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【2025年9月更新】生命保険 相続放棄Q&A|受取と非課税枠・手順(個別相談可)

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年9月更新】生命保険 相続放棄Q&A|受取と非課税枠・手順(個別相談可)
生命保険 相続放棄
死亡保険金 受取人
相続税 非課税枠 500万円
みなし相続財産
相続放棄 手続き 家庭裁判所
死亡退職金 相続税
遺族年金 非課税

最初に押さえる:相続放棄と生命保険の全体像

借金超過や相続トラブルを避けるための 相続放棄 は有力な選択肢ですが、生命保険や退職金、公的給付との関係は条文と判例の理解が欠かせません。ポイントは3つです。
  • 生命保険の 死亡保険金 は、受取人が相続人などに指定されている場合、原則として「受取人の固有財産」で遺産には含まれません(最高裁昭和40年2月2日判決)。
  • 税法では死亡保険金・死亡退職金は「 みなし相続財産 」として相続税の対象になり得ますが、受取人が相続人であれば「500万円×法定相続人の数」の 非課税枠500万円×法定相続人 が使えます(相続放棄者は適用外)。
  • 手続きの“順番”を誤ると単純承認(放棄不可)に当たるおそれがあるため、熟慮期間内に適切な段取りで進めることが重要です。

まず確認する4つのチェック

  • 1
    保険証券と約款で“受取人”が誰かを確認し、被相続人が受取人の契約が混じっていないかを見分ける。
  • 2
    相続税の非課税枠は“受取人が相続人に限る”ことと、人数は放棄者も頭数に入れることを家族で共有する。
  • 3
    家庭裁判所の申述は“自己が相続人と知った日から3か月”の熟慮期間内に、延長必要なら早めに申し立てる。
  • 4
    遺族年金・死亡退職金・未支給年金など保険以外の給付も対象と税区分を一覧化し、請求順と必要書類を整える。

Q&A1:相続放棄しても死亡保険金は受け取れる?

結論、多くのケースで受け取れます。保険金受取人を「相続人」などと指定した契約は、受取人の固有財産とされ、遺産から離れるのが確立した実務です。最高裁は、受取人を「被保険者死亡の場合の相続人」とした養老保険契約について、死亡時の相続人の固有財産で遺産から離脱すると判示しています((裁判例結果詳細(昭和40年2月2日)))。
受け取れる典型:
  • 受取人を特定の相続人に指定、または「法定相続人」としている契約(多くの約款が該当)。
注意・受け取れない典型:
  • 受取人が被相続人本人になっている契約(解約返戻金や入院給付金等を含む)。これは一旦“遺産”に入るため、相続放棄者は受け取れません。
  • 受取人未指定で約款上の受取人が遺産となるよう定められている特殊な契約。
なお、受取人固有の保険金を受領すること自体は、一般に遺産の処分に当たらず単純承認には該当しませんが、遺産に属する財産(例:預貯金)に手を付けると単純承認に当たり得ます。判断に迷う場合は、先に証券と約款を確認し、相続に当たる財産に触れないよう慎重に進めましょう。

受け取っても“単純承認”になりませんか?

父の借金が多く相続放棄予定ですが、私が受取人の死亡保険金は請求しても大丈夫でしょうか。単純承認になりませんか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
受取人固有の死亡保険金は遺産ではないため、通常は単純承認に当たりません。一方、故人名義の預金や解約返戻金(受取人=被相続人)など遺産に属する財産を引き出すと単純承認のリスクがあります。まずは証券と約款で受取人を確定させ、相続放棄の可否は家庭裁判所の流れに沿って進めましょう。

Q&A2:税金と非課税枠の実務—数え方と配分

相続税では、死亡保険金は「みなし相続財産」として取り扱われます。受取人が相続人である場合に限り、保険金全体で「500万円×法定相続人の数」まで非課税です((No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金))。
数え方の要点:
  • 法定相続人の“数”は、相続放棄者も「放棄がなかったものとした場合」の人数で数えます(同ページ注1)。
  • ただし非課税枠を使えるのは「相続人が受け取った保険金」に限られ、相続放棄した人は“相続人に含まれない”ため、その人自身の受取分には非課税枠が適用されません(同ページ本文)。
  • 相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)でも、人数の数え方は同様です((No.4152 相続税の計算))。
配分イメージ:
  • 法定相続人が配偶者A・子B・子Cの3人で、Cのみ相続放棄。非課税枠は500万円×3人=1,500万円。ただしCの受取分は非課税枠適用外で、AとBの受取分にのみ按分されます。
受取人が相続人以外のとき:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
相続放棄者は“頭数”には入るのに、自分の受取分には非課税枠が使えない。このズレを前提に、家族全体での配分と税額を早めに試算しましょう。

Q&A3:死亡退職金・遺族年金・未支給年金の扱い

死亡退職金は、被相続人に支給されるべき退職手当等として「みなし相続財産」です。相続人が受け取る場合に限り「500万円×法定相続人の数」まで非課税枠が適用されます(法定相続人の数は放棄がなかった場合の人数で数える)((No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金))。
遺族年金は、国民年金・厚生年金等に基づくものは原則として所得税も相続税も課税されません。未支給年金については、遺族が請求でき、その支給は遺族の一時所得に該当します(法令で非課税とされるものを除く)((No.1605 遺族の方に支給される公的年金等))。
実務の勘所:
  • 死亡退職金は会社規程で受取人・順位が定められていることが多く、規程確認が先決。
  • 遺族年金の請求は相続放棄と無関係に進められ、税務上も非課税。
  • 未支給年金は請求期限や必要書類を年金機関の案内で確認し、税区分にも留意。

相続放棄の申述:3か月で終える実務チェックリスト

  • 1
    被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を特定し、様式(申述書)をダウンロードする。
  • 2
    必要書類(被相続人の住民票除票/戸籍附票、申述人の戸籍謄本、続柄別に必要な戸籍)を揃える。
  • 3
    費用は収入印紙800円(申述人1人ごと)と連絡用切手を用意し、提出方法と期日を確認する。
  • 4
    熟慮期間3か月の延長が必要なら、期間伸長を早めに申立て、受理後は債権者等へ放棄の事実を通知する。

家庭裁判所の公式フローと“保存行為”の考え方

相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内(いわゆる 熟慮期間3か月)に行います。延長の申立ても可能で、受理後は「初めから相続人でなかった」扱いになります(必要書類・費用・証明書の発行などは家庭裁判所の案内が参考になります)((相続の放棄の申述 | 裁判所))。
単純承認を避けるために、遺産の処分(預金の引出し等)は控え、財産価値を保つための最小限の“保存行為”に留めます。保険金のうち受取人固有の権利に基づくものは遺産ではありませんが、契約ごとに受取人を確認し、遺産に属するもの(受取人=被相続人の保険金・未払給与等)には触れない運用が安全です。

ケース別の進め方は?(借金超過だが保険金あり)

遺産は借金超過ですが、私が受取人の死亡保険金があります。どう動くのが良いですか?
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
まず保険の受取人を確認し、あなた固有の保険金は請求手続きへ。相続放棄は熟慮期間内に家庭裁判所で進め、遺産(故人名義の資産)には手を付けないのが原則です。税務は非課税枠の“人数計算”と“適用対象”のズレに注意し、放棄者の受取分には非課税枠が効かない点を前提に申告要否を確認しましょう。

受取人が混在する場合のシミュレーション視点

複数契約で「受取人=相続人の契約」と「受取人=被相続人の契約(返戻金等)」が混在すると、前者は放棄後も受領可能、後者は遺産に入るため放棄者は受け取れません。税務は、相続人が受け取る死亡保険金・死亡退職金の合計に非課税枠を配分し、放棄者の受取分は非課税枠適用外として別建てで試算します。友人など相続人外の受取は相続税の非課税枠対象外で、贈与税・所得税の判定は契約者・保険料負担者関係で整理します((No.4417 贈与税の対象になる生命保険金))。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
証券の受取人確認→家庭裁判所の申述→(固有の)保険金請求→税務整理の順に。各ステップで触れてよい財産とダメな財産を分けて進めましょう。

よくある落とし穴と回避策

  • 受取人の誤指定や離婚・再婚後の更新漏れで、意図せぬ相手に保険金が渡る。定期的な受取人見直しと証券保管の徹底を。
  • 相続放棄で故人の債務は免れるが、自身が保証人・連帯保証人の債務は残る。別ルートでの交渉・債務整理の検討を。
  • 家族間での情報共有不足により、誰かが遺産に手を付け単純承認となるリスク。手続き前に“触れてよい・ダメ”のラインを共有。
  • 税務で“人数は含むが適用は不可”のルールを混同。非課税枠・基礎控除の人数と適用対象を分けて設計。

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まとめ:重要ポイント

  • 1
    死亡保険金は受取人の固有財産が原則で、相続放棄後でも請求可能(最高裁・裁判所実務に整合)。
  • 2
    相続税の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」。人数は放棄者も数えるが、放棄者自身の受取分には適用不可。
  • 3
    死亡退職金にも同じ非課税枠が適用され、遺族年金は原則非課税。未支給年金は遺族の一時所得となり得る。
  • 4
    家庭裁判所の申述は3か月以内(延長可)。遺産の処分は避け、保存行為にとどめて単純承認リスクを回避。
  • 5
    受取人=被相続人の契約や相続人外への受取は税区分が変わるため、約款と契約者・負担者関係で判定する。

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