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【2025年12月更新】生命保険 定年前5年の見直し|不足額の出し方と3手順

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2025年12月更新】生命保険 定年前5年の見直し|不足額の出し方と3手順
生命保険 見直し 定年前
不足額 計算 差額×期間
在職老齢年金 62万円
入院食事 510円
介護 室料相当額 260円
高額療養費 2025
退職前 見直し

定年前5年は“最後の調整期”:制度の節目と家計の転換を同時に整える

定年前の5年間は、現役から老後へ移る“最後の調整期”です。退職時期と公的年金の受給開始(原則65歳)のズレで生じる60〜64歳の収入ギャップ、働き続ける場合の在職老齢の扱い、医療・介護の自己負担の新基準など、複数の論点が重なります。ポイントは、家計の収支を見える化し、不足額を「差額×期間」で数値化してから生命保険を設計すること。これでムダ払いを抑えつつ、老後の安心を最小コストで確保できます。

この記事でわかること

  • 1
    定年前5年に見直すべき理由と最新制度の要点
  • 2
    差額×期間で出す不足額の計算フローと簡易例
  • 3
    在職しながら年金受給時の扱い(在職老齢年金の基準額変更)
  • 4
    医療・介護の自己負担最新値(入院食事510円室料相当額260円
  • 5
    棚卸し→不足試算→設計の“空白ゼロ”3手順

制度の最新アップデート:在職老齢・医療・介護の基準が変わる

働きながら年金を受給する在職老齢年金は、2026年4月から支給停止の基準額が「月62万円」に引き上げ予定です。詳しい内容は厚生労働省の解説が参考になります((在職老齢年金制度の見直しについて))。 医療面では、2025年4月から入院時食事の自己負担が一般で「1食510円」に改定されました(病院の改定案内例:(食事療養費改訂のお知らせ(2025/4/1〜)))。高額療養費制度は、2025年12月時点で専門委員会で見直し論点の整理が続いています((第8回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」資料))。 介護では、2025年8月から老健・介護医療院の多床室に「室料相当額260円/日」(月約8,000円)を控除の形で上乗せする新ルールが始まっています((令和7年8月からの室料相当額控除の適用について))。

在職老齢の“62万円”はわが家にどう影響?

再雇用で働き続ける予定です。2026年の「在職老齢年金62万円」への引上げは、わが家の手取りにどう効きますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
月の「賃金+厚生年金」が62万円までは在職老齢による支給停止は原則かかりません。例えば賃金45万円・厚生年金10万円なら合計55万円で停止なし。設計では「手取り(賃金+年金)−生活費」の差額を、働く期間に合わせて“谷”が出ないように保険や退職金、一時金でならします。詳しくは厚労省の制度解説(62万円引上げ)をご確認ください。

不足額の出し方:差額×期間で“谷”の大きさを見える化

不足額は「老後の年間支出−年間収入」を期間で掛けるシンプルな算式が基本です。生命保険の死亡保障も同じく「家族の支出総額−今後の収入総額」で不足分を計算します。考え方と具体例は公益財団の解説がわかりやすいです((万一の際に必要な保障額の算出方法と具体例))。 例(老後資金の不足):夫婦無職世帯の平均では、年金だけだと月約3.4万円の赤字という統計があります(総務省の家計調査、2024年平均。概要PDF:(家計調査報告〔家計収支編〕2024年平均結果の概要))。この赤字が10年間続くと仮定すれば「3.4万円×12か月×10年=約408万円」が不足額の目安。ここに医療・介護の自己負担や住居・修繕費など“公的でカバーされない支出”を上乗せして、より現実的な総不足額を出します。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
生命保険は不安を埋める道具ですが、やみくもに盛るのではなく、数字で見えた不足だけをピンポイントに埋めるのが家計効率の正解です。

見直しステップ1:保険・家計・会社制度の“棚卸し”

まずは現状の見える化です。保険証券(種類・保障額・期間・特約)、更新時期や満期年齢、団信の有無、退職金見込、預貯金、年金見込、会社の死亡退職金・弔慰金の有無、家計の生活費・教育費・住居費を並べて、誰のためにいくら・いつまで守るかの“期間軸”を明確にします。住宅ローンが団信完済ならその分の死亡保障は不要です。複数保険の重複(同趣旨の医療特約など)もここで洗い出します。

見直しステップ2:不足額試算の“型”

  • 1
    定年後の年間支出(生活費+医療・介護+住居・修繕+交際・交通)を試算する
  • 2
    年間収入(年金・再雇用収入・退職金の分割取り崩し)を見積もる
  • 3
    年間不足額=支出−収入を計算し、期間(5年・10年・終身)で掛ける
  • 4
    公的でカバー外の費用(入院食事・差額ベッド・先進医療・介護の居住費)を上乗せ
  • 5
    既存資産と退職金で埋められる分を差し引き、保険で埋める“残り”を確定

見直しステップ3:空白ゼロの“設計と実行”

不足の期間と金額が決まったら、商品を役割分担で組み合わせます。短期・大きめの不足(子の教育費・ローン残期間・60〜64歳の橋渡し)は、保険料が割安な定期保険や収入保障保険で。葬祭費や相続の非課税枠活用など“一生守りたい少額”は終身保険で。 実行順は「新しい保険の成立→古い保険の解約・減額」。乗り換え時の空白を作らない“先契約”が基本です。働き続ける場合は2026年の在職老齢年金「62万円」ラインを踏まえ、手取りの谷を作らないよう、年金繰下げ・受取開始の時期、退職金の分割取り崩しと組み合わせます。

年金繰下げと“ブリッジ資金”、どちらが有利?

65歳以降の年金増額を狙って繰下げも考えていますが、60〜64歳の生活費が不安です。繰下げとブリッジ資金、どちらが有利でしょう?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
繰下げは年金増額のメリットがある一方、空白期間の生活費をどう埋めるかが鍵です。まず「不足額=差額×期間」を出し、退職金・貯蓄・保険(収入保障や定期)でブリッジ。2026年の在職老齢の62万円ラインも踏まえ、働き方で手取りを維持できるなら繰下げの選択肢は広がります。数字で比較して“赤字が出ない方”を選びましょう。

商品の使い分け:収入保障・定期・終身/医療・介護の役割

死亡保障は「短期は定期・収入保障」「長期は終身」で過不足ゼロへ。医療は、公的3割と高額療養費が効く一方、食事代・差額ベッド・先進医療は公的外です。2025年4月から入院食事の一般自己負担は「1食510円」になりました(例:(食事療養費改訂のお知らせ))。先進医療は数十万〜数百万円の技術料が発生する場合があるため、特約や貯蓄で対策を。 介護は、公的介護保険の自己負担(原則1〜3割)に加え、2025年8月から老健・介護医療院の多床室に「室料相当額260円/日」が新設されています((室料相当額控除の適用))。在宅か施設かで費用が大きく変わるため、月額の目安(在宅数万円/施設十数万円)を世帯の希望に合わせて見積もるのが肝心です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
短期の不足は割安な保険で、長期の備えは返戻金も活用できる終身で。医療・介護は公的外費用を押さえて特約や貯蓄で線引き。役割分担で総保険料を軽く。

ケーススタディ3例:定年前後の“現実解”

ケース1(子独立・ローン完済の夫婦):死亡保障は葬祭費+当面の生活費にスリム化(終身100〜300万円)。医療は入院一時金+先進医療特約、介護は一時金や終身介護を小さめに。総保険料は年金生活で“月1〜2万円”に収まる設計に。 ケース2(教育費が残る家庭):60〜64歳の不足が「年100万円」なら、収入保障(月8〜10万円×最長5年)+定期(一時金)で二段構え。退職金の分割取り崩しと合わせて“赤字ゼロ”に。65歳以降の繰下げ可否は手取り比較で決める。 ケース3(親介護の同時対応):在宅介護の自己負担5〜8万円/月が続く前提で、5年間の総不足300〜480万円を見積もり。貯蓄の目的別取り崩し口座+介護一時金保険で二世代リスクを同時管理。多床室利用時の260円/日の室料相当額も忘れず計上。

よくある失敗と回避策

過剰解約で保障不足:保険料を下げたい一心で医療・介護までゼロにすると再加入困難や高額化のリスク。公的外費用の“線引き”で必要最低限は残す。 返戻金と税の見落とし:貯蓄型の解約は時期によって元本割れや課税が発生。返戻金・一時所得の判定や相続の非課税枠は、手続前に要確認。 “先契約”の原則違反:乗り換え時は必ず新契約成立後に旧契約の解約・減額。免責期間や責任開始日のズレで“空白期間”が生まれないように。

実践チェックリストと次の一歩

必要書類(保険証券・ねんきん定期便・就業規則・退職金見込・家計簿)を揃える→不足額の試算(差額×期間)→設計(役割分担)→見積比較(料率・期間・特約)→“先契約”で実行。制度は動き続けます。在職老齢の62万円、医療の高額療養費の見直し論点、介護の室料相当額など、最新の一次情報を確認しつつ、年1回の軽い点検を。オンラインのAI相談からFP面談へスムーズに移れます。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    不足額は「差額×期間」で数値化し、保険は“不足だけ”をピンポイントに埋める
  • 2
    2026年4月の在職老齢年金「62万円」ライン、2025年の入院食事「510円」・室料相当額「260円」に対応
  • 3
    設計は短期(定期・収入保障)と長期(終身)で役割分担し、空白ゼロの“先契約”で実行
  • 4
    医療・介護は公的外費用の線引きを明確にし、特約と貯蓄で不足を補う
  • 5
    年1回の軽点検で制度改定に追随し、保険料を年金生活に合わせて最適化

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