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【2026年7月更新】認知症保険は必要?|70代親の介護費3基準

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2026年7月更新】認知症保険は必要?|70代親の介護費3基準
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70代親の認知症保険が注目される背景

70代の親に 認知症保険 が必要か迷う家庭が増えている背景には、介護の長期化と家族の負担があります。厚生労働省の将来推計では、2022年時点の認知症高齢者は443.2万人、軽度認知障害(MCI)は558.5万人とされ、2040年には認知症584.2万人、MCI612.8万人と見込まれています。(認知症及び軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計)
ただし、認知症になったらすぐに高額な施設費が必要になるとは限りません。公的介護保険、親の年金・預貯金、家族の見守り体制によって、必要な民間保険の金額は大きく変わります。この記事では、70代の親を想定し、保険に入る前に確認したい介護費の3基準を整理します。

まず確認したい3つの基準

  • 1
    親の預貯金と年金で、少なくとも数年分の介護予備費を確保できるか確認します。
  • 2
    在宅介護を中心に考えるのか、将来的に施設介護も選択肢に入れるのかを家族で話します。
  • 3
    子ども側の交通費、見守り費用、仕事を減らす場合の収入減まで含めて負担を見積もります。
  • 4
    公的介護保険の自己負担割合、支給限度額、軽減制度を確認してから民間保険を比較します。
  • 5
    親本人の意思確認と、口座・不動産・保険契約の管理方法を早めに整理します。

介護費の平均は月9.0万円、ただし在宅と施設で差が出る

介護費を考えるときは、まず平均値を目安にします。生命保険文化センターの2024年度調査では、介護に要した一時的な費用は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円、介護期間は平均55.0カ月(4年7カ月)です。在宅介護の月額平均は5.3万円、施設介護は13.8万円と差があります。(介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?)
単純計算では、平均的な月額9.0万円が55カ月続くと495万円、そこに一時費用47.2万円を加えて約542万円です。施設介護を長く想定する家庭では、さらに大きな金額を見込む必要があります。ここで大切なのは、平均額をそのまま信じ込むことではなく、親の住まい、要介護度、家族の距離感に合わせて幅を持たせることです。

平均で500万円超なら、認知症保険に入るべきですか?

介護費の平均を見たら不安になりました。70代の親には、認知症保険をすぐ検討したほうがいいですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
すぐ加入ではなく、まず不足額を見ます。親の預貯金で500万円前後の介護予備費を確保でき、子どもの持ち出しが小さいなら、保険の必要性は下がります。反対に、施設入居や遠距離介護で不足が見込まれるなら、一時金型の認知症保険を検討する価値があります。

基準1:親の預貯金で介護予備費をどこまで出せるか

1つ目の基準は、親自身の資産でどこまで備えられるかです。認知症保険は、足りない部分を補う道具であって、親の老後資金全体を置き換えるものではありません。まずは親の普通預金、定期預金、年金収入、生命保険の解約返戻金、介護に使える金融資産を一覧にしましょう。
目安としては、在宅中心なら月5万円台、施設を想定するなら月10万円台後半もあり得ると考えます。たとえば親の介護用資金が200万円しかなく、施設入居の可能性が高い場合は、民間保険の一時金が初期費用の支えになることがあります。一方、すでに介護用に700万円以上を確保できているなら、保険料を払い続けるより、預貯金を流動性の高い形で残すほうが合う場合もあります。

基準2:在宅介護か施設介護かで必要額が変わる

2つ目の基準は、在宅介護を軸にするか、施設介護を早めに考えるかです。公的介護保険では、要介護度ごとに在宅サービスの支給限度額が決まっています。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、居宅サービスの1カ月あたりの支給限度額は要介護1で167,650円、要介護5で362,170円と示されています。自己負担は原則1割ですが、一定以上所得者は2割または3割です。(サービスにかかる利用料)
注意したいのは、限度額を超えた分、施設の居住費・食費・日常生活費、差額の大きい民間施設費用などは家計負担になりやすい点です。特別養護老人ホームのような公的性格の強い施設と、有料老人ホームでは費用感が大きく異なります。認知症保険の給付金を考えるなら、入居一時金、家具・家電、見守り機器、引っ越し費用など、まとまった支出に充てる前提で見ると判断しやすくなります。

認知症保険で確認したい支払条件

  • 1
    認知症と診断された時点で一時金が出るのか、要介護認定が必要なのかを確認します。
  • 2
    軽度認知障害(MCI)が保障対象か、対象外か、特約扱いかを確認します。
  • 3
    加入後すぐに保障されるのか、一定の待機期間や不担保期間があるのかを確認します。
  • 4
    給付金の使い道に制限があるのか、介護用品や施設準備にも自由に使えるのかを確認します。
  • 5
    70代の保険料総額と受け取れる給付金額を比べ、家計を圧迫しないか確認します。

基準3:子ども側の負担は交通費と収入減まで見る

3つ目の基準は、子ども側の負担です。親の介護費というと介護サービス料だけを見がちですが、実際には遠距離介護の交通費、実家の片づけ費用、スマートフォンや見守り機器の通信費、通院付き添いのための有給休暇、仕事を減らすことによる収入減も発生します。
とくに兄弟姉妹で負担割合があいまいなまま介護が始まると、費用だけでなく感情面の摩擦も起きやすくなります。認知症保険を検討する前に、親のお金から支払う費用、子どもが立て替える費用、兄弟で分担する費用を分けておくと、保険で補うべき金額が見えやすくなります。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
認知症保険は不安を消すためだけの商品ではなく、家族が落ち着いて選択肢を持つための資金づくりとして考えると判断しやすくなります。

認知症保険でカバーしやすい費用・しにくい費用

民間の認知症保険でカバーしやすいのは、診断後や要介護認定後に発生するまとまった支出です。たとえば、手すり設置などの住宅改修、介護ベッドや歩行補助具の購入、施設見学や入居準備、家族の移動費、見守りサービスの導入費用などです。一時金型なら使い道の自由度が高く、家族の判断で必要な支出に回しやすいのが強みです。
一方で、毎月の施設費や長期の生活費をすべて保険でまかなうのは現実的ではありません。給付額が100万円、200万円であっても、施設介護が数年続けば不足することがあります。保険は「介護の入口や急な支出に備えるもの」、年金・預貯金・公的介護保険は「日々の介護を支えるもの」と役割分担すると、過大な期待を避けられます。

親が認知症になる前に、お金の話をしても大丈夫ですか?

親に口座や保険の話を切り出すと、財産を狙っているように思われないか心配です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
いきなり資産額を聞くより、『介護が必要になったとき、どの口座から払うと安心か一緒に整理したい』と伝えるのがおすすめです。通帳や保険証券を全部預かるのではなく、保管場所、連絡先、希望する介護の形を確認するところから始めると話しやすくなります。

70代で加入する前に見る保険料と告知の注意点

70代で認知症保険に加入する場合は、加入年齢の上限、健康状態の告知、既往症による制限を必ず確認します。すでにもの忘れ外来を受診している、認知症やMCIの診断がある、要介護認定を受けているといった場合、加入できない、または保障範囲が限定される可能性があります。
もう1つの注意点は保険料です。高齢で加入するほど保険料は高くなりやすく、長生きすれば保険料総額が給付金に近づくこともあります。月々の保険料が親の生活費や医療費を圧迫するなら本末転倒です。加入前には、保険料総額、受け取れる一時金、給付条件、解約時の扱いを並べて、家族で納得できるか確認しましょう。

公的制度と資産凍結対策も同時に進める

認知症への備えでは、保険だけでなく 資産凍結対策 も重要です。認知判断能力が低下すると、預金の引き出し、不動産売却、金融商品の解約などが本人だけでは難しくなる場合があります。金融庁の資料でも、認知症の人の金融資産が将来大きな規模になることや、金融機関と地域の支援機関の連携の必要性が示されています。(高齢者など認知・判断能力の低下した顧客への対応)
具体策としては、任意後見、成年後見、家族信託、金融機関の代理人届、日常生活自立支援事業などがあります。ただし、それぞれ費用、手続き、できることが違います。親が元気なうちに、地域包括支援センター、司法書士、弁護士、社会福祉協議会、金融機関に相談し、介護費を支払える状態をつくっておくことが、認知症保険以上に大切なケースもあります。

2026年時点の制度動向:認知症は地域で支える方向へ

2026年7月時点では、認知症を「家族だけで抱える問題」と見ない流れが強まっています。2024年12月に策定された認知症施策推進基本計画では、2024年12月から2029年度までを第1期計画期間とし、認知症の人が希望を持って自分らしく暮らし続けるという「新しい認知症観」が示されました。(認知症施策推進基本計画)
つまり、備え方も「保険に入るかどうか」だけでは不十分です。地域包括支援センター、認知症カフェ、見守りサービス、介護保険サービス、家族の働き方、親の資産管理を組み合わせる必要があります。民間保険はその一部として、不足する現金を補う役割で考えると現実的です。

認知症保険が向きやすい家庭・慎重に考えたい家庭

認知症保険が向きやすいのは、親の預貯金が少なく、施設介護や遠距離介護で子どもの持ち出しが大きくなりそうな家庭です。親が一人暮らしで、見守りサービスや早めの住み替えを想定している場合も、一時金があると選択肢を持ちやすくなります。
慎重に考えたいのは、十分な介護予備費がある家庭、すでに健康状態の告知で加入条件が厳しくなりそうな家庭、保険料が親の生活費を圧迫する家庭です。保険に入らない選択も、決して「備えていない」という意味ではありません。預貯金を使いやすい形で残し、家族で支払いルールを決め、公的制度につながる準備ができていれば、保険以外の備えとして十分に機能します。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    介護費は平均で一時費用47.2万円、月額9.0万円、期間55.0カ月が目安ですが、在宅か施設かで大きく変わります。
  • 2
    認知症保険は、介護費のすべてをまかなうものではなく、診断後や施設準備などのまとまった支出に備える選択肢です。
  • 3
    判断基準は、親の預貯金、在宅か施設か、子ども側の交通費・収入減を含む負担の3つです。
  • 4
    70代で加入する場合は、保険料総額、告知、待機期間、MCIの扱い、要介護度の条件を必ず確認します。
  • 5
    保険とあわせて、任意後見や家族信託、代理人届など、介護費を支払える仕組みづくりも進めましょう。

介護費と保険の不足額を無料で棚卸し

認知症保険が必要かは、親の預貯金、年金、公的介護保険、施設費、子ども側の家計をまとめて見ないと判断しにくいテーマです。ほけんのAIでは、まずAIに気軽に質問し、その後必要に応じて有資格者のFPへオンライン相談できます。自宅からLINE通話やZoomで相談でき、保険だけでなく家計や老後資金も含めて中立的に比較しやすいのが利点です。迷ったら、加入前に不足額を一度整理してみましょう。

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