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【2026年6月更新】遺族厚生年金|子なし30代の不足額3基準

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2026年6月更新】遺族厚生年金|子なし30代の不足額3基準
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子なし30代ほど「遺族年金だけで足りるか」を先に確認したい

30代で結婚したばかり、まだ子どもはいない。共働きなら「自分が亡くなっても相手は働けるから、死亡保険は少なくてよい」と考えがちです。
ただ、2026年6月時点では、将来の 遺族厚生年金 の見直しを前提に、子どもがいない30代夫婦の備え方を少し慎重に見直したい局面です。特に、夫婦のどちらかの収入に家計が偏っている、家賃や住宅ローンが重い、転職・休職の可能性がある家庭では、公的年金だけで生活を立て直すのが難しいことがあります。
この記事では、子なし30代夫婦が「生命保険でどこまで不足額を埋めるべきか」を、当初5年、6年目以降、保険商品の選び方という3基準で整理します。平均額に流されず、自分たちの家計に合う保障額を考えるための手順として読んでください。

2028年4月以降、子なし配偶者の遺族厚生年金は原則5年へ向かう

厚生労働省の公表資料では、遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定とされています。女性の場合、施行直後に原則5年間の有期給付の対象となるのは、18歳年度末までの子がいない、2028年度末時点で40歳未満の方です。一方、男性の場合は、18歳年度末までの子がいない60歳未満の方が新たに5年間の有期給付を受けられる方向です。詳しくは(遺族厚生年金の見直しについて)で確認できます。
大切なのは、子どもがいない30代夫婦では、これまでの感覚で「妻なら長く受け取れる」「夫は若いと受け取れない」と単純に考えないことです。見直し後は、原則5年の有期給付、有期給付加算、所得などに応じた継続給付を前提に、家計の不足額を確認する必要があります。
なお、厚生労働省は5年間の有期給付について、現在の遺族厚生年金の額に有期給付加算が上乗せされ、額は約1.3倍になると説明しています。ただし、5年後の継続給付は収入などの条件に左右されるため、「ずっと同じ額が続く」と見込むのは避けましょう。

子なし30代が最初に確認すること

  • 1
    配偶者が亡くなった場合に、自分の手取り収入だけで毎月の固定費を払えるかを確認します。
  • 2
    遺族基礎年金は原則として子のある配偶者または子が対象になるため、子なし夫婦では期待しすぎないようにします。
  • 3
    遺族厚生年金は、相手の厚生年金加入状況や報酬によって金額が変わるため、ねんきん定期便などで概算を把握します。
  • 4
    賃貸、住宅ローン、車、奨学金返済、カードローンなど、亡くなった後も残る支出を洗い出します。
  • 5
    貯金やNISA残高は、生活再建にすぐ使えるお金と、老後まで運用を続けたいお金に分けて考えます。

遺族厚生年金の概算は「報酬比例部分の4分の3」が出発点

現在の制度では、遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が基本です。会社員期間が短い場合などは、厚生年金の被保険者期間を300月、つまり25年とみなして計算する扱いもあります。受給要件や対象者の詳細は、日本年金機構の(遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額))に整理されています。
ただし、一般の方が正確な年金額を自力で出すのは簡単ではありません。まずは、夫婦それぞれのねんきん定期便や「ねんきんネット」で厚生年金加入期間と将来の老齢厚生年金の見込みを確認し、ざっくり「公的保障で毎月いくら程度が見込めそうか」を把握するところから始めるのが現実的です。
ここで注意したいのは、遺族年金の額だけを見ても家計の答えは出ないことです。住宅費、生活費、手取り収入、貯蓄、職場の死亡退職金や弔慰金まで合わせて、初めて不足額が見えてきます。

子どもがいなければ死亡保険は不要ですか?

共働きで子どもがいないなら、生命保険は入らなくても大丈夫でしょうか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
収入が同程度で、貯金が十分あり、住居費も片方の収入で払えるなら死亡保障は小さくできます。ただし、片働きに近い家計、家賃やローンが重い家計、配偶者が働けなくなる可能性がある家計では、不足額を生命保険で補う意味があります。

不足額は「必要なお金」から「入ってくるお金」を引いて考える

生命保険の金額は、平均額やランキングで決めるものではありません。基本はシンプルで、 必要保障額 は「遺された配偶者に必要なお金」から「公的年金、勤務収入、貯蓄など入ってくるお金」を差し引いて計算します。
生命保険文化センターも、万一の際の保障額は家族構成、現在の収入、資産状況、子どもの年齢などによって異なると説明しています。(万一の際に必要な保障額の算出方法と具体例)の考え方を使うと、子なし30代でも「なんとなく1,000万円」ではなく、家計に沿った金額に近づけられます。
同センターの2024年度調査では、2人以上世帯の普通死亡保険金額は平均1,936万円、生命保険の世帯年間払込保険料は平均35.3万円でした。こうした平均値は目安にはなりますが、住宅費が高い都市部の夫婦と、貯蓄が厚い夫婦では必要額がまったく違います。平均に合わせるより、自分たちの不足額から逆算することが大切です。

基準1:当初5年は生活再建費を厚めに見る

1つ目の基準は、亡くなった直後から5年間の生活再建費です。見直し後に原則5年の有期給付となる場合でも、5年間は遺族厚生年金や有期給付加算が支えになります。ただし、それだけで十分とは限りません。
たとえば、家賃12万円、食費・日用品・光熱費などの生活費18万円、通信・保険・車などの固定費5万円で、毎月35万円かかる家庭を考えます。遺された配偶者の手取りが月25万円なら、毎月10万円の不足です。5年では600万円になります。ここに葬儀費用、引っ越し費用、休職期間の収入減を足すと、必要な死亡保障はさらに増えます。
この時期の保険は、遺族が落ち着いて働き方や住まいを見直すための時間を買うものです。すぐに家賃の安い住まいへ移る、車を手放す、転職する、といった判断は心理的にも簡単ではありません。少なくとも半年から1年分の生活再建費は、現預金または保険金で確保しておくと安心です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
子なし30代の死亡保障は、最初に大きく備え、時間とともに小さくする設計が合うことも多いです。大切なのは、万一のときに配偶者が生活を選び直せる余白を残すことです。

基準2:6年目以降は「ひとりの老後」まで見て不足を出す

2つ目の基準は、6年目以降の生活です。子なし30代では、配偶者が亡くなった後も、40代、50代、老後まで長い時間があります。遺族厚生年金が有期給付で終わる前提なら、6年目以降は自分の収入、貯蓄、退職金、将来の老齢年金で生活できるかを確認します。
ここで大切なのは、毎月の生活費だけでなく、キャリアの変化も考えることです。配偶者の死後すぐにフルタイム勤務を続けられるとは限りません。メンタル不調、親の介護、転居、資格取得などで一時的に収入が落ちることもあります。
そのため、生命保険で埋める不足額は「今月の赤字」だけではなく、収入が戻るまでの期間、老後資金への影響、NISAやiDeCoを取り崩さずに済む余裕まで含めて考えると現実的です。たとえば、5年後に月5万円の赤字が10年続くなら、それだけで600万円の不足になります。

基準3:収入保障保険と定期保険を使い分ける

3つ目の基準は、保険商品の使い分けです。子なし30代の死亡保障では、 収入保障保険 と定期保険が候補になりやすいです。
収入保障保険は、死亡後に毎月一定額を受け取るタイプの保険です。家計の赤字を毎月補う目的に向いています。時間がたつほど受け取れる総額が減る設計が一般的なため、必要保障額が年々減っていく30代夫婦とは相性がよい場合があります。
一方、定期保険は、一定期間に亡くなった場合にまとまった保険金を受け取るタイプです。葬儀費用、住宅ローン以外の借入、引っ越し費用、当面の生活費など、一時金で準備したい支出に向いています。
貯蓄型保険を選ぶ場合は、死亡保障と資産形成を同時に持てる反面、保険料が高くなりやすく、早期解約では元本割れすることがあります。NISAやiDeCoとの配分も含めて、保障と資産形成の目的を分けて考えましょう。

不足額を生命保険で埋める試算手順

  • 1
    毎月の生活費、家賃、ローン、通信費、保険料などを合計し、万一後も残る固定費を出します。
  • 2
    遺された配偶者の手取り収入、遺族厚生年金の概算、職場の死亡退職金、使える貯金を合計します。
  • 3
    当初5年間の月間不足額を計算し、葬儀費用や転居費用、休職による収入減を加えます。
  • 4
    6年目以降に収入が戻る時期を想定し、老後資金やNISAを取り崩さずに済む余裕を見ます。
  • 5
    毎月の不足は収入保障保険、一時費用は定期保険で補うなど、目的別に保険を分けます。

NISAや貯金があっても、すぐ使うお金とは分けて考える

2026年時点では、NISAで資産形成をしている30代も増えています。金融庁の(利用状況調査)では、2025年12月末時点のNISA口座数が速報値で2,826万口座となっており、投資を家計に取り入れる流れは広がっています。
ただし、NISAの残高をそのまま死亡保障の代わりにできるかは別問題です。投資信託や株式は、万一のタイミングで評価額が下がっている可能性があります。配偶者が相続手続きや口座整理をしながら、生活費のために売却するのは心理的にも負担です。
生活防衛資金としての現預金、長期運用のNISA、万一の死亡保障は役割を分けると判断しやすくなります。十分な貯金があり、配偶者の収入だけで暮らせるなら、生命保険を大きくする必要はありません。逆に、貯金が少ない時期ほど、少額の掛け捨て保険で大きなリスクだけを移す意味があります。

夫婦どちらの死亡保障を優先すべきですか?

夫婦とも30代会社員です。保険料を抑えたい場合、どちらの死亡保障を優先すればよいですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
まずは、亡くなったときに家計の赤字が大きい人から確認しましょう。収入が高い人だけでなく、家事や介護を多く担っている人、住宅ローンや家賃の支払いに影響が大きい人も優先度が上がります。

見直しタイミングは結婚、住宅購入、妊娠前後、転職の4つ

子なし30代の生命保険は、一度決めたら終わりではありません。特に、結婚、住宅購入、妊娠・出産、転職のタイミングでは、必要保障額が大きく変わります。
住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険でローン残高が消えるケースがありますが、生活費、管理費、修繕積立金、固定資産税、配偶者の収入減まではカバーされません。夫だけが団信に入っている、ペアローンで片方の残債だけが残る、といったケースでは、死亡保障の不足が出やすくなります。
妊娠・出産後は、遺族基礎年金や教育費の考え方も加わります。転職や独立で厚生年金から外れる場合は、公的保障が変わる可能性があります。30代夫婦は「今の制度で大丈夫か」だけでなく、「2028年以降の制度でも配偶者が困らないか」で確認するのがおすすめです。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    子なし30代夫婦は、遺族基礎年金に期待しすぎず、2028年4月以降の遺族厚生年金見直しを前提に不足額を確認します。
  • 2
    当初5年間は、生活費の赤字、葬儀費用、転居費用、休職による収入減を厚めに見ます。
  • 3
    6年目以降は、配偶者の収入回復、老後資金、NISAを取り崩さない余裕まで含めて考えます。
  • 4
    毎月の不足は収入保障保険、一時費用は定期保険など、目的別に分けると保険料を抑えやすくなります。
  • 5
    結婚、住宅購入、妊娠、転職のタイミングでは、夫婦それぞれの必要保障額を必ず見直しましょう。

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