【2025年12月更新】生命保険 共働き50代の必要額|不足額の出し方・設計3基準
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

共働き50代 必要保障額
生命保険 不足額の出し方
収入保障保険 設計
遺族厚生年金 有期給付
新NISA iDeCo 6.2万円
CPI 3.0% インフレ
課題提起:いま、共働き50代の保障は“減らす/残す”の見極め期
50代は子の独立や住宅ローン完済が見えてくる一方、親の介護や老後資金づくりが現実味を帯びる時期。共働きなら収入が2本柱であるため、闇雲な高額保障は不要になりがちです。とはいえ、万一の後に残る生活費・教育費・介護支援・葬祭費の“不足分”は、正しく見積もっておく必要があります。ここでは、必要保障額を 差額×期間 で素早く可視化し、収入保障×定期×終身の「設計3基準」でムダなく備える方法を、最新の制度と物価前提で整理します。
不足額を最短で出す「差額×期間」5ステップ
- 1現在の家計支出を洗い出し、万一後の遺族生活費の目安(在学期は現状の約70%、独立後は約50%)を置く
- 2教育費・葬儀費・予備費など“一時金”を合算し、生活費と区別して整理する
- 3国の給付(遺族年金・勤務先の死亡退職金等)・保有資産・配偶者の就労収入を保守的に見積もる
- 4住宅ローンは 団信 の効きを確認し、残債が消えるなら生活費部分だけを保険でカバーする
- 5必要額(支出合計)−賄える額(給付・資産・収入)=不足額を算出し、保障タイプに配分する
数字の置き方:最新の物価と家計実態を前提に
物価は足元で上昇が続いています。2025年10月の全国消費者物価指数は、総合・コアとも前年比 CPI 3.0% と発表されています((消費者物価指数 2025年10月分))。生活費の基準には、総務省の家計調査も参考になります。二人以上世帯の2024年平均消費支出は1世帯あたり月30.0万円(300,243円)で、直近10月の速報値は306,872円です((家計調査 月・四半期・年))。この水準を一つの基準にしつつ、ご家庭の実支出に合わせて置き直してください。
「団信があるなら、死亡保障はどこまで必要?」
住宅ローンは団信で完済になります。死亡保険はどのくらい残すべきでしょう?
団信で住居費の大部分が消えるなら、保険は“生活費の差額”と“教育・葬祭などの一時金”に絞るのが基本です。家計支出の7割/5割の目安を当て、遺族年金や配偶者の収入で賄える部分を差し引き、残りを収入保障や定期で埋めましょう。
設計3基準:役割・期間・受取を決める
保障の過不足は「何の費用を/いつまで/どう受け取るか」で整えます。
- 役割:生活費の毎月穴埋め/進学や葬祭などの一時金/老後の長期資金
- 期間:子の独立・配偶者の定年・年金開始などの節目まで
- 受取:毎月(年金)か、一括(保険金)か。管理のしやすさと税の違いも考慮
生活費準備型|収入保障保険は“差額だけ×必要年数”
遺族の毎月の生活費を一定期間カバーするのが収入保障保険。遺族年金で賄える期間・金額を差し引き、“家計のギャップ”だけに的を絞るのが肝心です。年金制度は見直しが進行中で、子のいない現役世代(20〜50代)の配偶者への遺族厚生年金を 遺族厚生年金の有期給付(原則5年) とし、所得に応じた継続給付や有期給付加算、死亡時の年金記録分割の創設などが検討・整理されています((遺族年金制度の見直し 資料))。制改定の移行期は、公的年金を過大に織り込まず、保守的な前提で月額を設定しましょう。
遺族保障型|定期・終身で“一時金”を必要額だけ
大学入学時など山のある費用や葬祭費には、一括で受け取る定期保険や終身保険を配分します。まとまった保険金は家計のクッションになりますが、管理や使途のルールも家族で共有を。葬祭費は地域差が大きく、100〜200万円程度の幅を見て、宗教儀礼や墓所費用の扱いはご家族の方針に合わせて上乗せしてください。
保険は“足りない分だけ、必要な期間だけ”。差額と期間を具体の数字にしてから、商品を当てましょう。
老後資金準備型|保険とNISA/iDeCoをどう併用するか
50代は老後資金の本格準備期。保険の貯蓄機能だけで賄うより、保険は最低限の死亡保障に絞り、資産形成は非課税口座を使う“分業”が定石です。私的年金制度は拡充が進み、法改正後は第2号被保険者の企業型DC・iDeCoの拠出上限が月 iDeCo/企業型DC 上限6.2万円、第1号は7.5万円へ引上げ予定、加入可能年齢の上限引上げも盛り込まれています((令和7年度 税制改正の概要(厚労省)))。「守る」は保険、「ふやす」はNISA/iDeCo/企業型DCで、役割をはっきりさせましょう。
30日で見直す実践アクション
- 1家計フローと現在契約を並べ、固定費を月ベースで可視化する(保険料・住宅・教育・介護予備)
- 2不足額を差額×期間の式で速算し、収入保障(毎月)と定期/終身(一時金)に役割分担する
- 3団信 の効き・遺族年金の受給見通し(子の有無・年齢)・会社の死亡退職金規程を確認する
- 4物価3%前提で将来費用を引き上げ、年1回は見直し(CPIと家計調査の最新値で点検)
- 5オンラインの無料FP相談で、設計書・診査の段取り・乗り換え順のセカンドオピニオンを受ける
モデル試算① 子在学・持ち家(団信あり)
前提例:夫50歳・妻48歳、長男22歳(在学2年残)、長女独立済。世帯の生活費基準は月30万円。
- 遺族生活費(在学2年):21万円×24=約504万円
- 遺族生活費(在学後~妻60歳・13年):15万円×12×13=約2,340万円
- 教育費残:概算400万円
- 葬祭・手続費等:200万円
- 予備費:100万円 必要合計は約3,584万円。対して、妻の就労収入(年200万円×12年=2,400万円)、貯蓄800万円、会社の死亡退職金等500万円、既契約の死亡保険1,000万円、公的給付(遺族年金は移行期のため保守的に見込む)を合算すると、多くのケースで不足は小さくなります。住宅ローンは団信で消える前提なので、生活費の“差額”中心に収入保障(月15〜20万円×必要年数)を置き、一時金は教育・葬祭の合計に限定するのが現実的です。
モデル試算② 子独立済・夫婦のみの“ミニマム”
生活費基準30万円、万一後は約半分の15万円を見積もり、年金開始までのギャップだけを試算します。例えば65歳までの10年なら、15万円×12×10=1,800万円。配偶者の就労や貯蓄、死亡退職金があれば差し引き後の不足は小さく、葬祭費200万円と合わせて、定期保険1,000〜2,000万円相当で足りる場面が増えます。保険料負担は“いまのキャッシュフローが苦しくならない範囲”を守り、余力はNISA/企業型DC・iDeCoに回しましょう。
モデル試算③ 親介護・支援がある場合の上乗せ
親への仕送りや見守り費用、将来の施設入所の一時金など、介護関連の出費は幅が大きい領域です。いま負担している支出(仕送り・交通・見守りサービス等)を年間額で積み上げ、必要期間を掛けて上乗せ額を算出します。老後の医療・介護の自己負担は、高額療養費の対象外となる費用(差額ベッド、先進医療、通院交通、入院食事代など)も意識を。入院の食事代は2025年4月から一般所得者で1食510円に引上げられました((入院時の食費の基準の見直し))。短期入院が増える時代は、医療・就業不能の“周辺費用”も含めた備えが有効です。
最新トレンドの読み込み:制度・物価・税のアップデート
- 年金制度:子のいない現役世代の配偶者への遺族厚生年金は、原則5年の有期給付化や継続給付・有期給付加算・死亡分割の導入が整理されています。移行期間は長期にわたるため、受給見込みは控えめに((遺族年金制度の見直し 資料))。
- 物価:2025年10月の消費者物価は総合・コアとも前年比3.0%、コアコア3.1%。インフレ下では将来費用の名目額を引き上げ、年1回の再試算を((消費者物価指数 2025年10月分))。
- 税・積立枠:企業型DC・iDeCoの上限引上げ・加入年齢拡大が進む見込み。夫婦の税・社保最適化と合わせて、拠出の配分を見直す好機です((令和7年度 税制改正の概要(厚労省)))。
- 医療費の線引き:入院食事代は1食510円に。高額療養費の対象外費用の理解を深め、医療・就業不能保障の役割分担を見直す((入院時の食費の基準の見直し))。
「遺族年金はどのくらい見込めばいい?」
制度が変わると聞くと不安です。遺族年金はどのくらい当てにできますか?
見直しは段階的で、子の有無・年齢、配偶者の年齢や所得などで受給が変わります。移行期は“受給なし”の想定で粗く計算し、最低限の生活費だけ収入保障で埋め、後で縮小する方が安全です。詳細は年金定期便・会社規程を基に個別試算を行いましょう。
実務:契約の棚卸し・減額・払済・診査の段取り
- 既契約の金額・期間・受取形態、特約の有無を一覧化
- 不要部分は減額・払済で“保険料ゼロ化”を検討(解約は最後)
- 乗り換えは“新契約の成立→旧契約見直し”の順で、空白ゼロに
- 診査はeKYCやオンライン申込が主流。健康体割引や非喫煙者区分の有無、告知の正確さで保険料が変わります
よくある誤解Q&A(遺族年金・団信・控除)
Q1. 団信があるなら生命保険は不要? → 生活費の穴は団信では埋まりません。ローンはゼロでも、日々の支出や教育費・葬祭費の“差額”は保険で備えるのが基本です。
Q2. 遺族年金で十分では? → 移行期は支給期間や加算が変化します。受給なしの想定で設計し、制度確定後に縮小を検討しましょう((遺族年金 見直し資料))。
Q3. 生命保険料控除でいくら戻る? → 2026年分は、23歳未満の扶養がいる世帯で一般枠の所得税控除上限が一時的に6万円に拡大予定です。家計最適化と合わせて、保険の設計と税控除を総合で((令和7年度 税制改正の概要(厚労省)))。
まとめ:重要ポイント
- 1不足額は“差額×期間”で数値化し、収入保障(毎月)と定期/終身(一時金)で役割分担する
- 2物価3%時代は名目額を引き上げ、家計調査・CPIの最新値で年1回リセットする
- 3遺族年金は移行期。受給を過小に見積もり、縮小余地を残した設計が安全
- 4団信はローンを消すだけ。生活費・教育費・葬祭費は保険で“差額”を埋める
- 5保険で守り、NISA・iDeCo・企業型DCで増やす“分業”で50代後半の資金計画を強化する
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