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【2025年12月更新】法人保険 防衛特別法人税|4%上乗せと申告手順

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2025年12月更新】法人保険 防衛特別法人税|4%上乗せと申告手順
法人保険
防衛特別法人税
別表一 次葉一
基礎控除500万円
グループ通算
中間申告
外国税額控除

何が変わる?制度の背景と基本構造

2026年4月開始事業年度から 防衛特別法人税 が導入されます。法人税の計算上、一定の税額控除を反映しない「基準法人税額」から年額の 基礎控除500万円 を差し引いた残額に対して、税率4%を乗じる追加課税です。適用開始は2026年4月1日以後に開始する事業年度で、納税義務者は法人税が課されるすべての内国法人等。制度概要と様式は国税庁の案内にまとまっています(詳細は (防衛特別法人税が創設されました))。

導入スケジュールと影響の早見

  • 1
    2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用され、3月決算企業は2027年3月期申告から対応が必要です。
  • 2
    納税義務者は法人税の納税義務がある全ての法人で、公益法人等で法人税が課されない場合は対象外です。
  • 3
    課税標準は「基準法人税額−基礎控除500万円」で、税額はその4%を乗じて算出します。
  • 4
    事業年度が1年未満の場合、基礎控除は月割(端数切上げ)で調整されます。
  • 5
    中間(予定)申告は2027年4月1日以後開始の事業年度から必要となります(2026年度は確定申告のみ)。

4%上乗せの“実質負担”はどの程度?

税率4%は法人税額に対する付加税であり、利益に対する税率が4%上がるわけではありません。標準税率23.2%に対して4%を乗じると、課税所得ベースの上乗せは概ね0.9%ポイント弱となる見込みです。法定実効税率は小幅に上昇しますが、影響の見積りは企業ごとに異なるため、期中からの試算が重要です(概況は (法定実効税率についての最新情報))。

中小企業は課税ゼロになり得る?

基準法人税額が小さい中小企業は、防衛特別法人税は本当に発生しないのでしょうか?申告も不要ですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
基準法人税額が500万円以下なら課税標準がゼロで税額は発生しません。ただし、納税義務者に該当する法人は税額ゼロでも申告書の作成・提出が必要です。様式は法人税申告書の「別表一 次葉一」を用います(案内は (防衛特別法人税が創設されました))。

基礎控除500万円のラインと留意点(グループ通算含む)

基礎控除は年額500万円(事業年度が1年未満は月割)。 グループ通算 適用法人では、控除500万円はグループ全体でひとつの枠となり、各通算法人へは「基準法人税額(または加算前基準法人税額)の比」で配分されます。少額の差でも課税標準に影響するため、決算期前の見積りと配分シミュレーションが有効です(様式・配分の考え方は (防衛特別法人税の申告書様式))。

計算の核心|“基準法人税額”をどう出す?

課税標準の土台となる 基準法人税額 は、当期の所得に対する法人税額を、外国税額控除など特定の税額控除を適用せずに算出した金額です。具体的には、所得税額控除・外国税額控除・分配時調整外税相当額控除・過大申告更正に伴う控除等を除いて計算します。その後、年500万円の基礎控除を差し引いた残額に4%を乗じて税額を確定します(計算フローは (防衛特別法人税が創設されました))。

別表一 次葉一の記入手順の注意点

  • 1
    課税標準法人税額(基準法人税額−基礎控除)の算定欄を誤らないこと。基礎控除の月割調整がある場合は端数切上げに注意します。
  • 2
    防衛特別法人税額の算定後、外国税額控除等の控除残がある場合は規定の順序で充当(後述)します。
  • 3
    税額ゼロの法人も別表一 次葉一を作成し、該当欄に0を記入して提出します。
  • 4
    グループ通算は、付表で基礎控除の配分明細を作成・保存します。
  • 5
    電子申告(e‑Tax)では2026年度版の新様式対応を確認し、様式の抜け漏れを防止します。

中間申告(2027年以降)と納付スケジュール

2026年度は確定申告のみですが、2027年4月1日以後に開始する事業年度から中間(予定)申告が必要になります。中間申告は原則6か月経過後2か月以内に提出し、前年実績の1/2相当額等で納付します。確定申告・納付の期限は法人税と同様で、事業年度終了日の翌日から2か月以内(申告期限延長の適用がある場合は延長後の期限)です(様式と期日の案内は (防衛特別法人税の申告書様式))。

グループ通算と外国税額控除の適用順序

外国税額控除は、法人税・地方法人税で控除しきれなかった残額がある場合、 防衛特別法人税 からも控除可能です。適用順序は「分配時調整外税相当額→控除対象所得税額相当額→過大申告更正に伴う控除→外国税額控除」の順序で行います。グループ通算適用時は、基礎控除の配分と控除限度額の管理をグループ全体で整合させることが重要です(詳細は (防衛特別法人税が創設されました))。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
2026年4月以後に解消する一時差異への法定実効税率は、防衛特別法人税の上乗せ分を織り込みます。2025年3月期の期末でも、翌期以降の差異解消見込みがある項目は新率で再測定する前提を監査人と共有し、注記を適切に整えましょう(参考: (補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」))。

法人保険の使い方:繰延と出口をセットで設計

法人保険 は、損金・資産計上のルール(2019通達)に沿って運用すれば、利益平準化と税負担の繰延に役立ちます。ただし、解約返戻金の受取局面で利益が計上されるため、防衛特別法人税の適用期間中に出口を迎えると上乗せ分も含めた負担が再度発生します。期末直前の駆け込み加入や短期解約は税務調査で注目されやすく、租税回避とみなされるリスクもあるため、保障ニーズ・資金計画・出口時期を一体で設計しましょう(制度横断の整理は (防衛特別法人税とは?2026年4月から法人税に“1%の上乗せ”スタート))。

税務リスクと社内運用の“型”

保険料の損金算入・前払費用計上の根拠、解約返戻率表、稟議・議事録等の意思決定記録を、電帳法の保存要件に沿って整理・保管しましょう。防衛特別法人税の別表や付表は、 別表一 次葉一 と関連明細の整合性が重要です。グループ通算の配分計算、外国税額控除の残額管理は、社内で計算書式を標準化し、決算・申告・納付までのフローを文書化しておくと実務が安定します。

モデル企業の試算:増税額と閾値の活用

ケースA(基準法人税額6,000万円):基礎控除500万円を差引き、課税標準5,500万円×4%=防衛特別法人税220万円。ケースB(基準法人税額4,900万円):基礎控除500万円で課税標準0、税額0円。基準税額が閾値近辺の企業では、正当な範囲の費用計上や投資時期の調整で課税標準を500万円以下に抑えられるか、期中の着地管理が鍵になります(算式の確認は (令和7年度税制改正で増税!【新設】防衛特別法人税とは?誰がどれくらい納める?増える税収は?))。

外国税額控除はどう充当する?

海外子会社で納税した分の控除が残っています。防衛特別法人税でも使えますか?順序はどうなりますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
はい、法人税・地方法人税で控除しきれない残額は防衛特別法人税にも充当可能です。順序は分配時調整外税→控除対象所得税額相当→過大申告更正伴う控除→外国税額控除の順。控除限度額の計算と明細の保存を徹底しましょう(根拠は (防衛特別法人税が創設されました))。

“当分の間”の運用と見直し論点

復興特別法人税と異なり、明確な終了期限は定められておらず「当分の間」とされています。景況や防衛財源の見通しにより、税率や期間の見直しが論点になり得ます。法人保険を含む資金計画は、複数年度の着地レンジで試算し、出口の時期を分散させるなど、不確実性に耐える設計にしておくと安心です。最新情報は国税庁・財務省・ASBJの公表資料を定期的に確認しましょう。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    基準法人税額から年500万円控除後の4%が防衛特別法人税の計算の核心です。
  • 2
    税額ゼロでも申告は必要。様式は法人税申告書の「別表一 次葉一」を忘れずに。
  • 3
    グループ通算では控除500万円はグループで共有枠。配分と明細保存が重要です。
  • 4
    外国税額控除の適用順序を把握し、控除残の充当と限度額計算を整合させましょう。
  • 5
    法人保険は繰延と出口を一体設計。期末駆け込みや短期解約などのリスクは回避します。

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