【2025年8月更新】生命保険の時効の要点|請求期限と例外と対処早見表(個別相談可)
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執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)

生命保険の時効
保険金 請求期限
保険法95条
時効中断 催告
完成猶予
生命保険契約照会制度
目次
最初に押さえるべき結論
家族に万一が起きても、生命保険は待ってくれません。請求には期限(時効)があり、過ぎると法律上は請求権が消えます。結論はシンプルで、民間の生命保険は 生命保険の時効 が原則3年、一部の簡易保険系は5年です。起算点は「支払事由が発生した翌日」から。根拠は保険法と各社約款で、公的な条文は(保険法 第95条)で確認できます。この記事では、2025年8月時点の最新実務(時効の援用、不援用、ADRや契約照会制度の活用、6か月の完成猶予など)を、すぐ動ける形で整理します。
2025年の要点(先に結論だけ)
- 1原則は3年(支払事由の翌日から起算)。簡易保険系の一部は5年で扱いが異なる。
- 2時効は自動消滅ではない。会社が“援用”しない限り支払いに応じる余地が残る。
- 3間に合わない時は内容証明で催告し、民法に基づく6か月の時効完成猶予を確保する。
- 4失踪宣告や災害絡みは起算日の扱いに注意。特別失踪は事故日に遡る。
- 5保険の所在不明は生命保険契約照会制度を活用。2026年4月から手数料が改定予定。
法律の原則:3年の根拠と起算点
保険金・給付金の請求権は、 保険法95条 により「行使できる時から3年」で時効にかかります。多くの約款は「支払事由発生日の翌日から3年以内」と定めます。例えば、死亡保険金は死亡日の翌日から、医療給付は退院日(または入院終了日)等の翌日から起算が一般的です。なお、2020年の民法改正で一般債権の時効は「権利行使を知った時から5年(または発生から10年)」に変わりましたが、生命保険の短期消滅時効は保険法の特則として維持されています((民法))。混同に注意しましょう。
「3年」はいつから数える?医療は退院日?
入院給付金は、入院した日から3年ですか?仕事が忙しくて、手術から時間が経ってしまいました。

多くの医療保険は“支払事由が確定した日”の翌日から起算します。実務では退院日(または入院終了日)や手術日が起算点です。約款で確認しつつ、ギリギリならまず請求の意思表示(催告)を出して6か月の猶予を確保してください。
一部の簡易保険系は5年(例外の位置づけ)
民間の多くは3年ですが、簡易保険系の一部は約款で5年としています。実際に「約款上の時効は5年」と案内するFAQが公開されています(該当例の(よくある質問))。5年でも油断は禁物です。実務上は早めの手続きが最優先です。
時効は“自動消滅”ではない:援用と不援用の実務
3年(または5年)を過ぎても、保険会社が時効を“援用”しなければ支払いに応じる余地があります。逆に、不正の疑いなど事情があれば援用される場合も。現場では、受取人が契約の存在を知らなかった、疎遠な親族で死亡自体を把握できなかったなどの事情が丁寧に説明され、書面で裏づけがあれば柔軟に扱われる例もあります。いずれにせよ「あきらめる前にまず連絡」が鉄則です。
期限超過に気づいたときの“現実的ルート”
- 1すぐに保険会社へ連絡し、遅れた理由と請求意思を伝える(電話+メール等で記録化)。
- 2内容証明で催告し、民法150条の6か月“完成猶予”を確保する(書類収集の時間稼ぎ)。
- 3死亡診断書や除籍謄本、医療なら診断書など、可能な資料を速やかに整える。
- 4会社回答が渋いときは生命保険協会の相談所や指定ADR(裁定審査会)を活用する((裁定審査会のご案内))。
- 5交渉が難航する場合は弁護士やFPへ引き継ぎ、方針と費用対効果を整理する。
失踪宣告の扱い:起算日の“ズレ”に注意
失踪宣告は、通常失踪(行方不明7年)と特別失踪(災害・事故等)の二類型があります。特別失踪は死亡日が事故日に遡るため、宣告時には既に時効が進んでいる恐れがあります。通常失踪は「みなし死亡日」が7年経過時となるのが一般的です。いずれも個別事情で変わり得るため、早期の相談と証拠収集が要です(制度全般は(民法)を参照)。
間に合わない…その前に「6か月の時間」を作る
「書類が揃わないから来月でいいか」は危険です。民法150条の催告を使えば、内容証明で請求意思を伝えるだけで時効の完成を6か月止められます。さらに、会社側が債務を認めれば民法152条の“承認による更新”が働き、そこから新たにカウントが始まります。条文は(民法)で確認できます。ここでいう 時効の完成猶予・更新 は、期限ぎりぎりの防波堤です。躊躇せず打ちましょう。
書類が足りないけど、今日できることは?
死亡診断書や保険証券が見つからず、3年が迫っています。今日できることは何ですか?

まず“請求の意思”を記録に残しましょう。コールセンターへ連絡し、日付・担当者名を控える。続けて内容証明で催告すると6か月の猶予が生まれます。必要書類は猶予中に取得。会社側の承認が得られれば時効は更新され、ゼロから再スタートできます。
請求漏れを減らす実務のコツ(医療・入院給付金)
入院・通院の請求漏れは多発しがちです。健康保険の高額療養費の明細、診療明細、マイナポータルの医療情報などを普段から家族と共有し、「退院したら1週間以内に保険会社へ連絡」のルール化を。契約者サイトやアプリの通知だけに頼ると、デジタル遺品化で見落とすことがあります。紙のメモや家族LINEで控えておくと安心です。

時効は“切れたら終わり”ではありません。事情を整理して、今日中に一本の連絡と一通の催告。そこから道が開けます。
所在不明の契約は“契約照会制度”で一括確認
保険証券やメールが見当たらない、というときは家族で探すのが先ですが、手がかりが無ければ 生命保険契約照会制度 を使いましょう。生命保険協会が各社に一括照会する仕組みで、制度概要は(生命保険契約照会制度のご案内)にまとまっています。平時の利用手数料は1件3,000円ですが、2026年4月以降はWEB申請6,000円・書面申請7,000円に改定される予定です((利用料金の改定))。災害時の特例は引き続き無料です。
会社への連絡・事情説明・書面化のポイント
連絡は早く・丁寧に・記録を残すのが基本です。遅延理由(契約を知らなかった、疎遠で死亡を把握できなかった等)を具体的に整理し、死亡診断書や除籍謄本、診断書など客観資料を添えて説明すると社内決裁が通りやすくなります。通話記録は日時と担当者名をメモ。メール・手紙でのやり取りも残しましょう。話し合いが難航すれば、生命保険協会の相談所や指定ADR(裁定審査会)への申立ても検討を((裁定審査会のご案内))。
家族で整える“未請求ゼロ”の備え
平時の備えが最大の時効対策です。証券の保管場所、担当窓口、契約者サイトのID/パスワードの保管(安全に)、通帳の保険料引落履歴のチェック、郵便物の確認を習慣化。エンディングノートには、加入会社名・契約番号・受取人・担当窓口をまとめておきましょう。家族が複数いる場合は、窓口役を1人決めておくと実務が進みやすくなります。
まとめ:重要ポイント
- 1原則は3年、一部の簡易保険系は5年。起算点は「翌日」からで約款で確認する。
- 2時効は自動では消えない。援用がなければ支払われる余地があり、説明と証拠がカギ。
- 3間に合わない時は内容証明で催告し6か月確保。承認が得られれば更新される。
- 4所在不明は契約照会制度を活用。2026年4月から利用手数料が改定予定。
- 5迷ったら早めに第三者機関(相談所・ADR)や専門家に相談する。
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「期限内に間に合わせる段取り」「事情説明と書面化」「契約照会やADRの使いどき」は、家庭ごとに最適解が違います。ほけんのAIでは、まずAIで要点を整理し、その内容をもとに有資格FPがオンラインで個別アドバイス。自宅から予約・参加でき、無料で中立的に比較検討できます。“今日やるべきことリスト”を一緒に仕上げ、最短ルートで不安を解消しましょう。
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