【2025年11月更新】生命保険の税金早見表|受取と解約と控除の判断基準(個別相談可)
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

生命保険 税金
死亡保険金 相続税 非課税枠
解約返戻金 税金 一時所得
贈与税 7年ルール
生命保険料控除 2026 特例
雑所得 年金 源泉
金融類似商品 源泉分離
目次
はじめに|“同じ保険金でも税が違う”を最短整理
生命保険の受け取りは、誰が契約・負担し、誰が受け取るかで税目が変わります。初回の要点だけでも、死亡保険金は主に相続税、契約者=受取人の受け取りは一時所得、三者が異なると贈与税というのが大枠です。この記事では国税庁・財務省の一次情報に沿って、受取別の計算と控除、2026年分の生命保険料控除の拡充、年金受取・据置の税区分、申告の段取りまで“迷わず判定”できる形でまとめます。各判定の根拠は本文のリンクから確認できます。
よくある勘違いと損失例
- 1死亡保険金は誰が受け取っても非課税だと思い込み、法定相続人以外の指定で非課税枠500万円×人数を使えず相続税が増えた
- 2学資保険の解約返戻金を親が負担・子が受取にして贈与税ルートになり、110万円基礎控除超で納税が発生した
- 3死亡保険金を年金で受け取り、雑所得の源泉徴収や毎年の申告調整を見落として還付・追徴の機会を逃した
- 4一時払・短期の金融類似商品に該当するのに、源泉分離課税で完結することを知らずに不要な申告をして手間が増えた
契約関係で決まる税目|早見の考え方
死亡保険金の税目は、契約者(保険料負担者)・被保険者・受取人の組み合わせで決まります。国税庁の整理では、契約者=受取人は所得税(受取方法により一時・雑所得)、契約者=被保険者は相続税、三者相違は贈与税の対象です。表は国税庁の説明に対応しています。(No.1750 死亡保険金を受け取ったとき) を参照してください。
契約者・受取人の組み合わせで迷います…
夫が保険料を払って、妻が被保険者、受取人は夫です。この場合の税金は?
契約者=受取人なので“夫が自分で受け取る”扱いで一時所得です。計算は「受取額−払込保険料−特別控除50万円」のプラス分の1/2を総合課税に合算します。死亡保険金を年金形式で受けるなら雑所得です。根拠は (No.1750) に記載があります。
死亡保険金|相続税の非課税枠500万円×法定相続人
契約者=被保険者の死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象です。受取人が法定相続人なら「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額が適用され、超える部分のみ課税対象になります。適用条件や養子の数え方の注記は国税庁の解説に明記されています。(No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金)
相続人以外(例:友人・内縁など)が受け取る場合はこの非課税枠は使えません。同時に、相続税の基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人」も併せて判定してください。
満期保険金・解約返戻金|一時所得か贈与税か
満期保険金や解約返戻金は、保険料負担者と受取人が同一なら所得税(受取が一時金なら一時所得、年金なら雑所得)。異なるなら贈与税です。国税庁の早見に沿って判定しましょう。(No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき)
一時所得の基本式は「総収入−支出−特別控除(最高50万円)」で、プラスならその1/2を総合課税に合算します。(No.1490 一時所得)(式は No.1755 の説明内にも記載)
なお、保険期間5年以下(一時払養老など)や5年超でも5年以内解約の「金融類似商品」は源泉分離課税で完結します(保険会社が源泉徴収)。制度の定義は (No.1520 金融類似商品と税金) を確認してください。
“誰が払ったお金か”と“誰が受け取るか”を一致させるだけで、税ルートの大半は整理できます。設計で迷ったら契約者と受取人から逆算しましょう。
医療・介護系の給付|原則非課税の扱い
入院・手術・通院などの医療保険の給付金、リビングニーズや高度障害保険金など疾病・傷害に基づく給付は、所得税法施行令30条の枠組みにより原則非課税です。関連する国税庁の質疑応答にも、疾病に伴う保険金が非課税とされる事例が記載されています。参考:[疾病により重度障害となった者以外の親族が保険金の支払を受けた場合]の解説(施行令30条の言及あり)(国税庁Q&Aページ)。同様に自治体の医療費助成の取り扱いでも施行令30条が根拠として示されています(国税庁Q&A)。
相続で使える非課税枠と“落とし穴”
- 1死亡保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人」。相続人以外の受取には適用なし((No.4114))
- 2配偶者の税額軽減と合わせて設計すれば、実効負担を大きく抑えられるケースが多い
- 3複数受取人指定は割合と課税判定を個々に分けて考える(年金受給権の評価も別)
- 4契約者名義と実際の負担がズレると贈与税ルートに落ちやすいので、家計の支払い口座も含めて整合をとる
生前贈与“7年ルール”の経過措置と保険の関係
暦年贈与の持ち戻し期間は段階的に延長され、令和13年以後の相続では“相続開始前7年以内”が加算対象です。経過措置として、相続開始前3年超〜7年以内の贈与は総額100万円まで相続税の課税価格に加算しない扱いがあります。保険の名義変更・負担移転を伴う資金移動も加算対象になり得るため、設計変更時は年次と金額の管理が重要です。詳細は国税庁の解説を参照してください。(No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税))
生命保険料控除の最新|2026年分“6万円特例”と電子明細
2026年分(令和8年分)の所得税では、23歳未満の扶養親族がいる場合に限り、新契約の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円へ一時的に拡充されます。計算式も1区分だけ拡張され、旧契約との合算上限は当該年に6万円になります(3区分合計の上限12万円は据え置き)。根拠は財務省の令和7年度税制改正大綱に明記されています。(令和7年度税制改正の大綱(1/9))
また、確定申告では控除証明書の添付に代えて“記載明細の添付+原本5年保存”の新運用が導入されます(生命保険料控除ほか)。適用時期の詳細も同大綱に記載があります。
申告・手続きの段取り|期限と実務チェック
税目ごとの期限は、相続税は相続開始から原則10か月、贈与税は翌年3月15日、所得税は翌年の確定申告(給与所得者は年末調整で調整可能)です。死亡・満期・解約の受取が一時所得・雑所得となる場合、保険会社から税務署へ支払調書が出ることがあり、源泉徴収の有無にかかわらず利益が出ていれば申告要否を確認しましょう。金融類似商品は源泉分離課税で完結するため、源泉徴収票の保管と納税確認で足ります(制度定義は (No.1520))。
ケース別Q&A|学資・夫婦・祖父母負担
学資保険を親が負担・子が満期金受取にしています。税金は?
契約者(負担者)と受取人が異なるため贈与税ルートです。受取額から110万円基礎控除を引いた課税価格に贈与税率を適用します。税負担を避けたいなら“親が契約者・受取人で満期金は親が受け取り、教育費支出で子に使う”形にしたうえで家計記録を残すなどの選択肢があります。根拠は (No.1755) の課税関係表です。
最後に|迷ったら“設計を直す”が最短
税負担は、契約者・受取人の組み合わせ次第で大きく変わります。死亡保険金は相続税の非課税枠の活用、満期・解約は一時所得の控除・按分、年金受取は雑所得の源泉と毎年の計算——この基本線を外さない設計が最短です。既契約の名義変更や受取方法の見直しは、暦年贈与“7年ルール”や相続・贈与の加算に配慮して段取りを。悩んだら、LINEで「ほけんのAI」に相談して、FPが一次情報ベースで中立に助言します。
まとめ:重要ポイント
- 1死亡保険金は“契約者=被保険者”なら相続税で非課税枠500万円×法定相続人を活用する(国税庁の一次情報で確認)
- 2満期・解約は“契約者=受取人”なら一時所得の50万円控除+1/2課税、“異なる”なら贈与税ルートを避ける設計に
- 3年金受取・据置利息は雑所得扱い。源泉の有無と毎年の按分を理解して申告・還付の機会を逃さない
- 4暦年贈与“7年ルール”の経過措置(3年超部分は総額100万円控除)に注意し、名義変更・資金移動は年次管理を
- 52026年分の一般生命保険料控除“6万円特例”と電子明細+5年保存の新運用を前提に、提出・保存を整える
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