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【2025年9月更新】収入保障保険と団信の違い|住宅ローン完済までの守り方 判断軸3つ

更新:
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
執筆者河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
【2025年9月更新】収入保障保険と団信の違い|住宅ローン完済までの守り方 判断軸3つ
収入保障保険
団信
住宅ローン
フラット35
全疾病団信
がん団信
就業不能保険

導入:借金を消す団信、家計を埋める収入保障

住宅購入の安心は、ローン返済が止まっても家計が回る設計から生まれます。団信は“債務を消す”、収入保障保険は“生活費を埋める”。この役割の違いを分けて考えるだけで、保険の過不足が一気に見えてきます。2025年9月の最新動向では、フラット35の最頻金利はおおむね1.89%(21年以上35年)で推移し、フラット35は団信任意(加入しない選択も可)。がん団信や全疾病団信の待機・免責、2028年の遺族年金見直しも踏まえ、住宅ローン完済まで“守り漏れゼロ”に近づける実践法を整理します。

まず確認:完済までの守りを決める3視点

  • 1
    債務を消す視点:ローン返済残高と完済年齢の重ね合わせで“必要な一時金”を測る
  • 2
    生活を守る視点:遺族年金・貯蓄・共働き収入を差し引いた“月次ギャップ”を出す
  • 3
    働けないをつなぐ視点:就業不能の待機・免責や給付開始条件を商品別に読み解く

団信の役割と税の注意:債務を消す仕組み

団信(団体信用生命保険)は、死亡・高度障害など所定事由で“その時点の残債”を弁済する仕組みです。住宅ローンの返済自体を止めるので、残された家族の住まいを守る土台になります。一方で、団信の特約料(上乗せ金利方式・特約料方式)は生命保険料控除の対象外。住宅金融支援機構のQ&Aでも、機構団信の特約料は控除対象にならない旨が明記されています((特約料は生命保険料控除の対象にならないのですか?))。

団信だけで十分?

「団信さえ入っていれば家計は大丈夫ですよね?」
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
団信は“債務”を消すだけで、生活費や教育費の“月次の不足”までは賄いません。住まいは守れても、日々の家計を回す原資は別に設計する必要があります。

収入保障保険の役割:生活費と教育費の土台に

収入を失ったときの“毎月の穴”を埋めるのが収入保障保険です。定額または増減型の月額給付で、子の独立やローン残債の減少に合わせて必要額を調整できます。2028年4月施行予定の遺族厚生年金見直しでは、子のいない配偶者に原則5年の有期給付(現行額の約1.3倍の有期加算)と、所得要件つきの継続給付が導入される見込みです。最新の制度概要は厚労省の案内が参考になります((遺族厚生年金の見直しについて))。「最初の5年は手厚いが、その後は所得により減る」可能性を前提に、月次ギャップを見積もることが重要です。

支払条件の違い:死亡・高度障害/就業不能の定義

団信は死亡・高度障害で残債を弁済。特約で“がん診断で残債相当額”や“全疾病による就業不能で返済相当額”をカバーする商品もあります。例えば、ある金融機関の就業不能保障付き団信では「就業不能が3カ月超継続で月々の返済相当額、12カ月超で残債相当額を支払い」という設計や、精神疾患など一部対象外の規定が見られます(参考例:(団体信用生命保険))。また、がん団信は“責任開始から90日間は給付対象外”とする待機条項が一般的です。これらの定義や待機・免責は金融機関ごとに異なるため、約款の文言で確認しましょう。

コスト構造の違い:上乗せ金利 vs 保険料

団信は金利に上乗せ、収入保障保険は“保険料”で支払います。がん100%保障の団信は、上乗せ金利が+0.05〜0.20%程度に集中する事例が多く、月額インパクトの具体例(3,000万円・35年・0.2%上乗せで月2,681円程度)も公開されています((住宅ローンにおける「がん団信」とは?))。一方、フラット35は団信が任意で、団信なしを選ぶと“全期間金利が▲0.2%”となる取り扱いがあります((フラット35は団信加入が任意))。上乗せ・引下げを“月額差”に直して、保険料(収入保障)と同じ土俵で比較すると判断しやすくなります。
河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
借金は団信で消す、生活は収入保障で埋める。役割を分けて重複を外すと、ムダも不安も小さくなります。

判断軸1:返済残高と完済年齢をプロット

返済予定表(元利均等)を基に、現時点から完済までの“残債曲線”を年齢軸に重ねます。目安として、2025年9月のフラット35最頻金利は21年以上35年で1.89%帯(機構公表)です((金利情報))。ここに“がん団信+0.10〜0.20%”などの上乗せを仮置きして、月額差×期間の総コストを算出。さらに、繰上返済や借換え予定(固定→変動等)も反映し、債務側の必要一時金(=万一時に消すべき最大残高)を把握します。月額パターンの参考値は、上記の試算記事が使えます(0.2%で月約2,700円差など)。

実践手順3ステップ:過不足ゼロに近づける

  • 1
    金額の見える化:返済残高カーブと“月次の生活費ギャップ”を同じシートで重ねる
  • 2
    重複の削減:がん・全疾病団信と収入保障・医療・就業不能の役割を整理する
  • 3
    契約と更新:健康体割引や告知の通しやすさ、見直し時期(出産・昇進・借換え)を決める

判断軸2:生活費ギャップと公的保障の差

家計支出(住宅費を除く)から、遺族年金・配偶者の稼得・児童手当・貯蓄取崩しを差し引き、“月の不足額”を算出します。2028年以降、子のいない配偶者は原則5年間は増額された有期給付、それ以降は所得に応じた継続給付に切り替わる見通し(前掲の厚労省資料)。「最初の5年は小さめの収入保障、その後は所得テストで減る可能性も見て長めに薄く」など、段階設計が現実的です。教育費のピーク(中高・大学)と重なる期間は、増額型の月額設定も検討に値します。

判断軸3:就業不能リスクと免責・給付開始の落とし穴

全疾病団信の“就業不能”は、商品の定義が肝です。代表例では「入院や在宅療養が3カ月超継続で月々の返済相当額の補填、12カ月超で残債相当額の支払い」。一方、精神障害等の一部は対象外だったり、医師管理下での療養要件が求められたりします(参考例:前掲(団体信用生命保険))。収入保障保険の“就業不能”も、勤務不能の定義や待期(30/60/90/180日)で保険料と実務の使い勝手が変わります。病気・けがの復職までの標準期間(傷病手当金の受給想定)に合わせ、待期を決めましょう。

ケース1:子あり共働き×ペアローン

ペアローンは各人の借入分のみが団信で消えます。片方の逝去時、もう一方のローンはそのまま残るため、残された側の“月次ギャップ”に収入保障を割り当てるのが基本です。例えば、夫2,000万円・妻1,500万円の借入、家計は折半の場合、夫死亡時は妻の1,500万円が残るので、当面5年は教育費ピークを見据えて月10〜15万円、以降は月5〜8万円に漸減する設計など。遺族年金の有期給付(2028年以降)も見込み、5年を境に必要額を見直す前提で作ると無駄が出にくくなります。

ケース2:単独ローン×自営業

自営業は傷病手当金が原則ないため、働けない期間の家計防衛は就業不能系の“厚め”設計が現実的です。短期の穴は所得補償(1年以内)、中長期は収入保障保険(月額)で二層に。待期は運転資金・生活予備資金の厚みで決めます。現預金3カ月分なら待期90日、1カ月分なら待期30〜60日など、復帰見込みと資金クッションに沿って調整を。団信の三大疾病特約は“がん90日待機・心筋梗塞/脳卒中の就業制限日数”等の細目が効くため、上乗せ金利の費用対効果を“月額差”で点検しましょう。

ケース3:フラット35で団信なしを選ぶとき

フラット35は団信任意で、団信なしを選ぶと全期間▲0.2%になる取扱いがあります((フラット35は団信加入が任意))。そのぶん“代替保険”が必須です。死亡一時金は“最大残債”に合わせた逓減定期(または収入保障の一括前払型)で債務を消す前提にし、月次は収入保障で家計ギャップを埋める二本立てに。なお、機構団信の特約料は生命保険料控除の対象外ですが、個人で契約する生命保険の保険料は生命保険料控除の対象になり得ます。控除の取り扱いは勤務先の年末調整や確定申告で確認を。

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河又 翔平 (保有募集人資格:一般課程・専門課程・変額課程)
対象は約款定義に基づく“就業不能状態”。代表例では3カ月超で月次補填・12カ月超で残債相当額ですが、精神障害や在宅療養の要件など“対象外・要件厳しめ”の規定があります。定義と待機・免責を読み込み、必要に応じて収入保障や就業不能保険を併用しましょう。

最新動向と注意点:がん50/100%、電子化、金利

がん団信の“50%と100%”は上乗せ相場が異なり、100%では+0.05〜0.20%帯が目立ちます(前掲(がん団信の解説記事))。全疾病団信は就業不能の定義・待機・対象外の範囲で価値が大きく変わります(前掲参考リンク)。機構のフラット35最頻金利は2025年9月時点で1.89%帯(21年以上35年)。団信なしで▲0.2%の扱いも踏まえ、上乗せ・引下げ・保険料を“月額”に直して横並び比較を。控除証明や申込の電子化も広がっています。年末調整前に控除対象・非対象(団信特約料は非対象)を整理し、オンライン手続きを活用するとスムーズです。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    守りの二本柱(団信=債務、収入保障=生活)を分け、重複を外すとムダが減る
  • 2
    判断軸は返済残高・生活費ギャップ・就業不能定義の3つ。約款の待機・免責を必ず確認
  • 3
    がん団信の上乗せ(+0.05〜0.20%)やフラット35団信なし(▲0.2%)は“月額差”で比較する
  • 4
    2028年の遺族年金見直しは“最初の5年”と“その後”で設計を分けると現実的
  • 5
    団信特約料は控除対象外。個人保険の控除や電子交付の準備を年末調整前に整える

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