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【2026年1月更新】法人保険 退職金10年ルールの落とし穴|受取順・出口設計

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2026年1月更新】法人保険 退職金10年ルールの落とし穴|受取順・出口設計
法人保険
退職金
10年ルール
受取順
名義変更70%ルール
解約返戻金
役員退職金

はじめに:10年ルールで何が変わるのか

企業オーナーや実務担当者にとって 法人保険 を使った退職金準備は王道でしたが、2019年の通達改正と2026年適用の「退職所得控除の10年ルール」で常識が大きく変わります。特に、企業型DCやiDeCoの一時金と会社の退職金の「受取順」を誤ると控除が縮み、税負担が想定以上に増えることがあるため注意が必要です。改正の根拠は政府の税制大綱に明記され、退職金と老齢一時金の重複調整期間が「前年以前9年以内」に拡大されます(改正適用は2026年1月以降)[詳細は (令和7年度税制改正の大綱)]。本稿では、増税に直結する典型パターン、受取順の基準、名義変更“70%ルール”、出口設計の型までを一次情報リンク付きで整理します。

この記事でわかること(3分要約)

  • 1
    2019年以降の損金・資産計上(50%/70%/85%区分)と小口“30万円”の実務
  • 2
    2026年適用の“10年ルール”で変わるDC一時金と会社退職金の並べ方
  • 3
    名義変更“70%ルール”の評価と現物支給の安全運用
  • 4
    解約返戻金の益金化と退職金損金の“同年度同期化”という出口の型
  • 5
    年度・金額・決議のチェックリストと税務調査への備え

制度整理①:2019年以降の損金区分と小口特例

2019年の通達改正では、解約返戻率帯(50%超〜70%以下/70%超〜85%以下/85%超)に応じて保険料の損金と資産計上の割合が定められ、短期の“節税保険”が制度的に封じられました。少額の例外(年換算保険料30万円以下かつ返戻率70%以下)を含む最新の取扱いは国税庁タックスアンサーに整理されています。実務はここを基準に「どこまで損金に落ちるか」を判定します[概要は (定期保険等の保険料の取扱い)]。

受取順は「DC先→退職金後」が基本?

企業型DCの一時金を60歳で受け取り、65歳で退職金をもらう予定です。改正後もこの順番が有利でしょうか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
はい、改正後は“前年以前9年以内”が調整対象になるため、DCを先に受け取った場合でも10年空ければ退職金側の控除を守れます。5年空けでは足りず、65歳受給だと退職金控除が減る可能性が高い点が改正の要です。順番を逆(退職金先→DC後)にすると“19年ルール”が効き、後の一時金側の控除がほぼ消えるため不利になりがちです。

制度整理②:名義変更“70%ルール”の正確な理解

退職時に保険契約を現物支給(名義変更)する設計を使うなら、評価は所得税基本通達36‑37が基準です。原則は“支給時の解約返戻金”評価ですが、低解約返戻期間で返戻金が“支給時資産計上額の70%未満”なら評価を資産計上額まで引き上げます。払済にして直後に名義変更する抜け道も、復旧可能な払済なら資産計上額へ補正されます。このため、短期解約前提の名義変更スキームは実務上ほぼ無効です[解説PDFは (保険契約等の権利の評価(36‑37))]。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
出口は“同年度に益金と損金を並べる”が基本です。解約益と退職金を同期させるだけで、税負担の波は一段と穏やかになります。

制度整理③:退職金の計算と“10年ルール”の要点

退職所得は「(収入金額−退職所得控除)×1/2」で計算し、控除は勤続20年まで40万円×年、超過分は70万円×年(最低80万円)という基礎が変わりません。2026年適用の見直し点は、企業型DCやiDeCoの老齢一時金を受けた場合の“重複排除”の期間が「前年以前9年以内」に拡大されることです。これにより、DC先→退職金後の間隔設計は“10年”が新たな安全ラインとなります[計算の基礎は (退職金を受け取ったとき)、10年ルールの改正は (令和7年度税制改正の大綱)]。

受取年度の並べ方:4つの現実解

  • 1
    同年受給は合算計算になり控除の余地が縮むことが多いため避ける
  • 2
    翌年ずらしは所得分散の効果はあるが、10年ルールの調整対象である点は同じ
  • 3
    DCや共済は一時金だけでなく“年金形式(雑所得)”の選択肢で調整できる
  • 4
    転職などで複数社の退職金があるなら、受給時期の分散と年金化を組み合わせる

出口設計の型:解約益と退職金を同年度で揃える

法人保険の出口は“解約返戻金の益金”と“役員退職金の損金”を同じ事業年度に並べるのが鉄則です。先に解約益だけ計上すると、その期の法人税が跳ね上がり、翌期の退職金では取り返しにくくなります。2026年は防衛特別法人税(法人税額の4%上乗せ)が開始予定で法人税環境も厳しくなるため、益金・損金の同期化の価値がさらに高まります[制度の位置づけは (令和7年度税制改正の大綱)に記載]。

失敗例の是正:60歳DC→65歳退職金の再設計

改正後、60歳でDC一時金、65歳で退職金の予定を組んでしまいました。控除が減るなら何を見直すべきでしょう?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
第一に退職金の受取時期を“70歳”へ後ろ倒しできるかを社内で検討します(10年を超えれば調整対象外)。難しい場合は、DCの一部を“年金形式”へ切り替え、退職金側の控除減を小さくします。さらに法人保険の“解約と退職金支給は同年度”で揃え、名義変更は36‑37の評価に沿って現物支給として適正処理します。

ケーススタディ:成功と失敗の分岐点

成功例は「長期平準定期の返戻ピークと勇退年を合わせ、前払費用を計画的に取り崩しつつ同年度に退職金を支給」したケース。法人税の急騰を避けながら個人の退職所得控除を最大化しました。失敗例は「資金繰り目的で決算直前に解約、退職金は翌期」。解約益2,000万円が丸ごと課税され、追加負担が発生しました。是正は“同年度同期化”と、退職金額の根拠(功績倍率・同業比較)を議事録と規程で整えることです。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
名義変更は“退職慰労の現物支給”として、評価と手続を一点の曇りなく。評価を誤ると贈与認定など、痛い失敗につながります。

実務チェックリスト:年度・金額・決議と保存

年度合わせは“解約と退職金支給の同年度”が原則。金額は就業規則・退職金規程に算式(勤続年数係数や功績倍率)を明記し、株主総会・取締役会で決議。証憑は保険証券、返戻金推移、源泉税の計算、退職所得申告書、議事録を“7年以上”保存。名義変更時は36‑37の評価に沿って支給時資産計上額や返戻金相当額の根拠資料を添付し、払済復旧の可否も記録に残すのが安全運用です。

FAQ①:名義変更後すぐ解約は贈与課税?

退職金として現物支給した後“即解約で高額返戻”を狙う設計は、税務当局に“保険料負担者からの贈与”とみなされるリスクが高く、推奨できません。評価と支給の正当性(36‑37)を満たしたうえで、契約の維持や死亡保障の活用など、出口を時間軸で設計するのが安全です。

FAQ②:“30万円特例”はどこまで使える?

年換算保険料30万円以下かつ返戻率70%以下の契約は、一定の範囲で当期損金処理が認められます。ただし返戻率や保険料が基準を超えれば通常区分に戻り、資産計上が必要になります。複数契約での“分散”は通達の趣旨に反し、税務リスクを高めるため避けましょう[取扱いは (定期保険等の保険料の取扱い)]。

FAQ③:年金形式受取の税目は?

DCや共済を“年金形式”で受け取る部分は雑所得に区分され、退職所得控除の調整規定の対象外です。公的年金等控除の枠内なら非課税になる可能性もあるため、家計の総所得見込みと合わせて“年金/一時金の配分”を設計すると、10年ルール下でも総合的な税負担を抑えやすくなります。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    2026年適用の“10年ルール”で、DC一時金先行は“10年空ける”が新基準
  • 2
    名義変更“70%ルール”で低解約返戻期間の評価は“資産計上額”へ補正
  • 3
    解約返戻金の益金化と退職金の損金は“同年度同期化”が鉄則
  • 4
    退職金額は規程と議事録で根拠を整備し、証憑を“7年以上”保存
  • 5
    年金形式の併用で総合的な税負担調整を図るのが現実解

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