【2025年9月更新】生命保険の時効の要点|請求期限と例外の対処早見表(個別相談可)
更新:

執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
この記事の最新の更新
最終改良: 2025年9月21日
- 6か月猶予の催告とe内容証明の具体費用明記
- 契約照会制度の申請件数と料金改定の最新数値反映
- 失踪宣告の起算点を「危難が去った時」に精緻化

生命保険の時効
保険金 請求期限
保険法95条
時効 完成猶予
承認による更新
生命保険契約照会制度
ADR
目次
最初に押さえるべき結論
家族に万一が起きても、保険金の請求期限は待ってくれません。民間の生命保険は原則3年、一部の簡易保険系は5年です。起算は「支払事由が発生した翌日」から数えます。根拠は法令と約款で、法令上の枠組みは 生命保険の時効 を定める保険法と民法で整理されます。迷ったら「まず連絡」と「記録化」を同時に行い、ギリギリなら内容証明で意思表示して時間を確保しましょう。
2025年の要点(先に結論だけ)
- 1原則3年(支払事由の翌日から起算)で、一部の簡易保険系は約款で5年となる。
- 2時効は自動消滅ではなく、会社が援用しない限り支払い余地が残るため諦める前に連絡する。
- 3間に合わない時は内容証明で催告し、民法に基づき6か月の時効完成猶予を確保する。
- 4失踪宣告の特別失踪は起算が「危難が去った時」に遡ることがあるため扱いに注意する。
- 5契約照会制度は2026年4月から手数料改定、2024年度の申請は7,467件と利用が広がっている。
「3年」はいつから数える?医療は退院日?
入院給付金は、入院した日から3年ですか?仕事が忙しくて、手術から時間が経ってしまいました。

多くの医療保険は「支払事由が確定した日」の翌日から起算します。実務では退院日(または入院終了日)や手術日が起算点です。約款を確認しつつ、ギリギリならまず請求の意思表示(催告)を出して6か月の猶予を確保してください。
一部の簡易保険系は5年(約款での例外)
民間の多くは3年ですが、簡易保険系の一部は約款で5年としています。具体例として、よくある質問の中で「約款上の時効は5年」と案内されているものがあります(参考: (【保険金】 保険金の請求手続きの期限を知りたい。))。5年でも油断は禁物で、早めの手続きが最優先です。
時効は“自動消滅”ではない:援用と不援用の実務
期限を過ぎても、保険会社が時効を援用しない限りは支払いに応じる余地が残ります。逆に、不正の疑いなど合理的な事情があれば援用されることもあります。現場では、受取人が契約の存在を知らなかった、疎遠で死亡自体を把握できなかったなどの事情が丁寧に説明され、書面で裏づけがあれば柔軟に扱われた例もあります。いずれにせよ「あきらめる前にまず連絡し、事情を整理して提示する」のが鉄則です。

今日中に連絡と記録化を済ませれば、状況は一歩前進します。後から説明できる形を残すことが重要です。
間に合わない…その前に「6か月の時間」を作る
「書類が揃ってから」は危険です。民法150条の催告を使えば、内容証明で請求意思を伝えるだけで 時効の完成猶予 を6か月確保できます。さらに、会社側が債務を認めれば民法152条の 承認による更新 が働き、そこから新たにカウントが始まります(条文は (民法))。
実務ではオンラインのe内容証明が手早く、基本構成なら1通あたり約1,295円で送ることができます(料金例と内訳: (e内容証明(電子内容証明)))。迷ったら先に催告、書類整理は猶予中に。
書類が足りないけど、今日できることは?
死亡診断書や保険証券が見つからず、3年が迫っています。今日できることは何ですか?

まず“請求の意思”を記録に残しましょう。コールセンターへ連絡し、日付・担当者名を控える。続けて内容証明で催告すると6か月の猶予が生まれます。必要書類は猶予中に取得。会社側の承認が得られれば時効は更新され、ゼロから再スタートできます。
失踪宣告の扱い:起算日の“ズレ”に注意
失踪宣告には通常失踪(行方不明7年)と特別失踪(戦争・海難・震災などの危難)があります。特別失踪では、死亡の擬制時点が「危難が去った時」に遡るため、宣告時には既に時効が進んでいる恐れがあります。通常失踪は、みなし死亡日が7年経過時となるのが一般的です。いずれも個別事情で変わり得るため、早期の相談と証拠収集が要です。
請求漏れを減らす実務のコツ(医療・入院給付金)
入院・通院の請求漏れは起こりがちです。健康保険の高額療養費の明細、診療明細、マイナポータルの医療情報などを普段から家族と共有し、「退院したら1週間以内に保険会社へ連絡」のルール化を。契約者サイトやアプリの通知だけに頼ると、デジタル遺品化で見落とすことがあります。なお、2024年度には、各社での支払もれ等が判明して追加支払に至った事案が7,032件(合計約9.42億円)あります。数字は公表資料で確認できます(参考: (生命保険各社の苦情受付情報・保険金等お支払情報について))。紙の控えや家族LINEで履歴を残しておくのが安心です。
所在不明の契約は“契約照会制度”で一括確認
保険証券やメールが見当たらないときは、まず家族で探した上で 生命保険契約照会制度 を使いましょう。各社に一括照会でき、制度概要と申請は次のページから確認できます(制度概要: (生命保険契約照会制度のご案内))。平時の利用手数料は1名あたり3,000円ですが、2026年4月1日以降の新規申請からはWeb6,000円・書面7,000円に改定されます(公表資料: (生命保険契約照会制度の利用料金改定))。災害時の特例は引き続き無料です。制度の利用は年々増え、2024年度の申請件数は7,467件(Web5,631/書面1,836)でした。
家族で整える“未請求ゼロ”の備えチェック
- 1証券の保管場所、連絡先、担当窓口を家族で共有し、窓口役を決めておく。
- 2契約者サイトのID・パスワードは安全に管理し、通帳の保険料引落履歴を定期確認する。
- 3医療費の明細や入退院日を家族の共有フォルダや連絡アプリに記録しておく。
- 4死亡時の連絡フローと必要書類(除籍謄本・死亡診断書等)の取得先をメモに残す。
- 5所在不明時は契約照会制度の利用可否を検討し、必要書類と費用をあらかじめ確認する。
会社への連絡・事情説明・書面化のポイント
連絡は早く・丁寧に・記録を残すのが基本です。遅延理由(契約を知らなかった、疎遠で死亡を把握できなかった等)を具体的に整理し、死亡診断書や除籍謄本、診断書など客観資料を添えて説明すると社内決裁が通りやすくなります。通話記録は日時と担当者名をメモ。メール・手紙でのやり取りも残しましょう。話し合いが難航すれば、生命保険協会の指定ADR(裁判外紛争解決手続)の活用も検討を。手続の流れや費用(申立て無料)は案内ページで確認できます(手続概要: (裁定審査会のご案内))。
まとめ:重要ポイント
- 1原則は3年、一部の簡易保険系は5年。起算点は「翌日」からで約款を確認する。
- 2期限超過でも援用がなければ支払い余地あり。事情説明と書面化で可能性を広げる。
- 3間に合わないときは内容証明で催告して6か月確保。承認が得られれば時効は更新される。
- 4所在不明は契約照会制度を活用。2026年4月から手数料が改定、災害時は無料が続く。
- 5迷ったら早めに第三者機関(相談所・ADR)や専門家に相談し、最短ルートで進める。
ぜひ無料オンライン相談を
請求期限の見極め、起算日の特定、内容証明による催告や事情説明の書面化、契約照会制度やADRの使いどきなどは、家庭ごとに最適解が異なります。ほけんのAIでは、まずAIで状況を整理し、その内容をもとに有資格FPがオンラインで具体的な段取りを提案。移動不要で予約から参加まで完結し、無料で中立的に比較検討できます。今日やるべきことリストを一緒に整え、不安を最短で解消しましょう。
🎁今なら面談後アンケート回答で
1,500円分全員プレゼント!

関連記事一覧

【2025年10月更新】個人年金保険 繰上げ受取の落とし穴:減額率と開始年齢基準
個人年金保険の繰上げ受取は民間では途中解約=返戻金の元本割れが典型。公的年金の月0.4%減と62万円改正予定、加給・振替加算など世帯影響も一次情報リンクで確認し、据置・分割・貸付の代替策と判断フローを具体例で提示。

【2025年10月更新】生命保険 受取人の基礎|指定なし時の扱い・請求先・変更手順
受取人が指定なし・先死亡の扱いを保険法46条で整理。請求の段取り、広域交付・法定相続情報の活用、時効3年、契約照会制度の2026年料金改定も反映。受取人変更・遺言・税の要点を一次情報リンク付きで解説。

【2025年10月更新】学資保険 満期金の受取時期/据置/分割/一括基準(個別相談可)
学資保険の満期金をいつ・どう受け取るかを最新制度で整理。一括・分割・据置の使い分け、税区分と申告、大学無償化拡充の影響、学習費データまで根拠リンク付きで実務的に解説。

【2025年10月更新】生命保険 指定難病の加入基準|申込み順と可否判定(個別相談可)
指定難病348疾病の最新基準で、通る申込み順(一般→緩和→無選択)と可否を実務で整理。高額療養費・助成の上限、部位不担保・待機の注意、専門委員会の最新動向も一次情報リンク付きで解説。

【2025年10月更新】就業不能保険は要る?会社員の判断チェック|手取り減と公的給付
会社員の休職時“手取り減”を最新制度で見える化。傷病手当金の式と月目安、高額療養費の現行上限・審議状況、障害年金の2025年額、育児時短給付10%まで整理。不足額の出し方と保険設計の現実解を提示。

【2025年10月更新】生命保険 約款の読み方|支払条件と免責の見分け(個別相談可)
2025年の最新動向で約款の読み方を再整理。支払事由と免責事由の境目、責任開始日の起算、がん90日待機、自殺免責、上皮内新生物の範囲、乗換え空白ゼロの段取りまで一次情報リンク付きで解説。