開始の高額療養費見直しは、自己負担額と翌年の医療費控除額の両方に影響する可能性があります。
  • 5
    セルフメディケーション税制は通常の医療費控除との選択制なので、年末にどちらが有利か比較してから申告します。

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