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【2026年7月更新】医療費控除の保険差し引き|年またぎとe-Tax手順

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
この記事の最新の更新
最終改良: 2026年7月2日
  • 高額療養費改正法成立後の家計影響の反映
  • 令和7年分還付申告と5年保管の補足
  • セルフメディケーション対象品目7月更新の反映
【2026年7月更新】医療費控除の保険差し引き|年またぎとe-Tax手順
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まず結論:保険金は「対応する医療費」からだけ差し引く

医療費控除でいちばん迷いやすいのは、入院給付金や高額療養費などをどこまで差し引くかです。結論はシンプルで、 医療費控除 は「その年に実際に支払った医療費」から「その医療費を補てんする保険金など」を差し引き、さらに10万円、または総所得金額等の5%のいずれか低い金額を差し引いて計算します。控除額の上限は200万円です。
国税庁は、保険金などで補てんされる金額について「その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引く」と説明しています。つまり、1つの入院費に対する給付金が入院費を上回っても、余った分を歯科治療費や薬代から差し引く必要はありません。基本式と対象要件は(No.1120 医療費を支払ったとき)で確認できます。
2026年7月時点では、令和7年分の通常の確定申告期限は過ぎていますが、給与所得者などで還付を受けるための申告であれば、原則として翌年1月1日から5年間提出できます。過去分をこれから整理する人も、今年の医療費を記録している人も、考え方は同じです。

この記事でわかること

  • 1
    差し引く保険金と差し引かない給付金の境界を整理できます。
  • 2
    年末に支払い、翌年に給付金を受け取る場合の扱いがわかります。
  • 3
    入院が年をまたいだときの按分方法を具体例で確認できます。
  • 4
    e-Taxで医療費通知と追加明細を入力する順番がわかります。
  • 5
    2026年8月から始まる高額療養費見直しの家計影響を把握できます。

差し引く給付金・差し引かない給付金の境界

差し引くかどうかは、給付の名前だけでなく「医療費を軽くするためのお金か」で見ます。差し引く代表例は、生命保険や医療保険の入院給付金・手術給付金・通院給付金、健康保険から支給される高額療養費・家族療養費、出産育児一時金などです。
一方、傷病手当金、出産手当金、育児休業給付のように、働けない期間の収入減を補う性格の給付は、医療費そのものを補てんするお金ではないため、通常は医療費控除の計算で差し引きません。死亡保険金や高度障害保険金も、医療費の明細に対応する補てんとは別の性格です。
がん診断一時金のような使い道自由の一時金は、診断という事実に対する給付であれば差し引かないと考えられることが多いです。ただし、約款や給付決定通知に「特定の治療費の補てん」と読める記載がある場合は、扱いが変わる可能性があります。迷うときは、給付決定通知と領収書を並べて、どの医療費に対応するお金かを確認しましょう。

がん診断一時金は差し引くの?

がん保険の診断一時金を受け取りました。医療費控除では差し引く必要がありますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
診断という事実に対する使い道自由の一時金であれば、医療費から差し引かない扱いが一般的です。一方で、入院日額、手術給付金、通院給付金、高額療養費のように医療費の負担を軽くする給付は、対応する医療費の行から差し引きます。給付通知の記載を必ず確認してください。

家族が受け取った給付でも、支払者側で差し引くことがある

医療費を支払った人と保険金などを受け取った人が違う場合でも、医療費を補てんする給付であれば、医療費控除を受ける人の計算で差し引きます。
たとえば、夫が妻の入院費を支払い、妻が勤務先の互助会から入院給付金を受け取ったケースを考えます。この給付金が妻の入院費を補てんする性格なら、夫が医療費控除を計算するときに、その入院費から差し引く必要があります。
家族分をまとめて申告する家庭では、領収書を「誰の医療費か」だけでなく、「どの給付金と対応しているか」までメモしておくと安心です。特に子どもの入院、出産、親の医療費を立て替えた場合は、支払者・患者・受取人が分かれやすいので注意しましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
医療費控除は、家族全体の領収書を集める作業に見えますが、本当に大切なのは給付金と領収書を一対一で結びつけることです。

年末支払・翌年受取は「支払った年」で見込計上する

12月に入院費を支払い、保険金や高額療養費の支給が翌年になることは珍しくありません。この場合でも、医療費控除は「医療費を実際に支払った年」で判定します。
申告時点で給付額が確定していない場合は、受け取る見込額を支払った医療費から差し引きます。後日、実際の支給額が見込額と違った場合は、さかのぼってその年分の医療費控除額を訂正します。税額が増える方向なら修正申告、税額が減る方向なら更正の請求を検討します。国税庁の質疑応答でも、未確定の場合は見積額を控除し、確定後に訂正する扱いが示されています。(医療費を補填する保険金等が未確定の場合)
実務では、保険会社の支払予定通知、健康保険組合の高額療養費見込額、勤務先からの案内メールなどを保存し、申告時に使った見込額の根拠を残しておくと後で説明しやすくなります。

入院が年をまたいだら保険金はどちらの年で差し引く?

12月に15万円、翌年1月に5万円の入院費を払い、2月に10万円の入院給付金をまとめて受け取りました。どう分けますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
同じ入院に対応する給付金なら、支払った入院費の割合で按分します。この例では前年15万円、翌年5万円なので、10万円の給付金を前年7万5,000円、翌年2万5,000円に分けて、それぞれの年の医療費から差し引く考え方です。

年またぎ入院の按分は支払額の比率で考える

入院費を12月と翌年1月に分けて支払い、保険金を翌年にまとめて受け取った場合は、原則として保険金を各年の支払額に応じて按分します。国税庁の質疑応答でも、入院費用を補てんする保険金が両方の年分の医療費を補てんするものであるときは、支払った入院費用の額に応じて各年分にあん分するとされています。(医療費を補填する保険金等の金額のあん分計算)
計算式は難しくありません。保険金総額×その年に支払った医療費÷対象となる医療費の合計額です。たとえば、同一入院の支払額が前年15万円、翌年5万円、保険金10万円なら、前年分は10万円×15万円÷20万円=7万5,000円、翌年分は2万5,000円です。
ここで大切なのは、支払日ベースで年を分けることです。診療日や退院日ではなく、実際に窓口や振込で支払った日を基準に整理します。クレジットカード払いの場合は、医療機関にカードを提示して決済した日で整理するのが一般的です。

e-Tax入力でつまずかない手順

  • 1
    マイナンバーカード、利用者証明用パスワード、署名用パスワードを事前に確認します。
  • 2
    マイナポータル連携で医療費通知情報を取り込み、家族分は代理人設定の要否を確認します。
  • 3
    医療費通知に載らない自由診療、市販薬、交通費、年末分の未反映明細を追加します。
  • 4
    各明細の「補てんされる金額」には、その医療費に対応する給付金だけを入力します。
  • 5
    補てん額が医療費を超える場合でも、超過分を別の医療費に移さず、その行の医療費額を上限にします。
  • 6
    送信後も領収書、給付決定通知、見込額の根拠資料を原則5年間保管します。

2026年8月からの高額療養費見直しで家計と控除額が変わる

2026年5月29日に医療保険制度改正法が成立し、高額療養費制度は2026年8月から段階的に見直されます。厚生労働省は、月単位の自己負担限度額を医療費の伸びや所得に応じて見直す一方、長期療養者への配慮として多数回該当の金額を据え置き、患者負担に年単位の 年間上限 を設けると説明しています。(医療保険制度改正法が成立しました)
医療費控除との関係では、高額療養費として戻る金額は「保険金などで補てんされる金額」にあたります。つまり、制度改正で自己負担が増えれば医療費控除の対象額が増える可能性があり、逆に年間上限による償還で自己負担が抑えられれば、その分は医療費から差し引く必要があります。
厚労省資料では、年収約370万円から約510万円層の長期療養者で、現行制度では多数回該当に該当しないケースについて、年間上限により自己負担が76.7万円から53.0万円となる試算が示されています。一方、単月のみ高額療養費に該当する年収約410万円のケースでは、月単位の限度額見直しにより年間約0.6万円の負担増、年3回高額療養費に該当する年収約770万円のケースでは年間約8.8万円の負担増という試算もあります。(高額療養費制度の見直しについて)
同じ改正でも、長期療養か単発の手術か、所得区分、70歳以上の外来特例の対象かで影響は変わります。2026年8月以降に高額な治療予定がある人は、限度額適用認定証やマイナ保険証での限度額情報提供に加えて、医療費控除用のメモも早めに作っておきましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
高額療養費の改正は、家計の支払い額だけでなく、翌年の医療費控除の計算にも跳ね返ります。治療予定がある人ほど、領収書と給付通知を同じ封筒やフォルダで残しておくのがおすすめです。

セルフメディケーション税制は2026年12月31日まで

セルフメディケーション税制は、一定の健康診査や予防接種などに取り組んだ人が、対象医薬品の購入額について所得控除を受けられる制度です。通常の医療費控除との選択制で、両方を同じ年に併用することはできません。国税庁の令和7年分確定申告特集でも、選択適用であり、修正申告や更正の請求で選択を変更できないと案内されています。(医療費控除を受ける方へ)
適用期限は2026年12月31日までです。厚生労働省の対象品目一覧は2026年7月1日時点のリストが掲載されており、対象商品は月次で更新されることがあります。(セルフメディケーション税制について)
市販薬のレシートを集めている人は、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらが有利かを年末に比較しましょう。対象医薬品のマークがあっても、購入日や成分見直しで扱いが変わることがあるため、レシートだけでなく商品名がわかる形で保管しておくと確認しやすくなります。

過去分を申告する人は5年ルールと資料保管を確認

2026年7月時点で「2025年分の医療費控除を出し忘れた」と気づいた人も、還付申告の対象ならまだ間に合う可能性があります。国税庁は、還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できると説明しています。(No.2030 還付申告)
ただし、すでにその年分の確定申告をしている人が医療費控除を追加したい場合は、単なる還付申告ではなく更正の請求になることがあります。また、保険金や高額療養費の見込額を少なく入れていた場合は、税額が増える修正申告が必要になることもあります。
領収書が多い人は、国税庁の医療費集計フォームを使うと、e-Taxの作成コーナーに読み込めるため効率的です。ただし、セルフメディケーション税制を選ぶ場合は医療費集計フォームを利用できない点に注意してください。医療費通知に載る分、載らない分、保険金で補てんされる分を分けておくことが、申告ミスを減らす近道です。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    医療費控除では、保険金などを対応する医療費の範囲内で差し引き、超過分を他の医療費へ回さないことが基本です。
  • 2
    年末支払・翌年受取の給付金は、支払った年の医療費から見込額で差し引き、確定後に必要なら訂正します。
  • 3
    年またぎ入院の保険金は、同一入院に対応する支払額の比率で各年に按分します。
  • 4
    2026年8月からの高額療養費見直しは、自己負担額と翌年の医療費控除額の両方に影響する可能性があります。
  • 5
    セルフメディケーション税制は通常の医療費控除との選択制なので、年末にどちらが有利か比較してから申告します。

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